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自治体と人手不足

14日の金曜日に閉会した6月定例会の補正予算の質疑の際、
人手不足、業務の担い手不足について町と議論を行いました。
具体的に、補正予算内で質疑を行なったのはICT教育の支援員です。
補正予算では教育費の中の「ICT教育推進委託料」という名目です。
ただ、その他にも目に見えて人手が不足している部分は他にもあります。

ICT支援とは

教育費の中の「ICT支援」とは何か、よくわからない人も多いかと思います。
私はそれなりにITに詳しいのですが、そんな私でも「どこをどこまでやるのよ」と、実際に自治体の唱えるICTが何をしたいか計りかねています。
というのも、自治体の業務自体が全然ICT活用できていないわけですから。

質疑の前に実際に詳しく委託したいと考えている業務内容のヒアリングをしました。
ざっくり言ってしまうと、今学校に配られている「タブレット端末」について、そもそも使えるようにセッティングなどする支援、学習に有効に活用する支援が一緒くたになっている状況です。

難易度の高い支援と低い支援

同じICT支援の中身でも難易度が高い(=人材が限られる、単価が高い)仕事と、難易度が低い(=人材は豊富、単価は安い)のふた通りがありました。
難易度が高い仕事は以下のようなものです。
・専門性の高い仕事(ネットワークやセキュリティの専門知識が必要)
・教育現場独自のソフト(ノウハウを知る人が限定的)
・教職員や生徒の個人情報が含まれる(秘密保持契約などを結び、管理に工夫が必要)

反対に、難易度が低いのは以下のようなものです。
・一般的にやり方が周知されている機器のメンテナンス
・普通にタブレットを使う人なら自ずと行う基本的な設定

学校独自の事情

大体どれくらいの日数を要求しているのか、という問いに対し「100日程度」ということでした。
週2日ペースというわけではなく、年度の切り替えには設定などの必要があり、まとまった台数があるためにそのあたりに日数を割くそうです。
仮にこれが基本的な設定であれば、教育現場の内製で行なっていただくか、
例えば個人情報などが関わらない部分であればボランティアを募って台数に対しパワープレイで対抗するのはいいのではないかと伝えました。
ちなみに真鶴町で採用しているタブレットはiPadです。
普段使いされている方も多い機種なだけに、人手は集まるのではないかと思います。

正直なところ、先にあげた難易度の高い部分で、
技術的な専門性と独自の業界向けのソフトをいっぺんに面倒見るとなると、人材の希少性が格段に上がります。
ソフトの使い方なんかは学習を行えば出来るとは思うのですが、そのコストを支払うのはもったいない気がしています。
切り分けて欲しいと伝えましたが、ひとまず今年度、この内容で早く人員を確保できればと思います。

余談

今回の補正予算では業務委託という方法での人員確保を見込んだ予算です。
ただし、当初予算ではICT支援員の会計年度職員に任せる予算を組んでいます。
どちらかで見つかれば、どちらかを減額補正にする前提です。
現在、減らされる前提の予算総額となっているのは「自治体予算のあるべき論」としてはどうなのかという意見もあるかと思いますが、
あの手この手でも事業を成立させるという姿勢を、私は評価しています。

広域化すべきだけどその弊害

将来的にはこれこそ広域化すべきです。
いち自治体でこの分野に払える金額は今回積算されている400万円強が限度のように思います。
しかし、それでは企業も専用の知識を持っている、繁忙期に備えた人員を配置することは難しいです。
というか、それぞれの自治体で行えば繁忙期に人員を奪い合うことになります。
いっそ、近隣自治体と一緒にやってしまった方がいい案件です。
しかし、その中にも弊害があります。

まず、先ほど申し上げた通り真鶴町で学校に配布されているタブレットはiPadですが、隣接する自治体はChrome Bookだそうです。
OSから違うのでそこと共同調達というわけにはいきません。
ふたつめに、採用されている教育支援用のソフトが違うことです。
ここは教育指針について揃えるのが難しい場合もあります。
ソフトの提供元のサポートを利用しながら内製でなんとかしてもらうことが一番だと思います。
簡単にいえば、ハードウェアについてはサポート含めて広域化がベストだと思っています。
今後機器更新を見据えて各自治体と情報共有をする必要があると思います。

もっと大変な給食調理員の確保

ただし、ICTの支援員は時代が進歩するごとにAIが入ってきたり、中央集権化は進んで今より容易になってくる可能性は大いにあります。
それより個人的に危惧しているのは給食調理員の不足です。
飲食店の人手不足は以前より深刻であることが叫ばれています。
ただそれでも、ある程度決まったメニューを出す飲食店であればセントラルキッチン化や一部調理工程を自動化することもできます。

しかし、給食の素晴らしい点でもありますが毎日違うメニューを一種類出します。
自動化が難しいものですし、メニューによってはセントラルキッチンで対応が難しくなります。

加えて、執行部に詳しくお話を聞いて知ったのですが、給食調理員の場合は求人するにあたり夏休みの存在がひとつのメリットでもあり、デメリットでもあるとのことでした。
小中学生のお子さんを持つ家庭であれば休みが揃うという利点があるけれど、生活の糧にしようとする方にとっては八月まるまる収入がなくなるのは大きな痛手になります。
調理器具も人数が多いため大きめのものになるので、ある程度若い方でないと体力的に厳しい部分もあるそうです。

この問題については放置すれば、真鶴町に限らず多くの自治体で、
今のように栄養バランスについて考えられて毎日違う食事が出来るということが、お金を積んでも難しいものになってくるボトルネックになるのではと考えています。

全国的にどのような対応が進んでいるかと、自分が考えられる方策もいくつかあるので調査研究を進めて議論の場に持ち込もうと思います。

町職員の人手不足以上に深刻なその他の人員

町の職員、というと役場に勤める方を想像されるかと思います。
それ以外にも町が雇用主となる人員確保の困難さは一年ごとに増している気がします。
毎年、何かしらの部分で採用が難航している様子を見聞きします。
ただこれについては民間も同じだと思います。

以前、町の人材難について一般質問を行いました。
宿直廃止についてはその後達成されましたが、副業解禁や都心部に限った求人などの提案は一蹴されました。
ただやはり必要なものだと改めて思っています。
もう一度、持っていってもいいタイミングな気がしています。

最後に

いろいろな方策を打たないと、結局人材確保はいい待遇を積める自治体に流れていきます。
財政規模の小さい自治体では別の価値観を持ち込むしかありません。
人員を確保するところ、業務のあり方を変えるところ、
将来像をもっとはっきりした輪郭にする議論が必要です。

ひとまず、給食調理員にしても、ICT支援の業務委託にしても、
もし「私できますよ」という方がいましたら是非とも応募していただけると幸いです。

お読みいただきありがとうございました。

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