木星よりも10倍熱いホットジュピターを宇宙望遠鏡が解き明かす
こんばんは、りょーです。
今日公開された注目の論文は、ホットジュピター「熱い木星」と呼ばれる星を2つの人工衛星を組み合わせて観測した研究です!
音声でお楽しみいただきたい方はこちらからどうぞ。
今回も記事の内容を理解した後に、英語学習に使えるよう論文のアブストラクト(概要)を載せておきましょう!
興味がない人はスルー!スクロールしちゃいましょう!笑
We present a 0.3-5 micron transmission spectrum of the hot Jupiter HAT-P-32Ab observed with the Space Telescope Imaging Spectrograph (STIS) and Wide Field Camera 3 (WFC3) instruments mounted on the Hubble Space Telescope, combined with Spitzer Infrared Array Camera (IRAC) photometry. The spectrum is composed of 51 spectrophotometric bins with widths ranging between 150 and 400 Å, measured to a median precision of 215 ppm. Comparisons of the observed transmission spectrum to a grid of 1D radiative-convective equilibrium models indicate the presence of clouds/hazes, consistent with previous transit observations and secondary eclipse measurements. To provide more robust constraints on the planet's atmospheric properties, we perform the first full optical to infrared retrieval analysis for this planet. The retrieved spectrum is consistent with a limb temperature of 1248±92 K, a thick cloud deck, enhanced Rayleigh scattering, and ∼10x solar H2O abundance. We find log(Z/Z⊙) = 2.41+0.06−0.07, in agreement with the mass-metallicity relation derived for the Solar System.
"The HST PanCET Program: An Optical to Infrared Transmission Spectrum of HAT-P-32Ab" Alam et al. 2020
今回研究の対象になっているのは"HAT-P-32Ab"というホットジュピター。
ホットジュピターって初めて聞きましたか?名前の通り「熱い木星」です。名前の由来についてはホットとジュピターを分けて説明しなくてはいけません!
私たちの近くにある太陽系の木星同程度の重さを持っているガスでできた惑星なので"ジュピター"という名前が与えられます。
そしてなぜホットなのか?惑星なので、恒星(太陽のように自分で輝く星)の周りを回っているわけですが、その距離が尋常じゃなく近いんですね。
その距離は地球と太陽の距離の半分以下!!
なので、中心の恒星に照らされて、あっつくなっているので"ホット"ってことです。
こんなホットジュピターの素性を明らかにしてやろう、という今回の研究。
使われた衛星は"ハッブル宇宙望遠鏡"と"スピッツァー宇宙望遠鏡"です(両方とも宇宙望遠鏡ってのがかっこいいw)。
ハッブル宇宙望遠鏡の方は、知ってる方も多いのではないでしょうか?
こいつです!
これは私たちが見ている光と同じような物を見る望遠鏡なので、地上のものを宇宙に打ち上げてやったような感じ。
みなさんが見る凄まじく綺麗で高精細な宇宙の写真はこいつがとったものの可能性が高いですね!
近いうちにハッブルがとった宇宙写真特集でもやりたいなぁ!
もう一つ使われた衛星スピッツァー宇宙望遠鏡。
こいつは、赤外線という光を見ることに特化した望遠鏡です。
あんまり馴染みがないですよね?地上で使われている例としてはサーモグラフィーとかですね!そんな感じで人間の体温とかそれよりちょっと温度が高いところから出るような光を主に見れる望遠鏡です!
こうやって、違う種類の光を用いて天体を観測してあげることで、研究対象の星の表面温度がわかります!一つの光の種類だとなかなかそれがわからないんですねぇ〜意外と複雑なんです。
そしてその結果、このホットジュピターの温度は974.85度でした!太陽系の木星は-148度なので、どれだけホットかは一目瞭然ですね!恒星の力おそるべし。。。
さらにこの観測から、ホットジュピター"HAT-P-32Ab"に含まれる金属の量を見てあげたところ、太陽系の惑星の中で見つかる星の重さと金属量の関係性と同じ特徴を示すことがわかりました!
これは、太陽系が特別なわけではなく、他の恒星の周りにできる惑星と同じような形成過程であることが考えられる結果です!
こうなると、他の恒星の周りに地球みたいな惑星ができることも考えられるってことに。。。。
ますます将来の系外惑星研究が楽しみになってくるなぁ〜!!
ロマンだ!!
今日の論文は、はるか遠い宇宙にあるあっついあっつい木星のお話でした。太陽系と特徴が似ているというのは衝撃ですね!
一つの衛星ではわからない情報を、他と組み合わせることで解明するというのも、チームワーク感があって素敵な研究ですよね。できないことは補っていこうぜ!みたいな笑
今後もこういった系外惑星のお話は取り上げていきましょう!ワクワクする!
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今日の「日刊天文マガジン」は以上になります。
それではみなさんまた明日! Stay healthy and safe!!
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