マガジンのカバー画像

語学の散歩道

28
語学と触れ合うことで出会った人、気づいたことや感じたことを綴ったエッセイ集。日々の生活にちょっとしたと彩りを与えられたら、という願いを込めてしたためました。毎月20日投稿予定。
運営しているクリエイター

#エッセイ

語学の散歩道#22 本物はどいつだ?

映画において「ホンモノ」かどうかを問うのは難しい。そもそも映画は「ニセモノ」だからだ。 …

Ryé
9日前
30

語学の散歩道#21 ボレロを踊る

フランスの作曲家、モーリス・ラヴェルによるバレエ音楽『ボレロ』。 1928年に作曲され、「世…

Ryé
1か月前
32

語学の散歩道#20 四月の魚

日本さかな検定というものがあるらしい。 元来、暗記も肩書きも苦手な私は、出世魚の区別すら…

Ryé
2か月前
34

語学の散歩道#18 言の葉を淹れる

行間を読む極意。 そんな術があるとしたら、ぜひ手に入れたい。 私の上司の指示や報告はとて…

Ryé
4か月前
42

語学の散歩道#17 喉にいる猫

ハスキーな声の女性はセクシーだ。 子どもの頃、風邪を引いて喉を痛めるとしゃがれ声になるの…

Ryé
5か月前
44

語学の散歩道#16 言葉の指紋

『物語を忘れた外国語』 初めて読んだのは10年程前で、本屋で立ち読みをした際、あまりの面白…

Ryé
6か月前
42

語学の散歩道#番外編 冬に微睡む

寒い。 突然やってきた木枯らしが、まだ残暑を羽織っていたはずの初秋からあっという間に木々の葉を払い落としていった。 年々寒さに耐えられなくなっている気がするが、考えてみれば子供の頃はもっと寒かったのだ。 地面から霜柱が伸び上がり、屋根からは氷柱がぶら下がっていたのだから。今では手や足に霜やけができることも、もうなくなった。 でも、やはり寒い。 私はふだん、甘い飲み物を全く口にしない。コーヒーや紅茶にも砂糖は入れないし、フルーツジュースすら飲まない。 ところが、なぜか

語学の散歩道#15 ルビの指環

ルビの魔法は、赤く輝く紅玉のごとし 7月の誕生石、ルビー。 ルビーの石言葉は、その色から…

Ryé
7か月前
36

語学の散歩道#14 サトリに諭された話

ずっと黒原敏行さんのことを書きたいと思っていた。 私は海外文学を読むとき、翻訳者のことは…

Ryé
8か月前
32

語学の散歩道#特別企画 秋に佇む 〜月の言葉〜

ある朝、秋は突然やって来る。 毎年地球が太陽の暑気を纏い、夏が裾を引く音と秋の衣擦れの音…

Ryé
9か月前
43

語学の散歩道#番外編 秋に佇む 〜星の言葉〜

先日、カンノーロと出会った喜びを思わず呟いたところ、ミランヨンデラさんが星座入りの「ビレ…

Ryé
9か月前
30

語学の散歩道#13 言語を、嗅ぐ

ロシア語を学ぼうと思ったことは、一度もない。 理由は簡単だ。 文字が読めないからである。…

Ryé
10か月前
33

語学の散歩道#12 お茶はいかが?

一杯の紅茶。 それはイギリス人が求めてやまないものである。 2011年からBBCで放送されたドラ…

Ryé
11か月前
26

語学の散歩道#11 九回二死満塁の雑記帳

これは、言語にまつわる断片を記した、いわばパッチワークのような雑記帳である。綻びがある端切れは、「中継」の糸で縫い合わせてみた。 私が面白いと思う映画やドラマのストライクゾーンは、たぶん狭い。つまり、人によってはボール球に感じられるかもしれないということをはじめにお伝えしておこうと思う。 友人のストライクゾーンは私よりはるかに広いのだが、私のストライクゾーンをよく知っているから、滅多に狙いを外さない。 もう去年のことになるが、その友人が久々に投げてきたスライダーが、高め