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人材派遣利用マニュアル ~人材派遣利用のルール~ ⑦同一労働同一賃金とは

人材派遣利用マニュアル ~人材派遣利用のルール~編を解説しています。

人材派遣を利用する際に知っておくと良いルールの紹介です。

今日は、第七弾!「同一労働同一賃金とは」いってみましょー!

「ひたすら具体的」で「生々しく」人材派遣利用の教科書を作るという狙いなので、僕の独断で、派遣先企業が知っておくべきことについて超実践的に解説していきます。

シリーズのマガジンはコチラ↓



同一労働同一賃金とは

まずは、同一労働同一賃金について、簡単におさらいをします。

2020年4月から始まっている、その内容は、以下のサイトにすべて載っています。



・・・・・残念ながらとんでもないボリュームです。

ここまで、このマガジンを読んだ人がいたら、それだけでも長くて嫌になるのに、こんなに見たくないよ・・・って思いますよね。


正直、僕も直接雇用の同一労働同一賃金についての細かい部分など、追い切れていない情報もあり・・・関連法がめちゃくちゃ多い、人事の方の勉強量や知識量には尊敬の念しかありません・・・



そして、安心してください!

かなり、粘着質な僕でも、このボリュームをnoteに書いていく勇気はありません!


このnoteは、何の準備もなく、人材派遣を利用することになった方を想定して書いてます。

派遣法の同一労働同一賃金について知る前に、一般的な同一労働同一賃金の概念において、知っていたほうが良い部分だけをかいつまんで説明していきます。



まず「同一労働同一賃金とは」

同一労働同一賃金=同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者) と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すもの

です。


これ、初めて聞いた人とかどういう感情になるんだろうw

どこに同一感があるのか・・・って思うのかな。

とにかく、僕は、初めて読んだとき、同一労働同一賃金じゃないじゃない・・・と思いました。



同一労働≠同一賃金

出ました。

知っておかないといけない筆頭で、かつ、ひっかけ問題になっているポイントが、この、「えっ?同一労働=同一賃金ではなくて、不合理な待遇差解消なの?」問題です。

結論から言うと、日本における同一労働同一賃金と言うのは同じ仕事なら同じ賃金と言うことを指すわけではなく、いわゆる正社員とそれ以外のいわゆる非正規雇用の待遇格差を是正するものです。

待遇なので、福利厚生なども入ってきます。すなわち、もはや、賃金ですらないという・・・待遇格差の解消なので、いわゆる非正規雇用の待遇が正規雇用よりはるかに高くても、別に問題なかったりします。

完全に、同一労働≠同一賃金なんですね。もう同一労働同一賃金は関係ない


では、なぜ、同一労働同一賃金と呼ばれているのか。それは、”日本版”同一労働同一賃金というキャッチコピーだと捉えると分かりやすいです。(あぁ・・・日本版ジョブ型に似ている・・・)

その辺を説明していきますが、ここでは、

①読んで字のごとく同一労働同一賃金を捉えると、ブービートラップにひっかかる

②日本の「同一労働同一賃金」施策は「正規・非正規社員間の待遇是正」にフォーカスしているということ

を知っておいてください。



なぜ「正規・非正規社員間の待遇是正」にフォーカスしたのか

ILO(国際労働機関)では、同一労働同一賃金については差別是正の観点から定義されていて(正規・非正規って言い方も差別ですよね。正規ずってなんだよ(# ゚Д゚))

「人種、皮膚の色、宗教、性別、政治的意見、国民的出身、社会的出身その他、遂行すべき業務と何ら関係のない属性」によって労働者が差別されることを「雇用および職業における差別」だとしています。


もう、これを守ったらいいじゃん。って言うほどに本質的ですが、なぜ日本では「正規・非正規社員間の待遇是正」にフォーカスしたのでしょうか。

その理由は大まかに2つあります。(僕はこの2つと理解しています)


①そもそも、働き方改革の文脈から出てきた

これが最大の理由です。

そもそも同一労働同一賃金というのは「働き方改革」の一環です。働き方改革とは厚労省のサイトによると以下の通りです。

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ものすごく、雑にまとめると、

「少子高齢化で働き手が減ってピンチ!育児や介護と両立して働けるようにして、女性やシニア層、などにもっと働いてもらわなきゃ・・・」という状況なので、正社員一択ではなく、様々な働き方を選択できる社会を作ろう!

と言うことです。


で、最近立て続けに、残業上限ルールやインターバルルール、有給5日取得させる義務、細かいところだと、労働時間把握や健康管理、フレックスの拡充などの改革が起こっているわけです。

その一環が、同一労働同一賃金なんですね。しかも、その中でも、肝いり政策。

建前的な表現をすれば、

【非正規雇用が不当に低い待遇だと、それではいくら非正規雇用が柔軟な働き方とはいえど、これ以上労働者が増えると思えない】

と言うことですし、ちょっと意地悪な捉え方をすれば、

【「年収800万正社員+パートタイマーのモデル」だとフルタイム労働者が1名しかいないですが、「年収450万の正社員+年収350万の非正規雇用モデル」が主流になれば、フルタイム労働者は2名になる」】

と言うわけです。


企業の給与原資である利益がいきなり倍増するわけないことを考えると、正社員(いわゆる働かないオッサン的なポジションの人)の待遇が下がって、非正規雇用の待遇が上がるという形にならざるを得ないといってもいいかもしれません。

でも、年功序列の道半ばで梯子を外されるのも、それはそれで、不合理ではないのか・・?とは思いますけど。


話を戻すと、諸悪の?根源は少子高齢化で、経済は伸びないし、でも働き手は足りないし・・みたいなことがあり、働き方改革の文脈から、女性やシニア層を働き手として増やしたいという身も蓋もない狙いがベースにあるからこそ、正規雇用と非正規雇用の待遇格差にフォーカスしているのだと理解すると、分かりやすいです。(本当に、雑ですが)



②企業内労働組合である

2つ目の理由が、欧州などの企業内の組合の上部組織に「産業別労働組合」がある形とは異なり、日本は「企業内労働組合」だけであることです。

言うまでもない…と思うのですが、同一労働同一賃金はそもそも欧米の概念です。欧米はベースとして産業ごとに労働組合があります。

例えば自動車整備工であれば、産業別の組合が勝ち得た待遇水準があり、メーカーが変わっても大幅に待遇が変わることが少ないです。(転職が一般的になるのも分かりますよね。)

一方で日本では、企業内の労働組合のみなので、一般的に同じ整備工であっても会社が変われば待遇が変わるのが普通です。(ってか年齢でも変わります。)

※主語が欧米と圧倒的なサイズ感なので、厳密に言えば、雑を通り越して間違っているとことを書いているのではないかと不安になります(実際、アジアの国はーって言われても、該当したりしなかったりしますよね)が、とりあえず、欧米なんて言っても色々あるよな!ってことは理解しつつ、こんな感じでとらえてください。


したがって、そもそも同一労働同一賃金的な概念がなく、年齢によって給与が上がる年功序列の職能給が主流であった日本では、同一労働同一賃金という概念への親和性が少ないわけです。

本当の同一労働同一賃金や職務給を、全体でやろうと思ったらそれは、正社員という概念をぶっ壊すところから始まりますが、それは中々タフな改革です。(徐々にそうなっていっている部分はあるでしょうけども)

ですので、まずは、正規雇用と非正規雇用の待遇格差にフォーカスしたという側面があると言えるでしょう。



最後に

今日のnoteは「同一労働同一賃金=正規・非正規社員間の待遇是正」というお話をしました。

同一労働≠同一賃金となっている理由は、
①働き手を増やしたい
②(でも)正社員という制度?にはメスを入れないため

と理解いただけると分かりやすいと思います。


次回以降、「人材派遣における同一労働同一賃金」を解説していくにあたり、避けられない内容である、同一労働同一賃金の解説をさせていただきましたが、「分かりやすい解説をしているサイトなどを紹介すれば良かった・・・」と少し後悔をしていますw 現在進行中で、かつ、アカデミックなことに言及するのは、結構勇気がいる・・・

(でも、どの解説ページも表層は理解できるのですが、僕自身がピンと来なくて・・・)


このnoteは、僕が実務を行う上での、大まかな理解です。気になる方は厚生労働省のページや他の解説サイト、書籍などで調べていただけますようお願いします。

そして、「その表現は間違っている」とか「誤解がある」「おおげさ!」などのご指摘は、↓コメント欄までぜひ、お願いします!

次回は、「人材派遣における同一労働同一賃金」について解説します。

では、また!




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