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【ものづくり】日本の製造業の未来。海外の動向から知る日本の生き残り方。

グローバル企業はオープンマインドである。国だけでなく企業としてもオープンマインド。日本のように鎖国的ではないのだ。つまり、企業が自社内の技術やノウハウだけでなく他社を活用して事業を推進することを是としている。

一方で日本はクローズドマインドだ。国も企業も自らが持つ力の活用を目指す。自分たちに力が足りなければ内部で力を育成し事業を推進していく。一つの目標が決まれば大きな力を発揮するが、総花的に戦力が分散されるとその力は発揮されない。どうしてもリソースが足りなくなるのだ。

日本と海外の違い

面白いことに製造業でも同じような構造となっている。日本の場合、工場の生産ラインを構築するのはあくまで自社内の生産技術。そして彼らのスキルではどうしても賄いきれない部分を外部SIer(システムインテグレーター)を活用している。このような背景から日本には一部の機能に特化したSIerが山ほど存在している。

一方で海外はと言うと生産ライン全体を委託してしまう。自社内に生産技術の能力をもつ意味が無いからだ。ラインビルダーというライン全体のシステムを構築できるメーカーがいる。専門家であるラインビルダーがノウハウをあらゆるメーカにコピーしていくのだ。もちろん競合と同じ生産ラインが入ることになるのだから、生産での差別化ができなくなると言うデメリットはある。ただし、そんなところで差別化を考えず、自社のリソースを自社の最大の強みの成長に全振りしているのだ。

そんな背景もあり海外メーカーはラインビルダーというメーカーが多いそうだ。例えばドイツのデュル。ここは自動車塗装工程のラインビルドを得意としており、テスラやBMWなどグローバルで多くの自動車メーカーに塗装ラインを収めている。

なぜ違うのか

実はこのような動きは日本対策と言われている。日本のすり合わせ技術による生産の効率化は非常に大きな成果を挙げた。トヨタのトヨタ生産方式はまさに日本人の気質にあったすり合わせ技術の塊だ。

海外はそれを真似することができなかったのだ。現場力、生産技術力で日本には敵わなかった。だからこそラインビルダーなどを活用し生産で差別化を図ることをやめた。戦略的撤退だ。そのかわり、デジタル化やサービス化に特化して差別化を図った。そして今や日本の製造業を食ってしまう勢いを持つ。インダストリー4.0は良い例であろう。

今後の流れ

今後、ラインビルダーは新興国へ向かうだろう。例えばデジタルツールに強みを持つ新興国企業に対してデュルが自動車生産ラインを提供したとしよう。自社リソースを生産技術力の育成や成長に期待する必要もなく、自社オリジナルな自動車を生み出すことができる。そうなれば自動車と自社のデジタルツールを絡めたサービスをスピーディに開始することができるようになる。

このようにラインビルダーの存在は、メーカー量産につながるのだ。誰でも自動車メーカーになれるし、誰でもスマホメーカーになれる。そして各メーカーはその自動車に、そのスマホに、自社オリジナルな強み(付加価値)をつけていく。そうやって世界は多様化するニーズに対応していくことになるだろう。

日本の製造業は

さて、日本はいかにして製造業で生き残れるだろう。結論はない。ボク自身、そこに対して四苦八苦している最中だ。しかしながら時代の流れを読み、市場の変化や他社動向を知り、自社の強みを磨くことは昔から変わらない事業成長に向けたフレームワークだ。まずは知るところから始めていきたい。

リョウ

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