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刺すような日差しのなかの南米の幽霊譚

友人A,Cと3人で食事に出た日のこと。
こどもについて,教育について,引っ越しについて他愛のない話をしていたのだが,ふと友人AがそういえばSpoonさんのお宅の近くに入居しないほうがよい物件があるらしいよ,と話をはじめた。

入居しないほうがよい物件はここサンパウロには山ほど存在する。
大家が強欲でトラブル対処が悪かったり,修繕が不十分で雨漏りがあったり,虫(特にアリ)がよく出る物件であったり。

その手のトラブルだと思い,話を聞くと
そうではなく,幽霊が出るんだって
と彼女は続けた。

その家に住むこどもの話によると,よくベランダをうろうろとしている影があるそうだ。
また,その家と道を隔てたB家に友人Aのこどもを含め,何人かが遊びにいったとき,その家のベランダに大量の人がいるのを目撃したらしい。
「パーティでもやってるのかな?」と子供たちがベランダでわいわい話しているのを聞いたB家の奥さんがその家のベランダに目を向けたが,観葉植物の他には何も見えず,ぞっとして慌ててこどもたちに家の中に戻るように促したそうだ。

強い太陽が照り付け,湿度も低く,からりとしたサンパウロの気候と
薄暗くじめりとした幽霊のイメージがどうしても結びつかず
霊感のまったくない私にはピンとこなかったのだが,
友人Cによるとブラジルにもいわゆる日本のような幽霊譚は多いらしい。

ブラジルの人達は男女問わず情が濃く,感情の振れが強いから
念のようなものが残りやすいのかもしれないね。
と彼女はつぶやいていた。


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