旅から始めたサステイナブルな暮らし
6月5日は、環境の日。
「サステイナブル」って聞くと、大切だとは分かるけれど、正直、意識が高そうでちょっとニガテ……だなんて思っていたのですが、振り返ってみると、"旅がキッカケ"で、僕自身も暮らしに取り入れていたサステイナブルが、結構あることに気がつきました。
旅から始めたサステイナブルな暮らし
欧米の観光地ではマイボトル持参が当たり前なのを見て"マイボトルを導入"したり、スイスで可愛いエコバックを見つけてレジ袋有料化前から"エコバックを愛用"していたり、海外のコンビニではカトラリーがもらえないのが当たり前と知らなかった経験から(その時は手で食事したのは今ではいい思い出)日本では"カトラリーをできる限りもらわない"ようにしたり、コーヒーが好きすぎてルワンダのコーヒー農園に行き生産者と交流したことで"フェアトレードのものは積極的に購入"するようになったり……。
そして、旅がキッカケだと、「地球のために頑張るぞ!」なんて強い思いはなくて、無意識のうちに始めていて、そのせいか、楽しく、前向きに、長続きしているんですよね。(こんな経験がある人は僕だけではないのでは……?)
そんな、 #旅から始めたサステイナブル な暮らし。
これまで、これはあくまで自己満足でいい話だと思っていて発信してこなかったのですが、意外と身近なところに楽しく始められる地球にいいことが隠れていたり、今日は環境の日ということもあるので、 旅から始めたサステイナブルな話を1つ。
<愛用のマイボトル(小)。(大)も持ってます>
大の肉好きが始めたベジタリアン生活
実は、2020年、ベジタリアン生活をしていました!
が、しかーし!
3ヶ月で諦めました(笑)
そんな僕ですが、今でも週1〜2回は、前向きに、ベジタリアン料理を食べる日があります。
そうなった経緯をお話しします。全てのはじまりは、旅とステイホーム。
ベジタリアン=サラダしか食べない、ことはない
昔から、大好きな食事を聞かれれば、焼肉一択でした。
食事にお肉がないと食事とは看做さないほどのお肉好き。加えて、ベジタリアン=サラダしか食べない、くらいのハイパー浅はかな知識しか持ち合わせていませんでした(笑)それが、世界を旅する中で、ベジタリアン料理が普通に美味しいことを知ったのです。
2019年5月、インドへ行った時の話。
国民の3〜4割が宗教上の理由でベジタリアンのインドでは、レストランに行くと、メニューの半分が当然のようにベジタリアン向けのカレーです。「カレーには肉と米(かナン)でしょ!」がポリシーの僕でしたが、現地で毎食のようにカレーを食べていると、みんな美味しそうに食べているベジタリアンカレーが、気になってきたんです。正直、半信半疑ではありましたが、ベジタリアンカレーを頼んでみると……めっちゃカレーなんです(笑)
お肉が使われていないだけで、野菜がたくさん入っているので、食べ応えも十分。一方で、ベジタリアン=ヘルシーと思っていましたが、油なども普通に使われていて、カロリーも十分。確かに、ベジタリアンが多いインドでは、すれ違う人みんながスリムかと言われると……全くそういうことはありません。(むしろふっくらしている人が多いような……)
味も、満足度も、そしてカロリーも、僕の中でのベジタリアンの概念が覆された旅でした。
<本場のカレーは美味しすぎて毎日食べても飽きない>
そんなことから、ベジタリアンメニューに興味を持った僕は、日本でもインド料理屋さんに行けば、それまでは見向きもしなかったベジタリアンカレーを、前向きに、頼むようになりました。(ちなみに、それまでは気づかなかったのですが、インド人シェフのカレー屋さんに行けば、必ずと言っていいほど、ベジタリアンメニューはあります)
そして、同年9月。今度はスイスに行く機会があったので、チューリッヒにある"世界最古のベジタリアンレストラン"の『HILTL(ヒルトル)』へ行ってみることに。1898年創業の120年を超える歴史を持つ、ベジタリアン専門のレストラン。ビュッフェ形式ということで、一人旅でも気軽に入れるのも魅力です。とはいえ、カレーくらいしかまだベジタリアン料理を食べたことがなかったので、どんなものがあるのか……サラダばっかりじゃないか……(偏見)と思いながらお店に行ってみると、もう普通のビュッフェと遜色がありません。サラダはもちろん、野菜だけを使ったさまざまなメニューに、世界各国のベジタリアンメニューまで並びます。そしてどれも本当にウマイ!近所にあったら、確実に通います。この体験も、まだベジタリアンはサラダばかり食べている可能性を捨てていなかった僕にとっては、衝撃的でした。
少しずつ、僕の中で、旅によって価値観が変化していきました。
しかし、ちょうどその頃、世界では未知のウイルスが蔓延していきした。僕たちは旅を失い、ステイホームの日々が続きます。
<思い出しただけで涎が出る世界最古のベジタリアンレストラン>
ベジタリアンをしてみたくなった、2つの映画との出合い
そんな自宅で過ごす日々の中で、ベジタリアン生活をしてみようと決意するわけなのですが、そのキッカケとなったのは、2つのNetflixのドキュメンタリー。『ゲームチェンジャー』と『地球に暮らす生命』です。
『ゲームチェンジャー』は、格闘家が怪我を機に食生活を見直し、ベジタリアンになって復活するという話。その中では、超ざっくり言うと、「僕たちがタンパク質摂取のために食べている肉は、草食動物の肉。その動物が食べているものは植物。つまり、野菜からでも十分なタンパク質は摂れるし、むしろ効率的な側面もある」ということが語られています。
また、『地球に暮らす生命』は、チェルノブイリから番組は幕を開ける、人類が破壊してきた地球環境とそれに対する警告の話で、サステイナブルな暮らしを行う意義を考えさせられる作品なのですが、その中で印象的だったのは、「地球上の哺乳類の1/3以上が人間で、60%が食肉に関する動物、残りはネズミから鯨まで4%にすぎない。野生動物の住処は失われ、環境破壊によって、人間の暮らしが維持されている惑星になってしまった」という話。食肉に関する動物の多さにも驚きましたし、その動物たち(=僕らの食生活)によってCO2の問題などを我々が抱えていることも、さらに驚きです。
そんな学びもあり、ベジタリアンのメリットとやる理由を理解でき、ちょうど自宅で食事を摂る機会も増えたので、「試しにベジタリアン生活をしてみよう!」と思い立ち、2020年の8月から10月にかけて、ベジタリアン生活を始めてみました。
ベジタリアン生活を始めて気づいたこと
最初は続けられるだろうかと思っていたのですが、始めてみると……「お肉がない食事では満足感を得られない!」と思うのは最初の数日くらいで、不思議なことに、体は自然と慣れてきます。むしろ、お肉を食べた後の胃もたれなどもなく、どんどん体の調子もよくなっていったので、楽しくなっていきました。
とはいえ、"ベジタリアンをやってみた"ことで、メリットも分かれば、デメリットも見えてきました。例えば、こんなことです。
<メリット>
・体調がよくなる(胃もたれなど全然しない)
・体重が落ちていく(植物性のタンパク質を摂っていれば筋肉が落ちているとも感じない)
・地球にいいことをしていると思うと気分がいい(自己満足の世界ですが笑)
<デメリット>
・ベジタリアン対応のレストランが少ない
・ベジタリアンやヴィーガン向けのレストランはお値段も少し高い
・結果、家で料理をしないといけなくなる
こんなことを気づきましたが、何より「体調がよくなる」&「痩せる」というのが、大きなメリットだったので、3ヶ月もの間、前向きに続けることができました。仕事の飲み会などもない時期だったため、継続することも、全く難しくはありませんでした。
<京都のOyOyという野菜レストランにて>
「フードバリアフリー」という問題
また、別の視点での気づきもありました。それは、日本にはベジタリアン対応のレストランが少なすぎて、ベジタリアンの観光客には、食事の選択肢が非常に少ないということ。
・日本のインド料理屋さんで聞いてみると、インドからの観光客で、特に宗教上の理由でベジタリアンの人は、日本だと行けるレストランが少なすぎて、結局、日本まで来てインドカレー屋さんに行くことになるらしい。
・昨年、日本初進出した海外発のイケてるホテルに宿泊した際、朝食でベジタリアン対応メニューがあると言われたので頼んでみたら、通常メニューから肉料理が抜かれただけだった。(代わりのものは無し)
・HPで確認してベジタリアン対応のレストランと思って入ってみたら、ランチはベジタリアン対応をしていなかった。
最近、ハラル対応のお店のことなどがよくニュースになっていますが、それだけじゃない"フードバリアフリー"の問題が、身近なところにもあることを知りました。
始まりも旅、終わりも旅だったベジタリアン生活
こんな生活を続ける中で、ひょんなことがキッカケで、僕のベジタリアン生活は終わりを告げるわけですが、それは旅でした。
2020年11月、北海道へ旅行に行った際、ホテル近くのおすすめレストランを調べてみると……ジンギスカンかお寿司しかない!(笑)
せっかく北海道まで来たのに、名物を食べないのももったいない……と思った僕は、その旅行がキッカケで、ベジタリアン生活をやめることにしました。
これが僕の、3ヶ月のベジタリアン生活。本気でベジタリアンやヴィーガンをやっていて、環境問題などを訴えている方には、きっと怒られるでしょう(笑)だけど、僕にとっては、ベジタリアン生活の楽しさや美味しさ、さらには食事が地球の環境問題にも直結することを知ったことや、同時に続けることの難しさも知ったことは、大きな経験だったかな、と。
そんな経験から、今は、前向きに、無理なくできる範囲で、楽しく週1〜2回のベジタリアン生活をしています。自宅で簡単に作れるものもたくさんありますし、最近はスーパーなどでも気軽にプラントベースミート(代替肉)も手に入ります。(ちなみに無印良品にも大豆ミートが売っています)海外料理にもベジタリアンメニューが結構あって、レシピを探すのも楽しいです!
<やっぱり新鮮なラム肉は美味しかった北海道旅行(笑)>
「やってみる」から始める、自分に優しいサステイナブル
といいつつも、皆さんに、地球環境のためだからといって、ベジタリアン生活を強制したいとは全く思いません。
お試しベジタリアン生活での一番大きな気づきは、"地球に優しいこと"や"僕らにもできるサステイナブルなこと"って、キッカケはなんだってよくて、「やる人は偉い、やらない人はダメ」の二択で無理して始めるのではなく、やめてもOKくらいの気持ちで、自分に優しく「試しにやってみる」ことが大切なんじゃないか、ということ。
サステイナブルな暮らしって、(僕が思っているだけかもしれませんが)やっている人たちの意識が高すぎて、やってない自分が罪悪感を感じてしまって、それが参入障壁を高くしている気がして、なかなか踏み出せないと個人的に感じていました。
だけど、そう思い込んで、何もしなかった少し前の僕のよりも、続けられないならやめてもOKくらいのスタンスで「やってみる」今の僕の方が、地球にとっては、いいことしているんじゃないとかと思っています!(そうだと信じています!笑)
旅がキッカケで始めた3ヶ月ベジタリアン生活から、そんなことに気がつくことができたので、環境の日にちなんで、この場をお借りして、ご報告させていただきました。
#旅から始めたサステイナブル な暮らしは、これからも興味を持ったことは試しにやってみて、続けるのが難しかったらやめてもOK、くらいのスタンスで、成功も失敗もシェアしながら、楽しく、続けていきたいなと思います。
旅がキッカケだと、僕も楽しく始めやすいので、みなさんの #旅から始めたサステイナブル なことがあれば、ぜひ教えていただけますと幸いです!
<ベジタリアンカレーの美味しさを知ったインド・ジョードプルにて>