パウ・パトロールにみるマネジメント論

パウ・パトロールとは


皆さまは、パウ・パトロールというアニメを見たことがありますか?

アドベンチャー・ベイという街を舞台に、繰り広げられる物語です。主人公はケント(英語だとRyder)とパウ・パトロールと呼ばれる犬たち。それぞれの個性を生かし、街で発生するトラブルをいくつも解決していきます。
どんなトラブルも、パウ・パトロールならパウフェクト!!パーフェクトではありません、パウフェクトです。覚えて帰りましょう。

ちなみに、最近映画も観ましたが普通に私は泣きました。

ケントはめっちゃ大人な10歳

娘がずっと飽きずに観ているので、私もある程度目に入ってきます。そこで感じることは、ケントめっちゃ出来たヤツだな!ということ。wikiを見るに10歳の男の子なんですが、街の全大人から頼られています。困ったらとりあえずパウ・パトロールを呼ぶ(ケントに電話をかける)。権力者である市長も困ったらケントに電話します。ケントは、朝でも夜でもゲーム中でもその電話に必ず出て、任せてよ!と言って依頼を引き受けます。控えめに言って聖人です。人生何週目なんだろうか。

ケントにみるリーダーシップ

ケントはパウ・パトロールと呼ばれる犬たちと一緒に、街で起きたトラブルを解決していきます。犬たちははしご車を扱ったり、ブルドーザーを使ったり、空を飛んだりと、それぞれの個性を発揮します。ケントはその犬たちに指示を出し、自分も現場に行ってトラブル解決のために行動します。ここで注目すべきはケントのリーダーシップです。

非常にポジティブである

任せて!大丈夫!君なら出来るよ!など、ポジティブな言葉を多用します。依頼をした大人たちを安心させ、トラブルを解決するパウ・パトロールを鼓舞します。

自分で現場に行く

現場指揮を自身で行います。(基本的に)自分が運転するバギーで現場に向かい、その現場を見て自身でその場で指示出しをします。

失敗を責めない

パウ・パトロールは完ぺきではありません。また、時にはトラブルを更に悪化させる住人達もいます。それでもケントはその人たち(犬たち)を責めません。悪化した状態から新たなアイディアを出し解決のために尽力します

小さいことでも褒める

パウ・パトロールが実施することの多くはプロフェッショナル性があるものですが、一部非常に難易度の低いタスクもあります。それでもケントは「よくやったね」と全力で褒め、モチベートします

上記を実践する10歳児。繰り返します、ケントは聖人です

ケントが実践するプロジェクトマネジメント

もう一点あげるべきポイントとして、ケントは非常に優れたプロジェクト推進の手法を実践しています。

全メンバーを一か所に集め、全員に対してブリーフィングを行う

トラブルが起こり、ケントがそれを把握するとパウ・パトロール全員に対して「パウ・ステーションに集合!」と号令をかけ、全員を一か所に集めます。そして、全員に対してモニターを映しながら状況の共有を行います。これはチームメンバー全員に今起きている状況を把握させるうえで非常に効率的です。そして、共有の仕方も素晴らしいです。

  • 誰がどんな状況かを伝えます(ex:チカレッタが高いところから降りられなくなった

  • モニター上で場所を示し、向かう場所を明確にする(ex:地図がモニター上に表示され、ピンが立っている)

  • どんなことで困っているかをちゃんと伝える(ex:市長が不安がっている、チカレッタがけがをするかもしれない)

  • 鼓舞する(ex:助けに行ってあげよう!)

適切のアサインでトラブルシューティングを行う

上記のような形でトラブルの共有をしたら、誰に何をしてもらうかを依頼していきます。上記のケースであれば、はしご車をつかえるマーシャル、メガホンを使ってチカレッタに指示をするチェイスがアサインされるでしょう。ケントの素晴らしい点は、それをブリーフィングの場できちんと伝えること。「君にはこれをやってもらう」という依頼を適切にします。そしてもう一つ、それを全員がいる場で共有します。
上記を実施することで良い点として、アサインされたメンバーはなぜ自分がそれを行うのかを納得感持って実践できること。もう一点はアサインされていないメンバーが他メンバーが何をしているかを把握できることです。

実際に、トラブル解決をする際には思っていた通りに行かない場合もあります。トラブルが広がる場合もあります(ex:はしご車がとどかない)その際にはさらに別メンバーをアサインしますが、その際のインプットは既に済んでいます。発生している問題も、現場状況も、他メンバー状況も。そのため、スムーズにトラブル解決に対応することが可能になるのです。

リーダーが意識すること

パウ・パトロールのことをたくさん書きましたが、実際の仕事に置き換えてどうでしょう?
実プロジェクトの場面では、多くの問題が発生します。そしてそのうちの数割はコミュニケーション不足が起こすものです。
誰が何をしているかがわからない。課題やトラブルが起きても当事者でない場合にはその事実のみしか知らない(誰が何をしたとか把握していない)。追加アサイン時に状況がよくわかっていない、納得感がない、etc…
リモートも多くなり、物理的に会わないという場面も増え、コミュニケーション量はどうやったって不足しがちになります。特にプロジェクト形式の仕事は新規性が高くそもそもで難易度が高いものです。それでも仕事では成果を出していく必要があります。
そこでリーダーが意識すべきは、チーム内のコミュニケーション量の増加と、意識的な情報共有かと思います。なぜやるのか、誰がやるのか、何が起きているのか、今後どうするのか、、プロジェクトのような属性のある仕事はコミュニケーションの量と質がある程度ないとどうしても失敗します。

コミュニケーションを活発化させるヒントは、パウ・パトロールに多くあるように感じます。もしお時間がある方は、子ども番組として侮らず、観てみてはいかがでしょうか。何かヒントがあるかもしれません。


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