Breaking Ball 〜スライダー・カーブの分類〜

【注】他の変化球については書く予定ありません。また動画の貼り付け予定してましたが動画が上手く貼れないので動画は無いです。あしからず。

1番最初に誕生した変化球は19世紀にウィリアム・A・カミングスによって考案されたカーブと言われています。球が変化するのでその当時は魔球と言われていました。以降、人々は変化球を編み出し、カーブ、スライダー、フォークなどの一般的なものから、スラーブやスラッターなど変化球の名前を組み合わせたもの、カツオカーブ、ヨシボールなど個人で生み出したものなど今日では多種多様な変化球がありふれています。

しかしこうも変化球の数が多いと、どれがどんな球か判別が難しい時があると思います。実際僕もこれどっちやろ?と考える時があります。
どの球がどんな変化をするのか、その分類を特に分類が多いスライダー、カーブに絞って行いたいと思います。

1. スライダー系統の変化球

横に滑るような変化を行うこの球は変化球の中でも分類が凄く多いと思います。スライダー系統は主にスライダー、高速スライダー、カッター(カットボール)、スラッター、スラーブ、縦スライダー、真っスラに分けられます。それぞれの球種の解説、その球種を使うNPB、MLBの現役選手(あくまで主観です)を書いていきます。

スライダー
ジャイロ回転をしながら横変化だと利き腕と反対方向に、縦に変化するものもあります。球速はやや遅め。スライダー系統の球の中でも横に大きく変化しサイドハンドで投げると横変化が更に大きくなります。このスライダーを軸として高速スライダーやカッターなどが生み出されました。

使い手
NPB…菅野智之(巨人)、多和田真三郎(西武)
MLB…アダム・オッタビーノ(ロッキーズ、現FA)、前田健太(ドジャース)

高速スライダー
スライダーの球速を上げたもの。球速がある分、横の変化は抑えられていますがそれでも変化の幅は大きめ。ストレートとのコンビネーションは抜群です。速いスライダーという意味ではスラッターもこの分類に入ると思います。

使い手
NPB…松坂大輔(中日)、マルコス・マテオ(阪神、現自由契約)
MLB…ジョーダン・ヒックス(カージナルス)、アロルディス・チャップマン(ヤンキース)

カッター(カットボール)
カット・ファストボールと言われるように、ストレートとほぼ変わらない球速で小さく鋭く変化する球。主な目的は芯を外し打ち取る球ですが歴代最高のカッターを投げるマリアノ・リベラのように20cm近く変化し空振りを取ることもあります。

使い手
NPB…森唯斗(ソフトバンク)、有原航平(日本ハム)
MLB…ケンリー・ジャンセン(ドジャース)、ジョン・レスター(カブス)

スラッター
スライダー+カッター=スラッター。名前は新しい部類と思います。高速スライダー同様速いスライダーでMLBでは140km後半を出す投手もいます。変化量はスライダーよりかは小さく、カッターよりは変化します。高速スライダーと違う所は縦の変化も入り斜めの変化になります。

使い手
NPB…藤浪晋太郎(阪神)、菊池雄星(西武)
MLB…マックス・シャーザー(ナショナルズ)、ジェイコブ・デグロム(メッツ)

スラーブ
個人的にこれはスライダー系統の球と思ってます。球速、変化の大きさはスライダーとほぼ変わらないですが違うとしたらより斜めに変化するようになったことです。カーブに近いスライダーのような感じだと思います。

NPB…古谷優人(ソフトバンク)、松井裕樹(楽天)
MLB…コーリー・クルーバー(インディアンス)、ホセ・フェルナンデス(故人ですがスラーブと言えば真っ先にこの人が思い浮かぶので…)

縦スライダー
横の変化はほぼなく縦に大きく落ちるスライダー。球速は速いものもあればカーブのように緩いものもあります。

使い手
NPB…山岡泰輔(オリックス)、内竜也(ロッテ)
MLB…マックス・シャーザー(タイガース時代は縦スライダーもよく投げてた記憶)、グレッグ・ホランド(ナショナルズ)

真っスラ
カッターと同質の球ですが横の変化はほぼなく軌道そのものはストレートに近い。動いてるか動いてないかを確認するのは難しいと思います。

NPB…武田翔太(ソフトバンク)、マイク・ボルシンガー(ロッテ)
MLB…ケンリー・ジャンセン(ドジャース。握りがストレートのより少し指をずらした感じなので厳密には真っスラにも分類されると思います。)

2.カーブ系統の変化球

原初の変化球であるカーブ。そのカーブも進化を遂げ、今や様々な種類があります。この球も種類が多いですが様々な呼称があるだけで分類としてはカーブ、スローカーブ、パワーカーブ、ドロップカーブ、ナックルカーブに分けられます。

カーブ
原初の変化球。弧を描きながら大きく斜めに落ちていきます。球速はそれ程速いというわけではなく緩く変化します。スライダー同様、カーブ系統の球はこれを軸として派生したと考えます。

使い手
NPB…岸孝之(楽天)、涌井秀章(ロッテ)
MLB…スティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)、ジオ・ゴンザレス(ブルワーズ、現FA)

スローカーブ
カーブよりも更に球速が遅いもの。大体は100km台で今中慎二や三浦大輔は80、90km台のを投げていました。ストレートとの緩急差が凄く、打者からすればボールが中々来ない感じです。

使い手
NPB…攝津正(ソフトバンク、現自由契約)、石川雅規(ヤクルト)
MLB…ザック・グレインキー(ダイヤモンドバックス)、ダルビッシュ有(カブス)

パワーカーブ
スローカーブと逆でカーブの球速が速いもの。スピンがかかり、速さがあるため漫画であるような「カクンッ」とか「ギュンッ」というように急激に変化。球速も速いため空振りが取れます。ナックルカーブもここに含まれると思ってます。
ちなみにスパイクカーブハードカーブというものがありますが、パワーカーブと同じで言い方が違うだけと思います。英語のspikeという単語には鋭く尖ったものなどそういう意味も有り、速く鋭く変化するパワーカーブをスパイク(spike)カーブ(curve)と言い始めたと推測します。なので速いカーブ=パワーカーブ、スパイクカーブ、ハードカーブ、(ナックルカーブ)という認識で大丈夫だと思います。

使い手
NPB…石川柊太(ソフトバンク)、吉川光夫(巨人)
MLB…マット・バーンズ(レッドソックス)、ソニー・グレイ(ヤンキース)

ドロップカーブ
縦に大きく落ちるカーブ。重力落下に加えて、スピンもかかっており縦の変化が凄く大きいです。完成度が高いものはまるで時計の12から6に向けて落ちるようなので、そのことから12to6カーブと言われています。人間は横の変化には強いですが、縦の変化には弱いためカーブの中でも打者に対して有効的です。パワプロにはドロップという球種がありますが、恐らく古い呼び方or縦スラに近い変化の球でドロップカーブには変わらないと思います。

使い手
NPB…ランディ・メッセンジャー(阪神)、武田翔太(ソフトバンク)
MLB…クレイトン・カーショウ(ドジャース)、アダム・ウェインライト(カージナルス)

ナックルカーブ
僕の1番好きな変化球です。
変化はパワーカーブ系で鋭く速く落ちる球。パワーカーブの中でもナックルのように指、爪をボールに立てて投げるものはナックルカーブ。ナックルカーブをスパイクカーブと言う場合もあります。
ナックルという文字はついてますが、無回転で落ちる変化球のナックルとは一切関係なく、むしろナックルカーブはスピンをかけて鋭く大きく落とします。

使い手
NPB…ブランドン・ディクソン(オリックス)、リック・バンデンハーク(ソフトバンク)
MLB…クレイグ・キンブレル(レッドソックス、現FA)、トレバー・バウアー(インディアンス)


終わりに…

書いてる時、頭パンクするかと思いました()

変化球は基本自己申告。この選手のカーブ、スライダーっぽいよな?とか考えたりするとキリがなく頭がごっちゃになります。例えば武田翔太のドロップカーブはドロップカーブ?縦スライダー?という議論(?)がありました。この球については2014年に武田がドロップカーブと認め、新しく縦スライダー(恐らく今投げてるスラッター気味のスライダーの原型)を作ったと言っており彼の器用さが垣間見えます。

シンカーにもパワーシンカーという名前がありますが「パワー」とついているものは「高速」と捉えられると思います。鋭く曲がるの意も加えられます。

スライダー、カーブの分類について書いてきましたが、僕自身も選手によってはこれはどっちなんだろ?とか思うことが多々あります。今回の内容を変化球を見る際の1つの資料と思っていただけたら幸いです。

#野球 #npb #mlb #変化球

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