見出し画像

「熱狂顧客戦略」が2年後に重版しました

うれしいお知らせがありまして。

2年前の2018年2月に出版させていただいた「熱狂顧客戦略」が、発売から2年経って重版のお知らせをいただきました。入れ替わりの激しいマーケティング本で2年かけて重版というのは、決して昨今のビジネス本のようなイケイケな感じではないと思うのですが、2年後に初めて重版がかかったというのも、この本を必要としてくださる方がずっとい続けてくださったからだと感謝しています。

この2年後の重版という意味をポジティブに噛み締めながら、2年前の出版時にMediumに書いていた記事を読み返しました。2年前なのでだいぶ恥ずかしい部分はあるのですが、その当時自分自身で書いていた「ミクロな視点から再度マーケティング活動の全体像を捉えなおし、顧客の熱量と向き合うことによって、マーケティングの未来を照らしていく」という思いは幸い今もずっと持ち続けられています。そんな思いも再確認できて、過去の自分の記事を読むのは恥ずかしいけど良い機会になりました。

本を手に取ってくださったみなさん、本当にありがとうございます。これからもこの本が愛されるように変わらない想いを持ってやっていきたいと思います。

===以下は、その内容を転載したものになります。===

このたび、翔泳社さんより、本を出版させていただくことになりました。発売日は来年2月15日(木)、先日からAmazonでも予約開始となりましたので、解禁させていただきます。
タイトルは、「熱狂顧客戦略」。顧客の熱量にフォーカスし、熱狂的なファンとともに導くマーケティング戦略について解説した本になっています。​

この本を書いた経緯について、今日は少しご紹介できればと思います。
僕がトライバルメディアハウスに入社したのは2010年。今から約7年前になります。当初はTwitterやFacebookが日本に上陸したばかりで、日本の企業がこぞってソーシャルメディアマーケティングに取り組み始めた時期でした。そのなかで、企業のソーシャルメディアを活用したダイナミズムを体感し、新たなマーケティングの可能性を肌で実感してきました。
特にトヨタ自動車がTwitterアカウントを開設したときの自動車メーカー同士のやりとりは、今でも強く記憶に残っています。

一方で、そういった可能性だけでなく、ソーシャルメディアの危険性もこの数年間で数多く経験してきました。企業にとって、今やソーシャルメディアは”ファンとの絆をつくっていく場”でもありながら、一歩間違えるとファンの期待を裏切ってしまうもろ刃の剣でもあります。

そんななか、ソーシャルメディアでファンを増やしていくことが企業のマーケティング活動の中で推進され、ソーシャルメディアアカウントの「ファン」と呼ばれる人の中にも、本当にそのブランドのことを好きで「いいね」をしているユーザーと、キャンペーンやインセンティブ目的で「いいね」をしているユーザーとが混在しはじめるようになってきました。僕たちは2015年ごろから、このような一般的な「ファン」と呼ばれるユーザーの中から、ブランドを熱狂的に愛してくれている一部のユーザーを「熱狂顧客」と呼び、彼らからマーケティングのヒントを得たり、ときにはコンテンツを共創していきながら、マーケティング活動を行っていくうえでのパートナーと位置づけ、コミュニケーションをデザインしてきました。

マーケティング活動をどこから始めるか

トライバルメディアハウスは、企業のソーシャルメディア活用とともに成長してきた会社です。ソーシャルメディアという領域の中でブランドのファンと徹底的に向き合ってきたことで、僕たちは、ブランドの熱狂的なファンこそ企業のマーケティングの未来の担い手であり、ともに手を携えて未来へ向かうパートナーになる存在だと、確信しました。

圧倒的に成熟しきった国内のマーケティング環境の中で、新たなテクノロジーによって顧客とのコミュニケーションを効率化していくことも重要な手段のひとつです。一方で、マーケターが覗く望遠鏡の解像度を極限まで高め、顧客の心の中で一体何が起こっているのかを徹底的に理解することも、とても重要になります。

ブランドに熱狂する一部の顧客の心の中を理解し、マーケティングファネルを従来とは180度異なる角度から覗くことで、ただひたすら認知を獲得するマーケティング活動から、熱狂的なファンをブランドの資産と捉え、彼らの力をレバレッジさせ、ファンの上に新たなファンを積み重ねていく活動を継続的に行っていくことによって、マーケティングが本来やりたかったことの輪郭が明らかになっていくと信じています。

「キズナのマーケティング」の続きを書きたかった

僕がトライバルメディアハウスに参画したのは、代表の池田が書いた「キズナのマーケティング」(アスキー新書)を読んだことがきっかけでした。当時、僕は渋谷にある別の広告会社で働いていて、3年目のタイミングで実家の鳥取県に帰ろうと思っていたのです。

田舎出身者にはお馴染みかもしれませんが、田舎には車の代行タクシーというものがあります。僕の田舎にもA社とB社の2社の代行タクシーがあり、A社の社長は一生懸命ブログを書き、B社は特になにもしていなかったようです。

すると、「どうせだったらA社の代行を呼ぶか。」「A社の人って面白いよね。」という声が広まり、A社を利用する人が徐々に増えていったというエピソードを知人から聞きました。僕はそのとき、マーケティングとは本来こうあるべきなのかもしれないと思い、以前からブログを読んでいたトライバルメディアハウスという会社のドアを叩きました。

めでたく入社できた僕は、本当にさまざまなプロジェクトを経験してきました。今まで社内でどんな仕事も断らなかったことだけが、僕の唯一の自慢です(笑)。そして、それらの経験を総動員して、いつかこの「キズナのマーケティング」の続きを書いてみたいと思うようになりました。今回、タイトルこそ「熱狂顧客戦略」となっていますが、「とにかく顧客をエキサイティングさせよ」ということがメッセージではありません。僕が書きたかったのは、ブランドとのゆるやかな”キズナ”の延長線上にある顧客との新たな関係性。

つまり、僕にとってこの本は「続・キズナのマーケティング」なのです。
顧客をいかに振り向かせるか、振り向かなければどのようにしてずっと顧客の背後を追いかけ続けるか、ということがマーケティングの主戦場となりつつある現代だからこそ、ミクロな視点から再度マーケティング活動の全体像を捉えなおし、顧客の熱量と向き合うことによって、マーケティングの未来を照らしていく、そんな本を書いてみたいと思いました。

今回、社内外を問わず、多くの方のお力によって、この本を上梓することができました。前職も含め、これまで本当に多くの先輩や同僚、後輩に恵まれてきました。ありきたりですが、これまでみなさんとともに経験してきたことに対する「感謝」という言葉しかありません。まだ出会ったことのない多くの方々にこの本を読んでいただきたいと思う一方で、この本を書きながら頭の中に浮かんでいたのは、自分の身近な先輩、同僚、後輩、トライバルメディアハウスの卒業生たちの顔でした。この本の中で書いていることは、彼らと共に乗り越えてきたプロジェクトから多くのヒントを得ています。みんなと一緒に成し遂げた数多くのプロジェクトがこの本の資産そのものなのです。

いよいよ、来年2月15日(木)から書店に並びます。もし見かけたら手に取っていただけるとうれしいです。今まで出会った多くの方々への感謝とともに、自信をもってこの本を世に送り出したいと思います。

===引用おわり===


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?