雑談:ハンコ出社ならぬハンコ出校

僕もハンコ出社ならぬハンコ出校です。

うちの大学(立命館大学)の大学院生は毎学年の始めと終わりに「研究計画書」「研究報告書」を出し、M2・D3を超えて在籍する場合は更に「在学延長申請書」を半年ごとに提出しないといけないのですが、これら全てに学生と指導教員の両方の押印が必要です。

押印が必要なため、普段は以下のようにかなり面倒な手続きが必要です。

大学が用意したWordファイルの書類を学生がDL→学生欄に学生が記入→教員にメールでファイルを送る→教員が教員欄に記入後、印刷して押印→教員が学生に何らかの方法で押印した書類を渡す(研究室のポストなど)→学生が押印→事務室に提出。

これ、あまりに煩雑で、学生だけでなく教員側にも負担が多いんですよね。自分の先生がめまぐるしく働かれている姿を間近で見ているわけですから、学生の僕たちから仕事をお願いするのは気が引けます。

この書類に教員のコメントを書いてもらうのは意味のある作業だと思うので、それはいいんです。問題は、それを印刷して押印して受け渡してもらう必要があるという手続き上の煩雑さです。僕の指導教員は快く対応してくださりますが、こちらとしてはいつも申し訳ない気持ちでいっぱいです。

1. コロナ下でも押印は必須!

コロナということもあり、今回はどうすればいいのか事務室に確認したのですが、コロナ下でも押印を省略することはできないとのこと。そのため教員はハンコを押した書類を学生に渡すために出校し、学生も書類の受け取り、押印、提出のため出校しないといけない。この書類のおかげで学生と教員の両方がハンコ出校をする羽目に。

確かにWordファイルのメール提出にしてしまうと、学生が教員の分も自分で書いて出してしまう事態が考えられます。でも、それなら教員によるメール提出にすればいいだけの話。それだと教員の負担が増えるじゃないか!と言われるかもしれませんが、教員はどちらにせよコメント欄に記入せねばならないわけで、むしろ印刷や受け渡しの手間が省けて負担は減るはずです。

コロナ下の対応策として事務室が提案してきたのは郵送案でした。学生はWordの書類を記入→メールで教員に送る→教員は教員欄に記入後、印刷して押印→教員は書類を学生あてに郵送→学生は自分の欄に押印し、事務室あてに郵送……。

どちらにせよ、何らかの方法で「押印された」書類を事務室に提出する必要があるとのこと。感染リスクよりも押印が優先される世界……ハンコ信仰恐るべし。

2. 研究指導が行き届かない本当の原因

この制度は2016年から始まりました。その背景には指導をしない教員や、研究が進まない学生の問題があったのでしょう。確かにこれらを防ぐためにも研究計画書・報告書を書かせることに意味がないとは言いません。ただ、研究指導が満足に行われないのは教員の事務作業の多さに起因することが多いと思いますし、学生の研究が進まないのも忙しすぎる先生から十分な指導を受けられないからではないでしょうか。

教員の過労という根本を断たない限り、これは対症療法の域を出ないのではないかと思います。そしてこの研究計画書・報告書なども、ハンコがあるがゆえに教員・学生に無駄な手間を強いる、諸悪の根源の一端なのではないでしょうか。

毎年計画書を書いて見通しを確認し、報告書を書いて成果と進捗度を振り返るのは学生・教員の両方にとって有益なので、制度自体はいいものだと思います。ただハンコを押すために出校や受け渡しといった不要な手間が発生し、コロナ下では感染リスクまで増大させているというのは、大学側にも認知してほしいなと強く感じています。

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