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AJPC 仁川 フル参戦録 【#88】


DAY0 成田 to 仁川

大人になると、どうしても自分のコミュニティ(=出会う人)が固定化されてしまう。多くは学歴から地続きに。そんな環境をランダムにシャッフルできる道具に趣味がある。ポーカーテーブルでは、大社長、医者、弁護士、大学生、ニートが同じ卓を囲む。社会の縮図がそこにある。自ずと、自分の凝り固まった視野が広がる。だからこのゲームが好きだ。

今年だけで(4回目?)となる韓国へ発つ。成田へ向かう道中、俵万智さんが激賞していたヒコロヒーさんの短編集『黙って喋って』を読む。

もはや最初から小説家だったのではないか?と疑いたくなるくらい、人間の感情の機微を、男女両サイドから、鋭く抉りきった恋愛小説。幼き自分の恋愛遍歴の道理と帰結を、恥ずかしくらい言語化された感覚になった。人間の原理的な未熟さに震える。

同室するリクルートの同期からポーカー専業に転身する友人と成田で待ち合わせ、一風堂で腹ごしらえ。

まずは毎度定番の合宿所、ベストウェスタンにチェックイン。すぐにカジノに繰り出し、キャッシュのウェイティングに名前を入れる。名前を呼ばれるまで、こちらも定番のパラダイス給食を食べる。

これが1,000円程度で食べれれば神だったが、もちろんパラダイス価格は街で食べる二倍程度する。

ようやく呼ばれたのでまずは1/3に着席。するするとチップを増やして、最大時で60万ウォン浮くらい。途中からテーブルが2/5に移行。メンツがどれだけ良くても絡まなければ、ジリジリ減る。結局ちょいプラでAM2に切り上げる。久しぶりにキャッシュゲームをやった。ケニアで約3年、ほぼ毎日よくもまあ、こんなことをやっていたと感心する。発狂するわ。

DAY1:Opening Event

トーナメントが始まる2-3時間前に目を覚ましたので、シャワーを浴びて、ホテルのビジネスコーナーへ。ベストウェスタンはこのムーブがスムーズにできるのがいい。トナメの合間に原稿を書き進める、リアルデュアルワーカー。

基本ムーブとして、毎日飯コンプが発行されるカジノ内のカフェナインでカツ丼。PM1からファーストイベントWarm Up。FTが手に届くところまできて、K,9 << 5,5でセット刺されて飛翔。そのまま、Opening Eventへ。こちらは8位入賞。

最後、A,K << A,J、リバーJペロされてキツすぎ。そのままChampionshipのサテ。美しすぎるバブルを決めて終了。許容できるリスクの幅を調整しなくては、と反省。疲れがひどいのでキャッシュはスルーして、就寝。

今日だけで5人から「YouTubeみてます、応援してます」と声かけられた。じぇいそるchすごい。

DAY2:SAMURAI Championship

相方は朝方までキャッシュを打ってたようで、深い眠りに。AM9には目が覚めたので、原稿整理。『戦略論』に使えそうな過去の記事を統合する。今日はSOに関する記事を、使える形に整形し、元原稿とマージ。

PM1からミステリーバウンティ、何も見せ場なく二発飛び。Championshipのサテは着席ファーストハンドで10,10 < A,Kに一枚フラッシュで破壊されて、涙目。自費でChampionship。着席ファーストハンドで衝撃の展開。自分は関係ないが、プレイヤーがいきなり飛び。フロップA,6,5。オリジナルのレイズに、SBがレイズ。チップを間違えた、といって特大のレイズ。ここにA,10のオリジナルが一発オールイン。「Sorry, sorry」と言いながら、5ポケ刺さってるのでコール。さすがにアングルシューティングではないと思いつつ、A一本はスナップフォールドだよなぁ、と思う。彼はリエントすることなく、1分でさようなら。

自分はそこから、わりと順調に泳いでいたものの、終盤Kヒット降りれず、キッカー負けでさよなら。

翌日にあるBUSHIDOのサテ。ほぼインマネ行けるかのところで、UTGのどチップリが一発入れオールイン。BBでQQ。少考したもののコール。しっかりフロップでKがこんにちわ。レイトレジぎりでリエントリー。AA, << A,Q、リバーでガットツモられて絶望からのギリ通過。肝冷やしすぎたけど、今回のAJPCで一番盛り上がった。サテライトなのにギャラリー多すぎて笑った。

今日も今日とて、何人かから顔を刺される。ポーカーは年齢や所属・職業を超えて、ポーカーという共通項により、話題に事欠かないから、話せばだいたい仲良しになる。深夜に出会ったお兄さんとカレーを食べて帰宅。

DAY3:BUSHIDO”武士道”

AJPC 三日目。朝仕事、昼からポーカーというルーティンを鉄の意志で守る。

PM1より、サテライト通過していたBUSHIDOスタート。特に見せ場なくリエントリーするも、展開なく死亡。そのままCrazy KO Bountyに。

最序盤10,10 > Q,Q > A,Aで超ラッキーして、バウンティを二つ獲得したものの、見せ場はそれだけで、そこからドカンと減らし、退場。リエントリーするも、フェイバリット勝てなすぎて悲しい。

夜2時間ほど2/5キャッシュを打って、+300。キャッシュはやる気なかったけど、想定以上にトナメで溶ける金のペースが早いので、嫌々でもキャッシュを打って、ちょっとでもバンクを充填していかないと持たない。

狙っていたプレイヤーがトリプルアップしてからすっかり温泉に入ってしまったので、見切りをつけてキャッシュアウト。深夜のランドリーに洗濯物をぶん投げて寝る。

DAY4:High Roller

Hendon Mobをみたら、獲得賞金がようやっと万ドルを超えていた。コツコツよりも一撃を。

Rookiesという謎イベントをスキップして、定番のCIMERへ。その前にまずは飯。

じぇいそるchでもお馴染みの日本食屋。さすがに量が限界突破してて、完食はできない。

ド平日だったからか、今まで見たことないレベルでCIMERはガラ空き。

CIMERはドライとスチームで温度の逆転現象が起きており、ひたすらスチームを攻め続ける。しっかり3セット整って、超回復。

一番ノリでHigh Rollerに着席。恐れていた事態というか、分かりきっていた未来というか、エントリーが来ずに一向にゲームが開始しない。仕方がないので、周囲にいるめぼしいプレイヤーに自分で声をかけて営業。なんとか数名かき集めてスタート。

結果、今回のAJPCですでに3勝している福岡から来た若者とヘッズ。苦戦が予想されたものの、スイスイと泳がせてもらい、完璧な立ち回りができたと思う。最後は、10,9フロップトップツーで、相当ウェットボードだったので、3Betを返す。すると、4Betオールインが飛んできたのでスナコ。そのまま何事も起こらず優勝。

無事にトロフィー獲得。石田さんが祝ってくれてうれしい。早めに宿に戻る。

DAY5:Win The Botton

韓国にやってきてから午前中は早起きして、毎日書籍原稿の執筆をゴリゴリと進められている。ポーカー期間中はどうしてもアドレナリンの余韻を引きずるので目覚めがいい。パッと起きて、机につく。メリハリ大事。

スキップしてもいいかな、と思っていたKO Bountyからスタート。A,Q << A,Kで何事もなく終焉。Deep Stackまでカジノ内で適当に時間を潰す。こちらは一切の見せ場がないまま2飛び。

カフェナインでぶち抜いているカツカレーをもぐもぐ。Win the Bottonにエントリー。ポットを取った人が無限にボタンを勝ち続けるゲーム。初めてプレーしたので新鮮で楽しかった。結果最後はK,K << A,Aでぶつかって飛んだものの、一切の悔いなし。ギリギリでインマネ。石田プロが0.8bbが魂の優勝してて瞠目した。さすがです。石田さんとヘッズ行きたかった。

退散して部屋に戻り、ルームメイトと三十路の青春の過ごし方を作戦会議。たしかにおじさんだが、まだ若いおじさん。やれることはあるだろう。メタ認知は大切だが、ある枠内に自分を矮小化してしまうのはもったいない。

DAY6:Main Mini

「(物事)を知りすぎること」と「知らなすぎること」は、どちらが幸せなのだろうと時々考えてしまう。おそらく後者なのでは?との仮説を持ってはいるものの、人生は一回しかない。とすれば、ある物事を「知る」「理解する」「味わう」それぞれのプロセスこそが醍醐味なのだろう。その意味で「若い」ことの価値は、どれだけ誇張してもし過ぎることはない。初体験という名のミステリー・バウンティ。

AM9に起きて、三浦さんの新刊のブックライティングのラストスパート。とりあえず初稿プロトタイプをまとめ切った。一旦編集者に渡して、所感を伺う。今日はポーカーに集中できそう。

AM12からMonster Stack。レベル3でプロ筋と衝突。10のトップヒットを降りきれずオールインコール。上ポケ出てきて死亡。リエントリーせずにお茶を濁す。

大阪からきょうかポーカー合流。PM5からMain Mini。悪くない感じで推移していたものの、AK << 10,10で飛び。スタック量的に10,10は降ろせそうだったけど、判断するのは人間なので致し方ない。そのままQuickに出るもA,K << QJで飛び。徳を積むところから始めたい。

DAY7:Mystery Bounty

今日は本ではなく記事を書く。取材データをもらえれば世界のどこにいても仕事に取り掛かれるのがこの仕事の利点だ。

お昼からミステリーバウンティ。時にショートな局面を切り抜け、上位25%からバウンティ発生。ノーエントリーでスイスイ泳ぐ。

FTであと三人となったところでバウンティドロー。その時点で三枚あったので、友達二人にそれぞれ選んでもらう。200万ウォンをきょうかが引く。そしてヘッズアップ。じゃっかん自分の方がチップ上。ここではハイローラーのHU経験が完全に生きた。何事も場数だなと。

最後は相手のプレー傾向につけ込み、A,Qsでリンプ。相手のオールインにスナップ。無駄にナッツフラッシュ引いて優勝。

この一撃で今回の旅の終始が一気にプラス域に。とはいえ利確はせずに、明日のスーパーハイローラーはじめ、まだガンガン攻め込んでいく所存。

夜は友人らとチキンとビールの店。からの、去年にもやってきたホテル近くのバー、リザードへ。でもママがいなくて残念だった。

DAY8:SAMURAI × XPT

AM6起床。前日優勝したとか関係なく、早起きして仕事。前倒しで進めていく。寝ぼけて目にコンタクト三つ入れてた。さすがにこれは初めて。

PM12から広島のポーカーイベントXPTとのコラボトナメに参戦。広島からゾロゾロと来られた団体客によって活況。参加は約100名。開始からハンドが入りまくり、終盤までチップリ。

最終的にはA,5 << Q,8で飛び、4位。たのしかった。この結果で、今回の旅はおそらく何があってもプラス収支確定した模様。そのままフィリピンでオールインしたい。

副賞として10月に広島で開催されるXPTのメインチケット貰ったので、遊びに行く予定。

そのまま日本から来たばかりの兄そるさん、XPT優勝のにっしーさん、ポーカールーム・ディレクターのパトリックら、ランダムなメンバーでウンソのサムギョプサル屋へ。毎度お馴染みの店。

たらふく食べた後、仁川に戻り、仕事を終えたディーラーたちと合流。ホテルの部屋で朝方まで飲む。AM6起きなので、最後の方は意識が飛びかけた。韓国人の酒の強さはネクストレベルいってる。

DAY9:Main Event Day1 B

諸事情により、レイクエルシノア以来の床睡眠。グランドハイアットに泊まってるのに、床睡眠。メイン前に徳を積んでおく。

AM11からメインのサテライト。シートは一枚のみ。AA >> KKでラッキーして、テーブルのほぼ全てのチップを手中に。2位と3位は残プライズをチョップ。結果、自分だけメイン本戦に進むことに。

そのままメインにエントリー。座ってすぐにQQ >> AKでダブルアップ。そこからDAY2まではとにかく耐えの展開。バブルラインで10bb切って、危うくなったものの、絶妙なタイミングでKKが入り、>> 10,10でダブルアップ。AK << K,10で一人飛んで、見事にDAY2(インマネ)。

サテライトが30万ウォン程度だったので、インマネ時点で10倍くらい得した。アツい。明日は開始時点で10bb程度なので、ダブルアップ必須。あとはハンドが入るかどうか。

DAY10:Main Event Day2

アドレナリンの循環でAM5起床。この時期の韓国は最高の気候と言える。朝散歩と光合成。

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