山﨑遼(民俗学、文学研究)

民俗学者、文学研究者。専門はスコットランドの少数民族トラベラーの言語芸術。研究のコツや…

山﨑遼(民俗学、文学研究)

民俗学者、文学研究者。専門はスコットランドの少数民族トラベラーの言語芸術。研究のコツやスタディスキルについて書きます。

最近の記事

文学研究の視点から見るナイキCMの炎上理由

ちょっと前にナイキのCMが話題となっていましたね。CM自体に対する意見は人それぞれですが、内容そのものには賛同したという人でも少なからず違和感を覚えた人は多かったのではないでしょうか。 今回はその違和感の正体を文学研究の視点から探っていきたいと思います。 1. CMの内容語りの間が多くてメッセージが汲み取りづらいため、とりあえずスクリプトを書き起こしてみました。 時々考えるんだ。私って何者? 出来ることなんてあるの? 私、期待はずれなのかな? 普通じゃないのかな? この

    • 勉強術:集中力を維持し生産性を高める2つのメソッド

      はじめに みなさん痛いほど共感してくださると思いますが、集中力を持続させるのは大変です。すぐスマホに手が伸びたり、ネットサーフィンしてしまったり、気づけばベッドに横になっていたり……。 そもそも動物が集中するのは1日のうち狩りをしている時とか、敵から逃げている時だけで、基本的にはのんびりしている時間の方が多いのかもしれませんね。 しかし現代社会は仕事中ずっと集中力を維持することを求められる、結構ハードな世界です。(その是非は置いておいて)そのために幾つかの集中力維持法が提

      • 雑談:TOEICについて

        今回コロナでTOEICが何度も延期になっており、ようやく開催が決まったら希望者が殺到してサーバーダウンになるというニュースを目にしました。このニュースを見て思ったこと……。 英語系の資格試験、TOEIC以外にもいっぱいあるで! 1. TOEIC L&Rの特徴と問題点 まずTOEICという試験がどのようなものか確認してみましょう。英語(というか言語)には4技能(読む、聞く、書く、話す)がありますが、一般的なTOEICであるL&R試験は英語の試験としては例外的で、インプットセ

        • 雑談:ハンコ出社ならぬハンコ出校

          僕もハンコ出社ならぬハンコ出校です。 うちの大学(立命館大学)の大学院生は毎学年の始めと終わりに「研究計画書」と「研究報告書」を出し、M2・D3を超えて在籍する場合は更に「在学延長申請書」を半年ごとに提出しないといけないのですが、これら全てに学生と指導教員の両方の押印が必要です。 押印が必要なため、普段は以下のようにかなり面倒な手続きが必要です。 大学が用意したWordファイルの書類を学生がDL→学生欄に学生が記入→教員にメールでファイルを送る→教員が教員欄に記入後、印

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          修士論文を書くための3つの柱(3):先行研究

          これまで学史、方法論と2つの柱を紹介してきましたが、最後の一つは「先行研究」です。ここでようやく登場です。 「学史」はその領域(例えば文学研究、心理学、人類学)全体の研究史だとお話ししました。一方「先行研究」とはより焦点を絞った、自分の専門分野や研究対象がどのように研究されてきたか、というものです。 先ほどの例でいくと、文学研究の中のシェイクスピア研究、心理学の中の動機付け研究、人類学の中のモンゴルの伝統衣装の研究、などです。 ちなみに先行研究をまとめたものを"lite

          修士論文を書くための3つの柱(3):先行研究

          修士論文を書くための3つの柱(2):方法論

          前回は修士論文を書くための1つ目の柱「学史」について説明しましたが、今回は「方法論」です。難しい言葉なので「研究方法」と言い換えてもいいでしょう。 自分の研究したい人物、アイテム、概念など(=研究対象)が決まれば、次はそれをどう料理するかです。基本的に、それぞれの学問分野において基礎的な研究方法があると思いますので、それに立ち返って勉強し直してみるのが近道でしょう。 文学研究であれば、テクスト精読が基本です。これは何となくやってきた方が多いかと思いますが、一度しっかり精読

          修士論文を書くための3つの柱(2):方法論

          修士論文を書くための3つの柱(1):学史

          こんにちは。山﨑です。今日は、日本とイギリスの大学で修士号を取得した経験から、修士論文を書くために絶対的に必要な3つの柱を紹介したいと思います。 僕の経歴をまとめると、学部からそのまま修士課程に進み、2年で英米文学の修士号を取りました。さらにそのまま博士課程に進み、D2の秋から休学して英国スコットランドにあるアバディーン大学エルフィンストーン民俗学研究所で民俗学の修士号(with distinction)を1年で取得しています。 この二度にわたる修士課程の経験から、日本と

          修士論文を書くための3つの柱(1):学史