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寄り道して時間を潰してしまった結果、心が満たされたって話。

通勤で使っていた最寄駅の隣に
地域のコミュニティセンターがあって、
その中に図書館があった。

いつも時間に余裕があるときに立ち寄って
何の気なしにいろんな本をパラパラとめくって
眺めたりしていた。

今日、久しぶりにその駅を使う機会があって、
少し寄って帰ろうかと思った。

が、最近、こういう寄り道をするときに、
つい考えてしまう。
「あ、〇〇をしなきゃいけないんだった。」
「寄り道して一時間潰れるんだったら帰って用事を済ませたほうがいいだろうか。」

そうして、家に帰ることを選ぶ。
ここのところ、寄り道をしなくなった。
家に帰って用事を済ませてToDoリストがひとつ消える。それと引き換えに、一日が狭くつまらないものになったような気もしていた。

今日も、図書館に寄れると思った後、
「することがあるから、帰ろうか」と思った。

でも、足は図書館に向かった。
「つい」図書館に寄ってしまっていた。

いろんな本が所狭しと並んでいる。
この本棚を、なんとなく眺めながら、
端から端まで歩いてみるのが好きだ。

知らない本の数々を眺めながら、思わず手に取りたくなるタイトルとの出会いにわくわくする。

本を開くと、少しずつ頭の中にその景色が見えてくる。登場人物の顔、生活圏、人との繋がり方。著者の考え方。言葉選び。キャラクター。

知らなかった言葉を調べたり、画像を検索したりして、新しい知識が増えることは、いくつになっても単純に嬉しい。

今日は、気になる本を2冊手に取って、それぞれ一章ずつほど読んだ。小一時間ほど経って、時間も時間になり帰ることにした。
本当はもっと居たくて、名残惜しさに、最後にまた館内をぐるっと一周することにした。本に手が伸びそうになるのを何度か我慢して家路に着いた。

帰りの電車の中で、また図書館に行こうと思った。今日、目に留まった本のタイトルをスマホで検索して、スクショに残す。また読みたい本リストが増えた。きっと次、図書館に行ったらまた増えるだろうと思う。図書館の壁一面の本棚にぎっしりと並んだ本を思い浮かべて、わくわくした。まだ知らない世界がこんなにあるのだ。

「やらなきゃいけなかったこと」と引き換えに寄り道をしてみた。ToDoリストのチェックは埋まらないまま、心は満足感で艶めいていた。

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