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語学の散歩道

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語学と触れ合うことで出会った人、気づいたことや感じたことを綴ったエッセイ集。日々の生活にちょっとしたと彩りを与えられたら、という願いを込めてしたためました。毎月20日投稿予定。
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記事一覧

語学の散歩道#22 本物はどいつだ?

映画において「ホンモノ」かどうかを問うのは難しい。そもそも映画は「ニセモノ」だからだ。 …

Ryé
1日前
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語学の散歩道#21 ボレロを踊る

フランスの作曲家、モーリス・ラヴェルによるバレエ音楽『ボレロ』。 1928年に作曲され、「世…

Ryé
1か月前
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語学の散歩道#20 四月の魚

日本さかな検定というものがあるらしい。 元来、暗記も肩書きも苦手な私は、出世魚の区別すら…

Ryé
2か月前
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語学の散歩道#19 AI vs BI 【前編】

ドラえもんの道具で欲しいものが二つある。 それは… どこでもドアと暗記パン 子供の頃から…

Ryé
3か月前
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語学の散歩道#18 言の葉を淹れる

行間を読む極意。 そんな術があるとしたら、ぜひ手に入れたい。 私の上司の指示や報告はとて…

Ryé
4か月前
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語学の散歩道#17 喉にいる猫

ハスキーな声の女性はセクシーだ。 子どもの頃、風邪を引いて喉を痛めるとしゃがれ声になるの…

Ryé
5か月前
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語学の散歩道#16 言葉の指紋

『物語を忘れた外国語』 初めて読んだのは10年程前で、本屋で立ち読みをした際、あまりの面白さに完読してしまった。 しかし、購入リストの一番上に積まれながら、どういうわけか衝動買いされた本たちに次から次へと追い越されていった。 先日、語学好きの友人が、そのまた友人から借りて面白かったと又貸してくれたのが、この本だった。縦に繋げば富士山よりも高くなるほど積まれた本たちのことを思うと、さすがに再読がためらわれる。 返すのはいつでもいいと言われたが、借りた以上は返さねばならぬ

語学の散歩道#番外編 冬に微睡む

寒い。 突然やってきた木枯らしが、まだ残暑を羽織っていたはずの初秋からあっという間に木々…

Ryé
6か月前
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語学の散歩道#15 ルビの指環

ルビの魔法は、赤く輝く紅玉のごとし 7月の誕生石、ルビー。 ルビーの石言葉は、その色から…

Ryé
7か月前
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語学の散歩道#14 サトリに諭された話

ずっと黒原敏行さんのことを書きたいと思っていた。 私は海外文学を読むとき、翻訳者のことは…

Ryé
8か月前
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語学の散歩道#特別企画 秋に佇む 〜月の言葉〜

ある朝、秋は突然やって来る。 毎年地球が太陽の暑気を纏い、夏が裾を引く音と秋の衣擦れの音…

Ryé
8か月前
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語学の散歩道#番外編 秋に佇む 〜星の言葉〜

先日、カンノーロと出会った喜びを思わず呟いたところ、ミランヨンデラさんが星座入りの「ビレ…

Ryé
9か月前
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語学の散歩道#13 言語を、嗅ぐ

ロシア語を学ぼうと思ったことは、一度もない。 理由は簡単だ。 文字が読めないからである。…

Ryé
10か月前
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語学の散歩道 #特別企画 B面のアリバイ

フランス語の辞書をパラパラとめくっていると、たまたま面白い例文を見つけた。 alibiは日本語でもアリバイ(犯行時刻に犯罪現場ではない他の場所にいたと証明すること)と言うが、フランス語には「気晴らし」や「気慰み」という意味もあるのだそうだ。 なんとなくわかるような、わからないような気持ちで英語の辞書を紐解いてみると、ラテン語のalius 他の、ibi 場所に、というのが語源だとわかった。 なるほど、これなら腑に落ちる。 すなわち、何かが「他の場所」にいる(ここでは悲し