雑談:TOEICについて
今回コロナでTOEICが何度も延期になっており、ようやく開催が決まったら希望者が殺到してサーバーダウンになるというニュースを目にしました。このニュースを見て思ったこと……。
英語系の資格試験、TOEIC以外にもいっぱいあるで!
1. TOEIC L&Rの特徴と問題点
まずTOEICという試験がどのようなものか確認してみましょう。英語(というか言語)には4技能(読む、聞く、書く、話す)がありますが、一般的なTOEICであるL&R試験は英語の試験としては例外的で、インプットセクションにあたるreadingとlisteningしか測ることができません。
2技能しか測れないという理由から、本当に自分の英語力を磨き、それを測定したいのであれば、TOEICはあまりおすすめできません。TOEIC対策の勉強はインプット系ばかりで、英語力が偏っていくばかりか、そもそも楽しくありません! 習った単語や構文を自分で正しく使えた時の嬉しさとか、自分の意見をたどたどしい英語であっても伝えられた時の達成感とか、そういった「言葉を操る楽しさ」がほとんど感じられないのです。
2. 英検を薦める3つの理由
よって、もし本気で英語を身につけたいのであれば、僕は英検をお勧めします。理由は(1)4技能を鍛えるため相乗効果が生まれること、(2)料金が安いこと、そして(3)資格の有効期限がないことです。
語学力というのは総合的に鍛えることで各技能の伸びに相乗効果が出てきます。どこかで聞いたり読んだりした単語やフレーズを自分で使ってみることで記憶に定着し、さらにそれを再度耳にしたり目にしたりすることで記憶がまた強化され、段々と英語が「理解できる」から「使える」へ移行していきます。そのため、TOEICのためにリスニングとリーディングだけ訓練するというのは記憶への定着が不安定かつ遅く、実は学習として非効率的なんじゃないかと思っています。
次に料金面です。4技能すべてが測れるテストはたくさんあります。TOEFL-iBT、IELTSなどなどが代表的でしょうか(どちらも留学用として利用されることが多いテストです)。しかし、これらは基本的に受験料が高額で、iBTやIELTSに至っては現状2万5000円を上回っています。これは多くの学生さんにとって気軽に挑戦できる金額ではありません。
「ぼったくりやんけ!」という声が聞こえてきそうですが、writingとspeakingといったアウトプットのセクションは採点に膨大な時間がかかりますし、また客観的に採点することも非常に難しいのです(というか100%客観的な採点は不可能です)。そのため、アウトプット能力まで丁寧に採点し、その人の英語力を総合的に測定しようとするとどうしても多くのコストがかかってしまうのです。
一方で、インプット系の問題は選択肢にすることが可能なため、マークシート形式にして機械でガーッと採点すれば、ほとんど時間的・金銭的コストはかかりません(多分)。これがTOEICの受験料が他のテストに比べて格安になっている理由の一つでしょう。そして価格を抑えることで受験者が増え、さらにコストが下がっていくというユニクロ的ビジネスモデルなのではないでしょうか(多分)。
英検は4技能を測れるテストでありながら、受験料が最も高い1級ですら9500円という価格設定になっています。僕は英検の回し者ではないですが、正直これはこの種の試験としては破格だと思っています。
また、多くの試験では取得したスコアに有効期限が設けられており(2年が多い)、それを過ぎたスコアは証明書としての効力を失います。ビジネス的な意味もあるのでしょうが、言語は2年も使わなければ錆び付いてしまいますので、理にかなったルールであると言えるでしょう。
一方英検は取得した級に有効期限はないので、その点は安心です。ただ、これはあくまで英検側の設けている規定であって、実際に就活をすれば先方から「英検であっても2年以内のものに限る」という条件が付与されることも珍しくはないと思うので注意が必要です。
3. おわりに
英検で一点だけ気をつけないといけないのは、海外での認知度の低さです。英検は日本で受験をしたり就職活動をする際には有効ですが、海外留学を考えている場合は語学力の証明として使えない場合があるので要確認です。
今回はTOEICと他のテストを比較してみましたが、改めて「TOEICって賢いビジネスだな〜」と痛感しました。手軽に挑戦できて、大体の英語力が測れるという意味では便利なテストですが、もし本気で英語をモノにしたいとお考えであれば、TOEICに受験者が殺到しているこの機会に英検に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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