生物学類アドベントカレンダー2023を振り返る

メリークリスマスですね。ryoと申します。クリスマスを楽しんでいますか。
これは「生物学類アドベントカレンダー2023」の最後の記事です。

蛇足

まず、私が4日目に投稿した記事について、後から書きたいことがいくつかあったので、冒頭で補足させてください。興味のない人は本題まで飛ばしてください。

図書の日本十進分類法と生物の分類の違いについて、生物の分類には「正解」があるという点も挙げられます。生物の分類は系統発生を反映しているため、「真の系統発生」に対応した分類が正解となります。厳密にいえば真の(正しい)系統発生を知ることは不可能ですし、知ったとしてもどのグループにどの分類階級を当てはめるかという問題が残っていますが、日本十進分類法には系統発生のような明確な1つの基準はありません。

例えば、1つの本に「自然科学」と「社会科学」の両方の内容が含まれていたら、日本十進分類法ではどちらの区分に分類するのでしょうか。正解はないでしょう。一方、生物の分類では、分類したい生物の系統発生が解明できれば属する分類群が必ず定まります。例外を考えることもできそうです。例えば、2つの生物が主従の関係なく合体するなど。この客観的な分類体系はサイエンスである生物学と相性が良いのでしょう。

同じ分類群の種は多くの場合似た特徴を持つが、例外もあるという話をしました。このため、局所的には系統発生に対応した分類以外の分類を用いる場合があります。例えば、グラム陽性菌とグラム陰性菌です。この2つのグループは、グラム染色という操作をしたときに染色されるかどうかで区分されています。これは医学分野で発達した分類体系で、どちらに属する細菌かによって感染した際の治療の方式が異なります。このため、医学分野においては系統発生を反映した分類よりもグラム染色を基準とした分類の方が「便利」なのです。他の系統発生を反映していない分類の例としては、爬虫類、魚類、無脊椎動物、恒温動物、藻類などが挙げられます。どれも局所的には便利ですが、生物全体を考えるときに系統発生と対応した分類よりも便利な体系はありません。

本題

さて、ここからは現状公開されているアドベントカレンダーの記事を振り返っていこうと思います。最終日らしいですね。敬称略で失礼します。

1日目 生物学類アドベントカレンダーを開設しました by ryo

主催の私がトップバッターを務めさせていただきました。このアドベントカレンダーを立ち上げた経緯を説明するとともに、記事を書いて公開する意味についても論じてみました。大学生活ですっと感じていたことを表現できたのは価値あることでした。ありがたいことに私が現在までに公開した記事の中で最も閲覧数の多い記事になりました。

4日目 生物の分類について学ぼう by ryo

これも私の記事です。分類を学んでいる身として、生物の分類について紹介させて頂きました。書いていて勉強不足をヒシヒシと痛感しましたが、公開して指摘を受けたほうがよいだろうと思いましたし、締切もあるので公開してしまいました。分類概念の歴史や種概念について全く触れていないのは、単に私が勉強不足だからです。今までサボっていたツケですね。

5日目 パリ日記 by うるくと

iGEM TSUKUBA のメンバーである筆者がフランス・パリで開催された大会に参加したレポートです。iGEM 関係者の皆さんが大会に向けて用意をしている様子はなんとなくツイッターで見ていて、授業がある中で形にしなければならないのは大変そうだと思っていました。フランス国立自然史博物館の写真は圧巻でしたね。いつか行ってみたいです。本当にお疲れさまでした。

6日目 ツメクサ数えて、解剖して、半魚人になって、【編入後体験記(嘘)】 by 菜種規則

生物学類の編入した筆者の体験記です。私は1年のころに休学しているので、2年のころにクラスセミナーや1年の実験を受けたり、同級生の友人が少なかったりと、共感できるところがありました。また、素直な文章表現に引き込まれました。この記事を書く・読むきっかけとなるアドベントカレンダーを主催してよかったと思いました。

8日目 私的!これさえあればクレー射撃始められるセット! by ゆーとぴあ

なぜかクレー射撃の記事が投稿されました。ノンジャンルで記事を募集していたので、生物関連以外の記事が投稿されるのは嬉しいことでした。読んだ感想としては、必要な道具が想像よりも多く、揃えるだけで達成感がありそうだと感じました。日本で銃を持つのは大変そうです。銃撃ってみたいですね

16日目 野外水草観察のすゝめ【2023アドカレ】 by りーど

野外水草に関しての記事です。私は魚を求めて頻繁に水辺を訪れるので水草を見る機会は多いのですが、わからなすぎて断念しているきらいがあります。水草の生息状況は環境条件を反映していることが多いイメージなので、水草を勉強すれば水草を見るだけでどんな環境なのか推測できるようになるのかなと妄想しています。最近はカニに浮気しているので水草できなさそうです

20日目 謎の動物、珍無腸動物 by ryo

私の研究対象の記事ですね。研究している人が非常に少ない分類群なので、知って欲しいという使命感に駆られて書きました。研究しているので手癖で比較的楽に書けます。記事中に埋め込んだ珍無腸動物の動画を初めて見たときは声が出るほど感動したので、同じように感動してくれる人が増えて欲しいと思っています。1つ心配なのが、「珍無腸動物」とGoogleで検索すると割と上のほうにこの記事が出てきてしまう事件が起きてしまっています。記述が足りない部分もあるので、偉い人に見つからないで欲しい。

この記事を含めて8つの記事が集まりました。年末は期末テストがあったりして忙しいと思いますが、執筆に協力してくださり本当にありがとうございました。

おわりに

アドベントカレンダーを完走した感想ですが、とりあえず主催して良かったと思っています。他人の記事を読んで、また自分で執筆して、新たに多様なことを学びました。主催した経験は私のキャリアの中で活きると思います。他のアドベントカレンダーの主催の方々もお疲れさまでした。色々なジャンルの記事が毎日上がって、楽しい12月でした。

来年は卒業して筑波大生ではなくなっているので、生物学類としてアドベントカレンダーを主催することはないと思います。誰かが主催していたらOBとして参加するかもしれません。先輩後輩関係なく発信・交流できる場所として続いて欲しいと思いますが、年末は忙しいので無理しないでください。

それでは、良いお年を。

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