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6月定例会一般質問〜サウンディングという対話②〜

2日続けて投稿しようと思ったら中2日空いてしまいました、すいません。
前回に続きサウンディングの一般質問についてです。
前回は主になぜ小さな自治体にサウンディングが向いているかを中心に書きましたが、今回は行う上での課題と感じていることを主に書きました。
よかったら前回のnoteまだご覧になっていない方はぜひそちらからご覧ください。

私が考えるサウンディング成功の鍵は職員の力量

さて、そんな大事に考えるサウンディングで私は職員の力量こそ、
最大にして最低限の成功の鍵だと考えています。
というのも、最初の方に書いた通り「対話」です。
企画を対話で行うと言っても、そもそも解決したい課題がなんなのか。
最低限そこが明確ではないと提示された方法が本当に必要なものかすら判断ができません。
なんとなく、良さげな提案だなーとふわふわ聞いてもらってはいけないのです。

私が民間として経験したサウンディング

さて、議会でサウンディングという言葉を初めて聞いた時ちんぷんかんぷんだった私ですが、意味を調べていくと「過去に事業者として参加したあれはサウンディングだったのだ」と思い当たるものがいくつかありました。
対民間でも対自治体でも、付き合いがある顧客から相談を受けたりすることは結構ありました。
その中で、官民問わず失敗するものと成功するものの共通項があって、
「こういう名目の予算、補助金、助成金がいくらあるんだけどなんかいいことできないですかね」という言い方をされることがあります。
この後のプロセスで顧客に明確に「こうすることで顧客の事業(会社や自治体)にどんな解決をもたらされるのか」が共通認識として明確に出来ない時、あまりいい結果にはつながりません。

上司から言われた「なにをもってソリューションになるか」という言葉

私がまだIT業界に入りたてのペーペーの時、サウンディング的打ち合わせから業務システムの見積もりを切って上司に確認をもらう時、上記のように言われました。
ソリューション=課題解決です。
私は言葉に詰まりました。
顧客から言われた要件をクリアすること、顧客が言ってきた予算内に収めることだけに追われていました。
後々になってわかりますが、言われた予算が縮小になることもあります。
提供する機能をリッチなものから簡素なものに変更する必要が出てくることもあります。
顧客の要件で対費用効果の悪いものを削っていくこともあります。
そんな時に「なんの課題を解決するか」が明確ではないと削っていいものと妥協してはいけないものの区別がつきません。

また、実際に顧客がシステムを使う状況を理解して、想像してそれにフィットするものでないと意味がありません。
予算が充足していてもどう考えても対比用効果が悪いものには説明をして別の提案することも必要です。

善良な民間企業ばかりなのか

実際、今思うとかつての上司はめちゃくちゃ善良な業者だなと思います。
特に自治体なんてよっぽど要求仕様を満たしていない無茶苦茶なものでない限り文句をつけません。
民間なら身銭を切っている場合にそう簡単にあきらめない部分です。

悪意がある、とは言いませんが契約書通りのことを遂行したらおしまいで、
解決の提供という観点を持っている業者の方が少ないです。
真鶴町においても悪い言い方をすれば「結果的に業者しか得してなくない?」という事業を見ることはありましたし、実際にそういうものに対してはストップをかけることが出来ました。

ある意味で、業者を見極める眼力、解決策の提供まで話をもっていく力は防衛策として自治体が持っていることが好ましく、これがあれば格段に成功率は上がるはずです。

トライアルサウンディングしませんか

上記を養うための役場職員の積極的な視察や研修は行いたいものの、目の前の業務に追われてなかなか時間が取れない旨の回答が町長からありました。
そこでトライアルサウンディングを提案しました。

近くの自治体ですと藤沢市が行っています。
行っている自治体で解釈が若干違いますが、
共通することとしては試験的に、手軽に自治体の資産を活用した事業を行うものです。
「トライアル」はいくつかの側面の意味合いを持ちます。

まず事業者としても収益性や使い勝手を試すことが出来ます。
次に、自治体としても公民連携による公共空間の有効活用を模索できるとしています。
上記の藤沢市では潔く「社会実験」との表記もあります。

私は真鶴町でトライアルサウンディングを推す理由はもう一つあって、
職員がサウンディングという手法を試し、経験を積む機会になると考えています。

藤沢市の言葉を借りれば社会実験です。
実験ですから失敗もありますし、それも貴重な情報になります。
各自治体の要綱を見る限り、概ねトライアルサウンディングの場合は
活用の結果が芳しくなかった時に「被害を抑えて引き上げる」という仕組みが組み込まれていると考えています。
失敗する場合へのケアへ考えが及んでいるとも言えます。

いきなり町の命運をかけた大きな事業で大々的にやるのではなく、
小さい実例の積み上げ、経験を先ほどの視察や研修に活かして欲しいと考えています。
実際のサウンディングを通して手腕を磨いてほしいのです。

町はトライアルサウンディングについては想定をしていなかったとのことです。
要望的になってしまいますが、ぜひこういった方法を有効活用して欲しいと考えを伝えました。

小さい実例の効能

サウンディングについて、トライアル(でなくてもいいが)小さい実例を
速やかに積み上げていくことはもう一つの意味があります。
実際に今、サウンディングという言葉は聞いている方にとっては
中々具体的なイメージが掴みにくかったと思います。
私も、一般質問を行うにあたり、内閣府や国交相の作成した資料に辿り着きましたが、それでも「真鶴で行った時に」と考えてみると少しイメージは漠然としたままです。

つまり、この小さい実例というのは町民の方にも効能があると思っています。
単純に実例があればどういうものかがわかりやすいというところです。
「実例を見れば皆さん必ず良いというでしょう」なんて思ってはいません。

このサウンディングが真鶴にいいのか、悪いのか、各個人で判断する時に
この上なく有用な材料になると思います。
曖昧なままではイメージ先行の判断になってしまいます。

秘匿性と有用性の相関

サウンディングで求められる「情報」や「ノウハウ」というものが以下に表に出ていないか、つまりは秘匿性と
その情報やノウハウがいかに使えるものであるか、有用性については相関関係があると思っています。
モノにもよりますが、先日のnoteで書いた通り全国には人口10万人未満の自治体が1400超あります。
1400超の競合他社と競争をしなければならない分野、
もう少し詳しくいうと他の自治体から顧客を奪うような分野で、
例えばいくらナイスなアイディアであっても書籍になって広く流布されているような事業計画やアイディアは有用性が低いです。
簡単に真似をされますし防衛策も練られます。
双方が同じ施策に乗り出してしまえば、自治体規模のリソースゲームになって真鶴町のような自治体には勝ち目がありません。
小さな自治体にこそ情報の秘匿性の高さが求められてきます。

そんなことを普段から考えているのですが、調べたら実際に統計センターが研究をしていました。
難しくて理解できないんですが、我が意を得たりとしておきます。

https://www.nstac.go.jp/sys/files/static/services/pdf/sankousiryou2209.pdf

秘匿性と自治体の相性の悪さ

町にとって民間の有用なノウハウや知識を提供してもらうにあたり、秘匿性の高い情報であること、
また提供される側もその秘匿性の保持に協力することが求められます。

となれば、自治体でよく唱えられる「透明性」だとか、「公明正大」だとか、「開かれた」とか、そういったものとは相性が悪い気がしています。

つまり、町がサウンディングを利用した事業を行なった時に
透明性が保てないことから、実際に選考などのプロセスに問題がなくても「何かよからぬことをしているのでは」という疑いが掛からないかという心配です。

サウンディング全体について問うた時、町からは
「事業者間などでの秘密性の保持は留意したい」
「無償で民間の知恵を借りるためにサウンディングを行うのではなく、良い知恵を提供してくれた業者には優先交渉権を与えるなど誘引策が必要」
「案件によって官民対話の方法を使い分ける」
など、秘密性、秘匿性、または横文字になりますがある程度クローズに行われる必要性の理解は持っていることは明らかです。

走っている最中にオープンにできないのであれば、走り切ってオープンにするしかありません。
ですから、トライアルサウンディングなどで小さい実例を積み重ねて「この町ではある程度サウンディングが正しく行われている」という証左が出来ることは重要だと私は考えています。
もちろん、議員としてはそれでもひとつひとつ、監視することが大事であることに変わりはありませんが、町の人が要らぬ心配を持たないで町の事業に信頼を向けられることも大事なことだと思っています。

総括

今回、サウンディングについて取り扱いました。
先日のサウンディングについて書いた前編で内閣府、総務省の資料を提示しましたが、実際にあれがサウンディングのあるべき形であるというには定義づけがだいぶ曖昧である気がしています。
やはりここも、自治体規模で変わってくるであろうということなのでしょうか。
町長からの回答で印象深かったものがあります。
「先日横浜市の元職員とも議論した中で気づいたのだが、
やはりマーケットの規模が大きい自治体であれば企業も手を挙げやすいが
我が町のように住民も観光客もさほど多くない中だと手を挙げてもらうこと自体が難しいので方法を模索していく」という話です。

そりゃそうだ、と思う反面、「チャンスがある」と安心しました。
これがサウンディングを行えば簡単に全てがいい方向に変わる、なんてことだとそれは簡単に他の自治体も出来てしまうことになります。

最近、地方で暮らすということはとても贅沢というか、
そんなふうに考えるようになりました。
実際に都会のオフィス街のように人とお金の流れの密度が高ければ、そりゃ何やってもある程度上手くいくよなと思います。
個人が暮らす分には生活費が高い安いなどもありますが、自治体経営としてはどう考えても都会の方が容易いです。

そんな中で「難しい」ことがあれば、それは他所の自治体にも難しいことです。
そこを真鶴町だけが突破出来れば強みに変わります。
理由は問わずにこの町に住むことを決めた人たちのためにも、
町がある限り「難しい」に挑戦し続けなければならないのが小さな自治体の宿命です。

先に申し上げた内閣府、総務省の資料で定められている「サウンディング」の定義なんて実はどうだっていいのです。
真鶴町が好事例を重ねそれが小さな自治体向けの「真鶴町型サウンディング」になればいいと思っています。

サウンディングによる挑戦は期待が大きい分野でもありますので、その分こっちも突き詰めて考えて、これからも議員としてチェックしていきます。

お読みいただきありがとうございました。

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