2023年8月21~23日 委員会市外視察

タイトルにもある通り、8月21~23日の間、所属している総務消防委員会の市外視察に行ってまいりました。

議員視察にも所属している党単位、会派単位など種類があり、今回は所属している総務消防委員会の一員として神戸市兵庫区、福岡市、広島市にお邪魔しましたので、記録を綴ります。

●1日目 神戸市兵庫区 「NATURE STUDIO」

★要約


・学校跡地を利用した施設の見学と質疑応答。
・商業や福祉施設など単色ではなく地域のニーズに応えながら複合施設として独自に運営を続けられる施設となっていた。
・京都市でも地域との親和性がとれた利活用が課題であり、事業者の募集方法も見直していかなければならない。
・事例やリスクを学ぶことで、委員会を通して市の募集要項や条件に提案をすることができるのでないかと感じた。

★記録と感想


京都駅から新快速で50分の神戸駅、そこから車で10分弱にある
「神戸市立湊山小学校」跡地を地元の工務店「村上工務店」さんが
神戸市から認定を受けて運営する複合施設です。
https://naturestudio.jp/

小学校の跡地ということで、無機質な建物を想像しておりましたが、実際は開けた地域に緑が萌え、たくさんの親子連れで賑わう町のランドマークとなっておりました。

会派の皆様と入口にて

校舎を一部残しつつ、水族館、カフェ、クラフトビール醸造場、保育園、
就労支援施設(A型)、ハーブショップが出店しています。


こちらでは見学とともに、村上工務店代表の方に
施設コンセプトや思いを伺いました。
会社としての方針や施設の詳細はHPの「ABOUT」タブに書いてある
とおりなので省きますが、概ね下記のような流れで設立をされたそうです。

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●前提
立地する兵庫区湊山地域は震災を免れた昔ながらの街並みが残りつつも、ブランド力に欠ける地域で、人口減問題を抱えていた。神戸市は土地の返却期限を定めつつも小学校校舎の存続等には条件を付けず、再活用事業者を募集。予てから社会資本の創造に関心を深めていた村上工務店がコンペの末受注した。

●方針
地元の方が馴染みを持ちやすい雰囲気と、且つ外からの集客力のある施設が融合し、一時だけでなく持続的な運営を確立する必要があると考えた。

●結果
小学校を一部残しつつ、比較的近距離の家族世帯を呼び込む「水族館」、遠方までその名前を届けることができる「クラフトビール」、緑と調和する「芝生とハーブ」、地元の方々の社会的需要に応える「福祉施設」、そして来てくれた人をもてなす「飲食」を融合させた「NATURE STUDIO」が完成した。

●副次効果
施設への公共交通機関である市バス7番線沿いにある飲食店等が共鳴し、7番線全体のブランド力を向上させる活気が生まれた。

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一階のハーブショップ。爽やかな香りが漂います。

京都市にもいくつか閉校となった小学校があり、跡地活用については様々な検討がなされていますが、一等地に建ったまま実質塩漬けになっているところもあります。

というのも、売却を優先するとホテルやマンションになって(もちろんすべてそうではありませんが)周辺になじまない地区になったり、安易に商業施設を求めると建設コストが安い薬局や倉庫などになってしまい持続可能性がなくなったりするというリスクがあり、すぐに判断ができないのです。完全に売却すると買い戻すことは金銭的に不可能なので、その活用法には一層慎重にならざるを得ません。

財政的に厳しい状況が続く中で京都市の街や暮らしに溶け込みながら行政がお金を掛けず、民間も利益を出せる方法を模索していかなくてはならない。そのような状況下で、NATURE STUDIOの活用事例は大変参考になるものでした。

建設業や福祉、商業など、専門的な施設だけを視野にいれるのではなく、複合的な施設をその町の景観を壊さない範囲で運営し、更には一帯の公共交通の振興も担う。まさに今回の視察先のような事例が理想的でありますが、問題は引き受けてくれる事業者がいるかどうか。

NATURE STUDIOを手掛けた村上工務店さんは、元々社会的な財産を生かしてまちづくりにも還元できるようなビジネスにご関心があった方なので神戸市の事業をお引き受けになったようですが、なかなかそこまでの志を持って取り組んでくださる方を見つけられないのが今の京都市です。

しかしながら、今回のような成功事例を事業者側に参考として紹介することで、明確なイメージを持ってもらいやすくなりますし、村上工務店さんが経験された事業者側に掛かる融資等のリスクなどを行政側があらかじめ理解しておくことで、募集要項の充実・緩和・改正にもつながります。

今はまだ見つけられていませんが、行政側から事例と課題を伴った開かれたアプローチをすることで、積極的になってくださる事業者も出てくるかもしれません。

市会議員が直接跡地活用者の募集をすることはできませんが、委員会活動を通じて市職員の皆さまと認識を共有し、改革を求めていくことはできます。

出てくる案や予算を確認する側に知識が無ければ、何の仕事もできません。そういう意味では、実際に現地をみて、話をうかがうというのも無駄ではないのだな、と実感した一日目でありました。

二日目は次回に続きます。


※京都市の策定した小学校跡地の利活用について記載しておきます。
https://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/page/0000188013.html

📚 平成23年11月、京都市は都心部小学校跡地の利活用方針を策定。

  • 🏫 全市的な資産活用方針と組み合わせて、学校跡地ごとに適切な活用内容を検討し、地域住民の理解を得ながら進める。

  • 🏛 利活用のために、高齢者福祉施設やこどもみらい館、芸術センター、国際マンガミュージアムなど多彩な施設を整備。

  • 🏢 活用に際しては、学校教育活動や地域コミュニティの利用、建物の歴史的・文化的価値への配慮が行われる。

  • 🎯 活用の対象と優先順位を定め、市事業、公共的・公益的団体、民間事業の順で活用を進める方針。

  • 🌐 学校跡地全体だけでなく、校舎の一部の活用も検討し、幅広い活用手法を採用。

  • 🛠 施設の老朽化や耐震化を考慮し、安全性の確保と施設の改修が行われる。

  • 🔗 他の小・中学校跡地の活用にもこの方針を参考にする。

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