調達未経験の起業家もわかる日本の株式投資型CF

こんにちは。
マシューです。

直近2回にわたって海外の株式投資型CF（クラウドファンディング）に関する情報をお伝えしてきました。
海外では株式投資型クラウドファンディングが日本以上に普及しており、株式投資型クラウドファンディングで調達した企業の中からユニコーン企業も登場していますが、日本の状況はどうなっているのでしょうか？

そこで今回は、日本の株式投資型クラウドファンディングに関する情報をお伝えしたいと思います。

｜日本の株式投資型クラウドファンディングについて

詳細は後述しますが、日本では2015年に金融商品取引法（以下、金商法）が改正され、株式投資型クラウドファンディングが解禁されました。
実際に株式投資型クラウドファンディングが利用され始めたのが2017年なので、2017年は「株式投資型クラウドファンディング元年」とも言えるでしょう。

上図を見てみると、2017年は約6億4,400万円、2018年は14億300万円と2倍強伸びています。
しかし海外市場と比較すると、イギリスの株式投資型クラウドファンディング市場は2017年486億1,800万円であり、日本は海外に遅れをとっているのが現状です。

また、株式投資型クラウドファンディングの利用者数は2017年22社、2018年は39社と2倍近く伸びています。
これら2つの図を基に1社あたりの平均調達額を算出すると、2017年は約2,930万円、2018年は約3,600万円となっています。

｜株式投資型クラウドファンディングに関する制度

日本では2015年に金商法等が改正されたこと、日本証券業協会の自主規制規則が整備されたことにより、新規・成長企業へのリスクマネー供給を円滑に進めることを目的として、株式投資型クラウドファンディングという制度ができました。

株式投資型クラウドファンディングのルールは以下になります。

【調達する企業】
①資金調達できる金額は1年間に1億円未満
②プラットフォームによる財務状況、事業計画の妥当性や資金使途等の審査が必要
③投資勧誘の方法は、ウェブサイトを閲覧させる、もしくは電子メールを送信する方法に限定

①は、例えば2019年5月にVCから3,000万円調達している場合、2019年5月〜2020年5月に株式投資型クラウドファンディングを通じて調達できる金額は7,000万円未満となります。

②に関して、審査内容はプラットフォームによって内容は異なります。
適切な審査が行われることは、投資家が安心して投資することにつながります。

③に関して、プラットフォームが提供するウェブサイトに会社概要、資金調達の内容等を掲載する必要があります。
募集開始時には、プラットフォームが登録している投資家に電子メールを送ることで投資勧誘を行うケースが多く見受けられます。

【投資家】
①1社につき1年間に50万円以下まで投資可能
②登録をする際に審査がある
③申込の撤回が可能（申込日から8日間）

①に関して、投資家保護の観点から投資額に上限が設けられています。
上限が設けられている点は、アメリカのJOBS法が参考にされたようです。
「JOBS法の詳細はこちら↓」
https://note.mu/ecrowd/n/n4a0351e58dbf

②はプラットフォームによって審査内容は異なりますが、投資経験や金融資産等を基に審査が行われ、審査基準を満たした場合のみ投資することが可能です。

③は制度で定められているため、すべてのプラットフォームが申込撤回期間を設けています。

｜最後に

日本において株式投資型クラウドファンディングが利用され始めたのは2017年であるため、海外と比較して普及が遅れているのは自然なことかもしれません。

しかし既存のプラットフォーム業者に加え、新たに事業開始を公表している会社も出てきております。
これによって株式投資型クラウドファンディングの認知が高まり、資金調達の選択肢として認識されるとベンチャー企業に対するリスクマネー供給が円滑に進み、日本経済もより元気になるのではないでしょうか。




今後も資金調達に関する情報等、読んでいただける方の役に立てる情報を定期的に発信していきます。

次回もご期待下さい！

参照：
日本証券業協会ホームページ
http://www.jsda.or.jp/

金融庁「株式投資型クラウド・ファンディングに係る規制と実施例の傾向」
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/toushi/20180227/180227toushi07.pdf