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今だからこそ語ろう「挑戦の舞台」マイナーリーグの魅力

プロ野球の開幕が発表され、メジャーリーグも交渉が続いている中、なかなか明るい兆しが見えないのがマイナーリーグ。今季のシーズンが開催されるか否かも非常に厳しい状況となってきました。

すでに数百人の選手が解雇、さらには職員も職を失うという事態が増えてきています。

収入源の多くが来場する観客によってもたされるマイナーリーグの世界にとっては無観客での再開をしても非常に厳しい。選手やコーチ陣の人件費はメジャーリーグの球団が持っていますが、放映権なども莫大ではない、そうなるとボールパークでの”体験”を売りにしてきたマイナー球団にとっては厳しい状況は予想できます。

こんな中ではありますが、そのマイナーリーグの魅力を改めて語りたいと思います。私も仕事の関係上、マイナーリーグの舞台に多く携わる機会もありました。さらには日本企業の視察等などに同行して訪問する場面も何度かあり、その中で感じる世界観はまたアメリカ四大スポーツとは違った要素があります。

とにかく「チャレンジ」することが許される舞台

興行を開催するに当たって、人にその場所へ来てもらうことが必要。そのためにはイベントの告知、PRも欠かせない。けれどもここに費やすことの出来る資金が限られている場合どのようにして話題作りをしていくかも重要。マイナーリーグではこの”話題作り”においては少々行き過ぎたものでも、そのチャレンジ精神が許されている印象があります。

これは提携しているメジャーリーグ球団に所属する選手が乱闘を起こし、グラウンド上で相手選手にパンチをお見舞いしたのですが、その傘下球団がその”パンチ”をプロモーションに活用してドリンクまで新たに作った例です。ドリンクの値段は乱闘が起こった5月15日にちなんで5ドル15セントに設定する徹底ぶりでした。

ある球団では来場者先着500人に珍しい2ドル札をプレゼントするという企画も。担当者はインタビューにて常に「Outside the Box」なことを考え、人々の会話となる仕掛けを発案していると話しています。常識に捕わず、野球という興行の枠を超えた考えを持って人々を呼び寄せることを意識しているのだなと改めて思います。

スポーツ界の”人材”を育てる場所

スポーツ界での仕事を目指す人にとっては、いきなりMLBやNBAの舞台に行くとこういった大胆なプロモーションはなかなか出来ません。部署隔てなく、アイデア出しを存分に出来るのはマイナーリーグならでは。米国のスポーツ業界にとってチャレンジをする”人材”作りにとっても非常に重要な舞台なのです。

日本人の方でもトレーナーを始め、多くの方がこのマイナーリーグで経験を積んできています。その貴重な舞台が減ることは日本スポーツ界にとっても少なからず影響を及ぼすことになる可能性もあります。もちろん選手、コーチ陣にとっても育成の舞台でありますので、チーム数が減少することになればそれだけチャンスの場も減ることになります。

毎年野球界を目指して、全米から学生が集まるウィンターミーティングの就職フェアはマイナーリーグが主催となっています。今年の冬はスポーツ業界を目指す学生にとっての風物詩ウィンターミーティングのジョブフェアが開催されるのかも心配ですね。

「アイデアの宝庫」

様々なチャレンジが許されていることから本当にアイデアの宝庫であるのがマイナーリーグです。おそらく日本から視察した関係者により、みなさんの応援する球団やクラブにも導入された取り組みなどもあるかもしれません。

毎年マイナーリーグ関係者が集うイベントがシーズン終了後には開催されています。私も2008年にテキサス州オースティンで開催されたプロモーショナルセミナーに展示会に参加する日本企業のサポートをするために伺いました。今思うと、学生の身でこのような場に関わることが出来たのは非常に貴重な機会でした。

ここではマイナーリーグ約160球団の関係者が集い、勉強会を行うと共に今季一番上手くいったプロモーション、失敗してしまった企画などを共有する時間も設けられています。その時に関係者が失敗した例を挑戦の結果という風に捉え、誇らしげにそのチャレンジを語っていたのが印象に残っています。

もちろんマイナーリーグには興行としての魅力も多々ありますが、業界にとってのその重要性について考えてみました。それぞれの視点によって、マイナーリーグの魅力は様々だと思います。

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最大のコンテンツである試合が出来ない、そんな中でも挑戦し続ける球団があります。直接支援は出来ないかもしれませんが、色んな形でマイナーリーグが話題となり、盛り上がり、この危機を乗り越えていって欲しいと願います。






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