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トヨタ自動車、3位に浮上だってよ、という件。

22日の株式相場で、トヨタ自動車の時価総額が3,280億ドルを超えて、中国のテンセントを抜いた。台湾のTSMC、韓国のサムスン電子に次いで時価総額でアジア3位になったようだ。

3位というとかなりすごく感じるが、あくまでもアジアである。それでも直近でおそらく世界全体の20位前後になると思われるので、近年の日本企業の株価低迷を考えれば、大健闘である。

日本株全体が好調ということもあるが、テンセントは昨年中国政府の「ゲーム規制」を受け株価は15%以上も下落していることを考慮すれば、トヨタのアジア3位は「漁夫の利」ともいえる。アリババも同じだが、中国はトップの意向で簡単に経済界に多大すぎる影響を与えることができるので、個人的には投資には全く適さない市場だと思っている。

この「トヨタ3位浮上」であるが、そもそもバブル期の、例えば1989年を見てみると世界の時価総額1位は「NTT」だった。時価総額トップ10のうち、7社か8社が日本の企業だったと考えると、いかに当時の日本の勢いが凄かったかわかるだろう。「失われた30年」「失われた40年」といった言い方も、そう考えれば納得である。そして当時のトヨタ自動車は世界10位前後に位置しており、580億ドルくらいの時価総額だった。現在の5分の一である。ちなみに1位のNTTは1,630億ドルぐらいだった。

現在の世界時価総額1位は米アップルであり、時価総額は2兆ドルを超えている。当時1位のNTTの13倍以上である。いかにこの数十年で市場に大量のお金が流入してきたかがわかるだろう。この増えている「お金」は労働により増えているものではない。資産価値がが大きくなって生み出されている。言い方を変えれば「お金がお金を生み出している」のである。企業がその所有資産の何倍もの時価総額があるのも、極論を言えば「この企業にはこれくらいの価値がある」と決めつけているだけに過ぎない。だから倒産すれば「無価値」になる。お金や資産とは、怖いものなのだ。だから投資は慎重に行わないといけないのだ。「必ず儲かる」などというのは100%詐欺である。みなさん、そんなこと言うインフルエンサーにはご注意ください。

というわけで、日経平均も過去最高値を狙えるような勢いだが、資金流入の理由の一つに「日本のデフレ脱却」が言われている。長らく日本は「デフレ」に悩まされていたのだが、とうとう潮目が変わったという事だ。しかしながら、これは「好景気」がもたらしたものではなく、資源の値段が上がったため「やむを得ず商品価格を値上げした」結果のデフレ脱却である。一般庶民の経済にとって全くありがたいことではない。給料も政府主導で上がっているとはいえ物価上昇にはついていけず実質賃金は低下している。

日経平均最高値を記録した当時、日本全体が浮かれていた。そしてそれは一般の人も同じであった。国も豊か、企業も儲かる、給料も上がる、といった様相だった。今はどうだろうか?企業は儲かる、資産家は儲かる、庶民は細る、ではないだろうか?

この先、この「貧富の差」が広がっていくことは避けられない現実だと思う。そしてそれが「成熟した経済」の副作用なのだとしたら。
そんな経済は、果たして「幸福な国」と呼べるのだろうか?

「日経平均最高値」が決して朗報ではないような気が、個人的にはしている。

今日はここまで。

追伸
その後もトヨタの株価は伸び続け、1987年バブル絶頂期にNTTが記録した日本企業の時価総額歴代1位も更新した。過熱感があったバブル期より、実力を伴った浮上を見せている、と書かれているが・・・

日本国民が当時のように元気かというと、どうだろうか?

引き続き、どうぞよろしく!


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