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透明性の高い経営を目指して

はじめまして。株式会社アカリク 代表取締役の山田です。
アカリクは「知恵の流通の最適化」をミッションとして掲げ、技術者・研究者のキャリア支援に特化した事業を15年以上にわたって続けている会社です。
私はそのような会社の2代目の代表として現在経営に携わっています。私のように創業者からバトンを受け継いでいる経営者の方々が、同じような課題にぶつかった時に、このnoteが参考になれば嬉しいです。
初回のテーマを何にしようか悩みましたが、私がアカリクに入って最初に着手した「情報の透明性」について書いてみることにしました。

この記事では  

・組織感情を把握することの重要性
・意思決定のプロセスや社員の声を可視化する施策
・透明性の向上が会社に与えた効果

このような情報をまとめていますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。

「透明性の高い経営」を最初に着手した背景

社長に着任して、「まずは組織の状況を正しく把握したい」と思い、定期的に社員の声をすくい上げるため、エンゲージメントサーベイツールの『 Wevox』を導入しました。

それまでは、明確に社員の声を聞くツールはありませんでした。
並行して、「私が何者か」を皆さんに知ってもらうために社員との1on1を実施し、そこで直接、会社に対する課題を教えてもらいました。

当時のアカリクを見ていると、現場と経営層の会話が少ない印象がありました。社員の皆さん非常に真面目に頑張ってくれますし、コーポレートミッションにも強く共感しているのですが、現場と経営層の空気感が違ったのです。現場は目の前の業務に追われていますし、 経営層は会社の数年先を見据えているので、時間軸が異なる点は仕方がありませんし、どちらも熱量としては高かったのです。しかし、そこに何らかの空気感の違いがあり、「経営層と現場の距離が遠いのかもしれない」となんとなく感じていました。

各事業部の数値報告などについては、その数字を見れば課題点も含めて把握することができますが、組織の状況の場合はそのようにはいきません。ベンチャー経営において、「組織感情(会社の空気感)」は非常に大事だと思っているので、組織の実態を把握する取り組みを最初に行いました。そこで、課題として浮かび上がってきたのが情報の透明性だったのです。

Wevox を運用しながら社員ひとり一人と対話していく中で、「決定事項として現場に降りてくる会社の施策や方針が、どのようなプロセスを経て決まったのかが分からない」といった意見が、最も大きな声として寄せられました。新しい方針に対して、意図が伝わらず、納得できないまま業務を進めてしまい、上手く成果につながらないといった状況が続いてしまっていたのです。

ちょうどコロナウイルスの影響によるリモートワークの増加が重なったこともあり、今まで会社にいれば分かっていたことが見えなくなることで、不安やレッテルの張り合いにつながってしまうのではないかといった懸念もありました。

また、様々な先輩経営者の方からも「透明性の大事さ」についてよくアドバイスをいただいており、リモートワークが多い環境で会社の情報をリアルタイムに開示することによって、社員の満足度や納得感が高まったという他社の事例があることも知りました。
このようなことから、組織が抱える最も大きな課題として、情報の透明性に着手することにしました。 

具体的な施策

まず、会社の方針や取り組みについて議論段階から見えるようにしました。端的に言うと「経営会議の議事録公開」です。50名強のまだまだ小さな組織なので、会社の方針は各事業部長と経営層で議論をするのですが、そこでの議案事項などを議事録にまとめて全社員に共有しています。全社員に発信することで、「今、会社は何を考え、どう取り組もうとしているのか」といった、会社の意思決定プロセスを可視化しています。

社内のコミュニケーションツールに Slack を導入していますが、人事や労務などのセンシティブな内容はプライベートチャンネルで扱っています。このようなチャンネルがいくつ存在し、なぜプライベートなのかを全社共有しています。閉鎖的なチャンネルで議論が活発になることは情報の不透明性にもつながりますから、基本的にオープンチャンネルで会話をする方針をとっており、業務でのDMは原則禁止にしています。

Wevoxには、会社の方針に対する提案や改善点など多くのコメントが社員から寄せられます。その全てに対して、私から返事をして、その内容はコメント投稿者の個人情報が特定されないようなかたちで社内報にて発信しています。問題だと思った場合は問題を認め、改善に努めますし、「それは違うのでは?」と感じる事があれば私の意見をしっかりとぶつけるようにして、「社内でどのような意見が挙がっているか」「それに対して会社はどのように考えているのか」を共有するようにしています。このように、会社の目安箱のようなものを設けて、全てに回答しつつ内容を開示しています。

また、アカリクPodcastで、社内で募った私に対する質問に一問一答する企画を行ったりもしました。質問は一切ヤラセなしの匿名投稿で、ライトなものから踏み込んだものまで…様々な質問に対して率直に回答しました。その様子の一部はテキストでも公開していますので、興味のある方は以下のリンクを覗いてみてください。

人事評価については、昇格した社員の昇格理由を全社員に共有することで、「なんであの人が昇進したんだろう?」といった疑問が社内に生まれないようにしています。 昨年度より実施している社内表彰でも、受賞者の選定理由を、私の口から説明しています。 
以上のように、重要な意思決定プロセスを可視化して、社内で内緒話ができないように取り組み、社員の会社に対する意見と私の回答を全て公開することで、経営の透明性を担保しています。

どのような成果が出たのか

「情報の透明性」という明確な課題に対して取り組んだことで、これまで社員から出てきていた情報の透明性に関する不平・不満は挙がらなくなりました。社員の会社への意見や、それに対する私の回答が共有されることで「会社に対する信頼度が上がりました」「心理的安全性が高まりました」といった意見をもらえるようにもなりました。

会社の方針や取り組みについて議論段階からオープンになることで、私がジョイン前に議論した内容と同じような議題を扱う際に、再度イチから話し合って遠回りしてしまうような「車輪の再発明」も減りました。

また、経営の意思決定に対して、決定事項として降りてくる前に社員が議事録を通じてプロセスを確認し、そこに賛成意見や改善点の提案などをコメントをいただいたりしています。会社の方針に関して社員が参加型で進めることができるようになり、内容に対する納得感や、当事者意識の醸成等、ポジティブな影響を与えています。

具体的な数値は開示していませんが、Wevox が表す社内のエンゲージメント指数では、経営層や会社に対する項目においてポイントが分かりやすく上がってきています。そういったところを鑑みると一定の効果が出ていることを感じています。

情報の透明性に関する取り組みは、会社にとって良いことづくめだったので、各社積極的に取り組むべきテーマだと実感しています。

最後に

人的資本経営という観点でも、情報開示は非常に重要です。企業規模に関わらず、「必要な情報を全社員が知り、各々が考えて行動する」ことが求められている時代になると思います。

「社員が納得感を持ってついてきてくれない」「経営層の意思決定に対して社員が後ろ向き」といった課題感がある方は、情報の透明性というテーマから取り組んでみると良いのではないでしょうか。

そして、この発信を通じて「アカリク」のことを知り、経営方針に共感して「一緒に働きたい」と思っていただける人が増えると良いなと思っています。社会貢献性の高いアカリクの事業について、広く知っていただけると嬉しいです。興味がある方はお気軽にご連絡ください。

株式会社アカリク 採用特設サイト
山田 諒のTwitter


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