【9月定例会 一般質問について】

こんばんは。

表題通り、先の定例会での一般質問について書いていきます。
その後の職員アンケートなど、今回の質問について見方が少し変わるような材料もいくつかあり、公開自体を悩んだのですがあくまで当時、というか定例会の中と区切ってみていただけると幸いです。

質問に至る経緯

きっかけ

私の今回の一般質問表題は
「真鶴町役場職員の人員管理について」です。

そもそも、松本町長再選時に退職者が出たという話は報道でも見ていました。

その後も退職が続きます。
私も半年遅れで議員になりました。
事態は恐らく町長の再選直後より悪くなっていっていると感じました。
この問題は当事者である職員や利用者である町民から
様々な声をいただいておりました。
人が辞める、残された人の業務量が増える、耐えきれず辞めるという、
退職の負のスパイラルに入ってしまっていることは感じ取れました。

6月定例会でこの件について一般質問を行うことも考えました。
ただ、一番はこれを表沙汰にしてしまうことで
現在残っている職員のモチベーション低下につなげないか、
細心の注意を払う必要があり、私は6月定例会でこの題材を扱うことは見送りました。

しかし7月1日、毎日新聞に「再選後職員の1割が退職」との報道が出ます。
報道をご覧になった方も多く、大きな話題となりました。

転職は感情だけで決められるか

こう言った報道があると見出しが一人歩きします。
退職理由というのもまた難しい話です。
上司が嫌だから辞めるにしても普通はそんなこと言えないです。

次世代を担う30〜40代の中核層が抜けているという話もお聞きしました。
私も同じ世代の転職経験者として思うことは、
多分、私たち世代の大部分は感情だけで仕事を選ぶほど
社会の中で選択の自由度は高くありません。

先が見えるか見えないかを真剣に考え、
一番いい選択肢を取るよう努めるはずです。

報道により問題が広く公になり、議論が交わされるようになりました。
しかし、報道だけではそもそも役場がどんな状況か、
正確に推し測ることは難しい情報量です。
この大前提すら曖昧な状態で議論が続けば
更なる分断を招きかねないとも危惧しました。
そこで正しい判断ができるようにするためにも、
この問題に対し質問を行うと決めました。

どう質問するか

数字ベースの事実、問題点の確認

全体の一割が退職しているという報道後の議会報告会では、
役場業務が逼迫・停滞しているという方と
全く問題なく対応してもらったという両方の町民の声がありました。
議員からもこの人数では厳しい、いやできると、両方の意見が出ます。

町民の方も議員も、各々の考えや経験で正しいと思うところを
述べてくださっていると思います。

しかし、真鶴町の現状では町長への支持・不支持というバイアスありきと
判断されてしまいがちです。
そうではない判断をするためにも、出来る限り具体的に、
数字などを用いて現状を共有することが、議論をする上で必須です。

最初の数字の確認

まず役場に現在の人員を正確に提示していただくところから始めました。

http://www.town.manazuru.kanagawa.jp/soshiki/soumubosai/shomu/431.html
調査していると「真鶴町の給与・定員管理等の公表について」という数値情報を発見しました。
自分が知りたいデータに一番近かったので、これの最新分を年度別に請求し、作成していただきました。
必要なデータを抽出したのが以下の画像です。


※1.右表は任期再雇用含み

一つ、退職者続出の懸念点として言われていたのが「30代の中核層が抜けていること」でした。
数年前より地方自治体は人材難により中途採用の年齢制限を引き上げました。
しかし、これが地方自治体同士での転職を活発化し、待遇面で劣る小さな自治体は真鶴町に限らず育てた職員を刈られる一方であるという問題です。

この資料と報道を併せると以下の事実がわかります。
・不祥事発覚に関わらず退職者はある程度毎年いる。
・不祥事発覚後は増加傾向にはある。
・中途採用で補充できない50代の職員は一方的な減少である。
また、ぱっと見の数字だけでは中核層の減少は緩やかに思えます。
これについては中途採用による補充人員がいるためです。
中核層が抜けることによる問題は現在の役場業務に対し
新卒から十年ほどかけて慣れてきたところで抜けてしまうことです。
以前の経験があるとしても、新採用と経験が十年ある人間では
業務に対するマンパワーは差が出ます。
年齢や人数以外に職員全体の業務に対する評価指数がないと
現状が正確に把握できません。

立てた仮説と考えられるその対策


ここまでで私は以下のような課題の仮説から対策までを考えました。

黄色で囲んだ「不祥事〜」は常に取り沙汰され取り組んでいる部分です。
職員退職の問題は当時話題のトピックでしたから、
この部分は他の議員の質問の中に入ってくるだろうということで
別の対策について注力することとし、実際に質問を作成しました。

責任論以外の選択肢を提示する

私は松本町長に対しては「信任に値しない」というスタンスにいます。
しかし先ほど述べた通り今回自分がすべきは、
「不祥事に関する抜本的な解決」以外の部分です。

客観的に見て私のような年齢が比較的若く
異業種から飛び込んだ議員に期待される役割を考えたとき、
今までと違った方法、視点を具体的に提案することが必要だと考え
質問は「具体策提案を主体」に拘ることとしました。

具体策にも数字を盛り込む

具体策を上げる中で一番大変だったのが
「真鶴独自の強みを生かす」部分です。
今回の質問では少し飛躍して「真鶴に住み、働く」という前提にしました。
自然環境とか、色々あるのですが数字ベースでというととても難解です。
しかも、これは常にみんな探していること。
だが何か新しい発見を持ってして、実現へ向けて執行部の心を動かしたい。
最終的に今回、一つのトピックとして捻り出したのが
「2歳児保育料」というものです。

0~2歳児の保育料は真鶴町独自の取り組みとして無料です。
これをどれくらい他の地域では使うのか。
今は無料まで行かないものの各自治体でも補助が行われています。
その内容が複雑で単純な推計が出しづらかったのですが、
統計局のe-statを調べると、項目別に年間いくらかかるかを都市ごとに閲覧できるデータを発見しました。
保育料以外にも出資項目別・都市別に統計が取られていますので興味ある方は見てみてください。
e-stat

そこで横浜市の2歳児保育料もあり、その額約年間37万円。
0〜2歳児の間だけですが、真鶴に住むことで年間37万円浮くわけです。
言わずもがな待遇改善の一番の策は給与を上げることですが、
公務員で即時それを行うことは難しいことです。
しかし、特定の属性に限れば一時期であれど差を埋められます。

そこを突破口にし、都会の子育て世代にターゲットを絞れば
家賃も自家用車の駐車場代も都会に比べて格段に安い、
子どもにとって自然環境の良さは言わずもがなプラスです。
ここを大きな強みとして都会の若い世代中心にPRすることを提案することとしました。
その他にも町民の方から頂いたご指摘のメールや他自治体の先進事例をもとに、
副業の解禁と、宿直の廃止なども含めました。

「逼迫した状況のゴール」を設定する

ゴールのないマラソンは一番きついです。
しんどい思いをしている人に「もう少しだけ我慢して」と
言ったところでそれがいつまでか示せなければ限界が来ます。
仮でも良いのである程度のゴールを引き出す。
それを引き出すことを今回の質問における
一つの目的としました。

得られた成果

実際の質問と答弁

質問の全容は以下からご覧ください。
Youtube
議会だより(概略版) 
(※会議録システムは9月定例会分、まだ未作成でした。)

危機感に関しては共有はできた

再質問の冒頭で町長と問題の危機感についてのすり合わせを行い、
「これは早急に対策すべき問題である」という点で、
概ね危機感は共有できたと思っています。

ゴールは導けなかったが、何が欠けているかがわかった

今回、ゴールを導くという目的を立てたわけですが、
それは答弁の中では「採用活動を一つの目安に」というところに留まりました。
正直、「〇〇ヶ月後を目標に」と言い切って、逆算的に計画を立ててもらって、
それでダメなら原因を分析して再計画、のような話になれば理想的でした。
なぜそれが難しいかというと、定量的データが不足しているという点です。

例えば質疑の中で「採用コスト」の話がありました。
普通で言えば面接官や受付の人件費も含んで算出されるものが、
外部委託試験料のみの計上でした。
誰が何の業務をどれくらいやっているか、それがパッと出せないということは、
例えば誰がどれだけの業務量をこなしているか、
日常的に観測できていないというわけです。
ただ、それについては町長も改善の必要性を既に感じていて
着手しているとのことでした。

また、マンパワーの評価指数なども特にはないとのことでした。
となると、業務の逼迫度合いや停滞度合いなどは、
上役などの定性的な判断に留まる、というところです。

ゴールを導くにおいて、必要な要素は以下となります。
1.全体の業務量分析
2.業務量の分担の偏りを分析
3.偏りが重い業務への人員補充(採用)
4.補充した人員の教育計画

もちろん、間に新たな退職者などが出て計画に修正が入ることもあると思いますが
4が完了することで、理論上は逼迫は終了となります。

これをもとに、1~2においては誰がどんな業務量を行なっているのか正常に把握できること、
具体的に言えば客観的な分析のために
集計が出来る日報システムなどの導入を検討する必要があります。

3については具体策で述べたように数値をもとにした採用戦略を持って、
欲しい人材をピンポイントで確保しにいくことが求められます。

4についても、一部業務ではマニュアル作成などが進められています。
必要な能力、知識を可視化することで教育計画の完了まで道筋を立てることが必要です。

なのでまずは、定量的な情報の重要性を質問の最後に付け加えました。

今回、当初の目論見を全て達成はできなかったのですが、
達成するのに何が足りていないのかを引っ張り出すことは出来たことは一つの成果だと思います。
しかし、きちんと達成できるまで手伝えるところは手伝い、
継続して取り組んでいきます。

※お知らせ※


事前予約なしです!当日ふらっとお立ち寄りいただけます。

11月26日(土)に一般質問に関するお話会を開催します。
時間は午前中、場所はコミュニティ真鶴を予定しています。

実は、9月定例会の質問はだいぶ入れ込んで作っていて、その過程や手法、思うところもつらつら書いていたら、
このnoteも一万字近くになってしまい、(今でも長いんですが)泣く泣く削ってました。
どうせならば、そもそも一般質問ってなんなのか、なぜ花形と呼ばれるのか、
数字のマジック、質問の中の駆け引き(と私は勝手に思っている部分)とか、
12月の一般質問についてやnoteには書けなかった裏話的なことも含め
みなさんが議会で行われていることに興味を持てる話が出来れば、
そんな一心で企画しました。

加えて、これは議員ごとに違いますが、私は基本的に町民の方から頂いた声をベースに質問を作成しています。
もう次回12月の質問は提出していますが、是非今後の質問に皆さんの声を活かすことができればと思っています。
もちろん、一般質問以外の話題でも歓迎です!
ご参加いただき、ご意見を聞かせていただけると嬉しいです。

長くてすいません、それでも最後までお読みいただき本当にありがとうございました!

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