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言葉に固執しない

#就労支援の現場から

こうやって毎日noteを投稿していて、「言葉が大事」「言語化最高」「言葉を紡ぐ支援員」みたいに言葉言葉ことばぁ~!ってなっている自分だが、そんな自分が大切にしていることがある。それが、

言葉に固執しない


いや、おいっ!!言ってることが違うじゃないか!

という声が聞こえてきそうだ。その気持ちはわかる。自分が言葉が好きである事実に変わりはないし、言葉にできないより言葉に出来た方がいいこともわかっている。

そういった言葉の重要性をわかったうえで、あえて「言葉に固執しない」という視点は持っていたいな、と思うのだ。

それに気づかせてくれたのが、就労支援での現場から。

私が働く就労支援の現場、就労移行支援では主に脳卒中や脳卒中に伴う高次脳機能障害、身体障害の方が多い。そういった方々が「はたらく」を実現させるために日々プログラムを遂行している。

脳卒中による高次脳機能障害。
あまり聞き馴染みがない方もいるかもしれない。もともと世間的に「普通」と呼ばれる状態で生活をしていた方が、脳卒中を発症することによって後遺症として高次脳機能障害を持つケースがある。

高次脳機能障害と一概に言っても中身はさまざまで。
認知機能の低下や注意機能の低下、感情のコントロールが難しくなったり、マルチタスクが難しくなったり。言葉をうまく話せない、理解できない等の失語症の状態になる方もいる。


移行支援のプログラムではその利用者さんがわからない部分を支援員が説明することがある。

「ここはこうで~、こういうところを意識してー」

話しながらも内容が伝わっているのかどうかは反応を見てなんとなくわかる。『その人に伝わりやすい言葉選びはなんなのか』、ここは永遠のテーマとして日々考え、探り、試している部分。

ただここで大切にしたいのが「言葉に固執しない」ということ。
何かを伝える手段は言葉が全てじゃない。

ある時、いろいろな「言葉」での伝え方を工夫してもなかなか伝わらないなぁ、、どうすれば伝わるかな、と考えていたことがあった。
そこで試しに、

「私が自分のパソコンでお手本見せてみますね!」

とお伝えし、実際にやってみせた。

するとどうだろう。
それまで全くできていなかった部分の動作が、一瞬にしてお手本のとおりできるようになったのだ。コミュニケーションは言葉だけじゃないということを教えられた気がした。


もちろん言葉は大切だ。
言葉選びは追究したほうがいいし、言語化はできるようになったほうがいい。これからも『その人に刺さる言葉選び』は探り続けていくつもりだ。

ただそれと同時に、言葉だけじゃ伝わらないこともあるということを頭の片隅に置いておきたいなって思う。そして言葉よりも伝わる手段があるのならそれを選べるだけの余裕と選択肢の多さを持ち合わせていたいなって思う。

なんせ一番の目的は、
「言葉のプロ」になることではなく、「伝えるプロ」になることだからね。


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