アメリカ大学陸上記⑤2024インドアトラックシーズン
こんにちは。樋口諒です。
アメリカ、カンザス大学の陸上部に所属し、中長距離をしています。
1月から2月にかけて5試合室内トラックの試合に出ることができました。
1試合ずつの振り返りと、インドアトラックで中距離に出た感想を書いていきます。
1/12 Kansas-Kansas State-Wichita State Tri-meet @Kansas
800m 1:54.86 優勝🥇
カンザス大学、カンザスステイト大学、ウィチタステイト大の3校の対校戦がホームグラウンドで行われました。
去年の12月2日に1度試合がありましたが、そこから1ヶ月以上空いていたので、このレースが実質のシーズンインのような形でした。そして、このレースからカンザス大のユニフォームを着て試合に出させてもらうことができました!
あまり細かいことは考えず、1着を取ることだけに専念しました。
レースでは2番手をキープしながらレースを進め、ラスト150mで逆転。仲間の声援を受けながら1着でゴールでき、最高のトラックシーズンの出だしとなりました。
今回はフラットの200mトラックで比較的タイムが出にくいレースでした。
バンクトラックというコーナーに傾斜がついたトラックだとタイムが出やすいのですが、今回のタイム1:54.86をバンクトラックの記録に換算すると1:53.2になります。
1/27 Black&Gold Invite @Iowa
1 Mile 4:11.04 3位
大学に入って初めてのチームでの遠征。カンザス州ローレンスからアイオワ州アイオワシティまでバスで7時間ほどの旅でした。移動だけでも結構疲れます。
このレースは初めての1マイルレース(=約1609m)、また初めてのバンクトラックで走る機会でした。
レースは600mあたりでスローになり、その後集団を引っ張る形に。1009mを2:38で通過。その後の600mを30,30,31でまとめ4:11でのゴール。
ちなみに4:11/mileは世界陸連のスコアリングテーブルを使うと3:52になります。満足できるタイムではありませんが、1500mの自己ベストを上回る記録を出せました。大学に入りトレーニングの量が増えたので、それが1500mや1マイルに良い影響を与えているのだと思います。
数秒ですがレースの動画をすぐ下に貼りました。
バンクトラックについて
インドアトラックほとんどは200mです。200mはかなりカーブがきついため、カーブでの減速を抑えるためにコーナーに傾斜がついています。
初めて走った感想は、結構傾いてるなという印象です。遅いスピードでコーナーに入っていくとバランスを崩してしまうくらい傾いていました。スピードを出してコーナーを走る際には、体の軸がかなり内側に倒れる感覚がありました。
また、今シーズン4つのバンクトラックを経験しましたが、すべて同じ形をしているわけではなく、トラックによって傾斜の角度や直線の長さが違っていました。驚きです。
2/3 Husker Invitational @Nebraska
カンザスのすぐ北にあるネブラスカ州での試合。今回のバス移動は3時間ほど。
今回のホテルが結構カッコよかったので写真を載せたいと思います。笑
800m 1:52.93 13位 組3着
鍛錬期真っ只中のレースで疲労もあるなか、なんとかまとめたレースとなりました。300m~600m過ぎまで先頭を走りましたが、ラスト200mを過ぎたところで衝突があり脚が止まってしまい3着でゴール。1着が1:51.0だったのでラスト1周(200m)で約2秒離されたことになります。スパートが今シーズン見つかった1番の課題だと思います。
2/10 Tyson Invitational @Arkansas
カンザスからアーカンソーまではバスで約3時間。1/27,2/3に続き3週間連続でのレースです。Arkansasのトラックはかなりの高速トラックと言われていて、ほぼ毎週このトラックでレースが行われています。
800m 1:52.64 22位 組7着
調子が上がっていて、1分50秒も狙っていたレースでしたが、度重なる衝突に泣きました。2~4番手の良い位置で600mまでレースを進めました。このレースの週のポイント練習で、ラスト300m,200m,100mで少しずつスパートをかけていく練習をしていました。そのイメージを持ちながらラスト200mに入っていきましたが、ラスト170m,そしてラスト80mで衝突からつまずき、先頭争いに絡めずに終わってしまいました。
たまたまYouTube で動画を見つけました。8分ちょうどからがレース動画です。アメリカのレースの雰囲気をぜひご覧ください。
4×400mR 3:19.28 3走ラップ49.81
カンザス大学Bチームという形でしたがリレーを走らせてもらうことができました。高校3年生以来2年ぶりのリレー。出力を上げ切ることができず苦いタイムに終わってしまいましたが、久しぶりにマイルリレーを走ることができすごく楽しかったです。Aチームでリレーを走るスピードをつけ3年生、4年生になる頃には主力としてリレーを走れたらと思います!
2/23 Big 12 Championship
Big 12という大学スポーツのリーグがありその頂点を決めるのがこの選手権でした。3月にインドアの全米大学選手権がありますが、ほとんどの選手は出ることができないので、この試合がインドアシーズンの1番大事な試合です。
チームには120人ほどメンバーがいますが45人ほどしかこの試合に出られないということで、この試合のメンバーに選んでもらえて嬉しかったです。そして1年目からこの試合を経験させてもらえてすごく感謝しています。
この選手権は関東インカレのような形で各チームがポイント数を競います。各種目8位までがポイントを獲得できるため、なんとしてでも決勝に行きポイントを持って帰りたいと意気込みました。
1000m 2:28.31 組5着 予選敗退
初の1000mのレース。目標は6人中2着に入り決勝に行くことでした。このレースに向けてピークを合わせていて、調子は良かったです。
レースは600mまでスローペースで進み、600mの通過が1:31、そこからの200mは27.3でした。ラスト200mで先頭は26秒台で帰ってきましたが、そこで29秒かかってしまい、決勝には遠く及びませんでした。先頭はラスト400mを53秒でカバーしたことになりますが、その力はまだありませんでした。完全なる実力不足を感じるレースで悔しい思いをしました。
3000m 2600mDNF
1000mの翌日、レースが何もなかったので3000mに出場することになりました。このレースで途中棄権になったのは、周回遅れになったためです。周回遅れをつけられると自動的にレースから外されてしまうルールでした。2000mを5:40で通過しその後もキロ3分ペースでなんとか粘っていましたが、先頭が3000m8分を切るレース展開で彼らに周回遅れになりました。標高約1000mで酸素が少し薄いなか8分を切ってくるレベルの高さに圧倒されるとともに、ゴールできなかった悔しさでかなり落ち込みました。
陸上人生で個人レースで最下位になったことは1度もなかったのですが、このレースで初めて最下位を経験し、屈辱を味わいました。
初のインドアシーズンを戦って
このシーズンを通して思ったことは、上には上がいるということとインドアシーズンはかなりタフだということです。
高校時代にもすごいなと思う選手は何人もいましたが、そんな化け物みたいな選手が山ほどいると感じました。また体格、フィジカルに圧倒されることが多く、全く歯が立たないようなレースが何度もありました。外の世界を知ることが出来たシーズンでした。
またインドアシーズンは6週間のうちに5試合があり、ほぼ毎週試合がやってくるような感じでした。1回の遠征が2泊3日であることが多かったので、週の半分は遠征先にいるような形です。またレースとレースの間にトレーニングももちろんあるので、毎週毎週ヘロヘロになりながらなんとか乗り切る、そんなシーズンでした。
大学が始まって約半年、怪我なく良い練習が積めていますが、良い感覚でなかなか走れず、試合でも思うような結果が出せていません。それでも一喜一憂せず、試行錯誤しながら、少しずつ前に進んでいこうと思います。
そして、3/29からアウトドアシーズンがスタートします。アウトドアシーズンでは全米学生選手権の西地区予選出場、また日本選手権出場を目指します。
長い文章になりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
不定期ではありますがアメリカの大学の陸上競技について書いているので今後ともよろしくお願いします。