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イギリスは株式投資型クラウドファンディング先進国?

こんにちは。
マシューです。

今週末からGW、5/1には平成から令和への改元と大きなイベントが目前に迫っています。
例年以上に特別な連休となりますが、みなさまご予定はお決まりでしょうか?
折角の10連休ですので、旅行、帰省、家でのんびり、勉強など好きなことに時間を費やしてリフレッシュできると良いですね。

さて今回から、海外の株式投資型クラウドファンディング(株式投資型CF)に関する情報をお伝えしたいと思います。
海外、特にイギリスやアメリカでは、日本以上に株式投資型クラウドファンディングを通じた資金調達は一般的となっています。
今回は、イギリスの株式投資型クラウドファンディングの情報をお伝えします。

※記事の中では、1ポンド=146円で換算しています。

|イギリスの株式投資型クラウドファンディングについて

イギリスでは2011年から2012年頃に株式投資型クラウドファンディングが利用され始め、株式投資型クラウドファンディング調達総額は、EU各国と比較すると突出しています。
突出している要因としては、法規制の違い(例えば、イタリアでは資金調達額の 10%分はプロ投資家から調達しなければならず、フランスではデューデリジェンス内容の開示が義務付けられている等、一見厳しいルールがある。)が大きいのでは、と想定しています。

|株式投資型クラウドファンディングに関する制度

イギリスでは2014年に、株式投資型クラウドファンディングを規制証券業務としてFCA(Financial Conduct Authority:金融行動監視機構)の規制下に置くこととし、大きく2点のルールが設けられました。

1点目は、条件をつけることで投資可能な投資家を限定することです。
株式投資型クラウドファンディングを通じて投資を行うことができる投資家の条件は以下になります。

①プロ投資家
②ベンチャーキャピタル
③投資判断能力がある投資家の認定を受けた者
④投資判断能力がある投資家の自己申告した者
⑤富裕投資家の認定を受けた者
⑥投資可能な金融資産の10%以上を非上場会社の株式/債権に投資しないことを自己申告した者

※日本証券業協会「米英における投資型クラウドファンディングの法制度と利用実態」から引用

①、②は、業として投資を行っているため、株式投資型クラウドファンディングを通じた投資を行うことができます。
③、⑤は、一定の収入や資産を持つ人だけが認定を受けることができます。
④は、エンジェル投資家のネットワークに所属していた人やプライベートエクイティへの投資経験者、年商 100 万ポンド(1.46億円)以上の会社の取締役など、一定の要件を持った投資家が自己申告した場合のみ、当該条件を満たすことができます。

本来クラウドファンディングは、誰でも投資できる仕組みであるはずですが、上記の条件はかなり厳しい条件のように見えます。
しかし、⑥の条件であれば多くの人が条件を満たすことができるでしょう。
⑥の条件があることで、誰でも投資できる環境を整えていることがわかります。


2点目は、目論見書発行義務に関するルールです。

募集総額が500万ユーロ(7.3億円)以下である場合には、目論見書の作成義務は免除されます。
目論見書の作成義務は免除されますが、プラットフォームは、投資家に提供される情報が正確であること、リスクに関する記載を載せずメリットばかり言及してはならないこととなっています。
また、日本同様に、投資先企業に対する適切なデューデリジェンスを行い、デューデリジェンスを行った旨、その内容を投資家に開示することが求められます。

|市場規模

イギリスの株式投資型クラウドファンディング市場の調達総額は、2011年から2017年まで右肩上がりで推移しています。
2017年単体で見ると、2011年から2017年までの7年間の調達総額合計約1,413億円の約34%を占めています。

また、株式投資型クラウドファンディングで資金調達を行った後にイグジットした会社は、2016年6社、2017年は9社と徐々にイグジットする会社も増えてきています。

|株式投資型クラウドファンディング事業を行う事業者3選

1. Crowdcube(クラウドキューブ)

■設立
2010年8月

■累計調達社数
821社(2019年4月現在)

■登録投資家数
約72万人(2019年4月現在)

■累計調達額
約915億円(2019年4月現在)

■特徴
・イギリスで最大級の株式投資型クラウドファンディングプラットフォーム
・「all or nothing」モデルで、目標額を下回ると不成立となる
・フィンテック企業「Monzo」が同サービス最速記録となる96秒で100万ポンド(1.46億円)を調達
・調達に要する期間は平均4〜6週間
・1案件に対する平均投資金額は約28.6万円

2. Seedrs(シードル)

■設立
2009年3月

■累計調達社数
795社(2019年4月現在)

■累計調達額
約842億円(2019年4月現在)

■特徴
・自社でセカンダリーマーケット(流通市場)を持っている
→株式保有者はいつでも市場価格で売却することができる
・Seedrsが全株主を代表して名義株主*となる
→株主管理コストを抑えることができる
※名義株主:実際の所有者ではない者が書類の名義上の所有者となること。
・1案件に対する平均投資金額は約38.8万円
・2018年の調達成功率は74%

3. SyndicateRoom(シンジケートルーム)

■設立
2012年

■累計調達社数
170社以上(2019年4月現在)

■累計調達額
約314億円(2019年4月現在)

■特徴
・投資家主導の調達フロー
→経験豊富なエンジェル投資家等がリード投資家となり、デューデリジェンスやバリュエーション等の条件交渉を行った上で投資を行う
・リード投資家の投資後、決定した条件に基づいて他の投資家は投資機会を得る
・株主の1人が全株主を代表して名義株主となる
・平均的なPreバリュエーションは約5.9億円
・平均調達額は約1.4億円
・最低投資額は1,000ポンド(14.6万円)

※各サービスのホームページを参照。


|最後に

イギリスでは既に、株式投資型クラウドファンディングで調達したベンチャー企業からユニコーン企業が登場しています。
他にも株式投資型クラウドファンディングで調達後に買収された企業もあり、日本以上に資金調達の選択肢として普及しています。

日本でも株式投資型クラウドファンディングが資金調達の選択肢として認知され、調達する企業の中からユニコーン企業が登場する土壌作りに貢献していければと考えております。



今後も、資金調達に関する情報等、読んでいただける方の役に立てる情報を定期的に発信していきます。

次回もご期待下さい!

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