兵庫で同棲始め1ヶ月


朝、リビングの床で目覚めた。

昨晩いつも壁側で寝ている彼女が場所を替えようと言ってきて、眠ってみるとどういうわけか蕁麻疹が止まらず、布団の中がやたらに暑くてムズムズとした。

寝ているのか覚めているのかよくわからないまま半金縛りのような状態にあっていたような感じがした。

夢中でリビングに行くと、雨が降っていて、洗濯物を干したままだったことを思い出し、なにか獅子舞でも踊るように取り入れて、吸い込まれるようにコタツの中へ入っていった。



先月、兵庫で彼女との新生活が始まった。まだ家具がまともに揃っていない。二人ともほとんどお金なんて持っていなくて、限られた予算の中で、次はあれ買おう、これ買おうと言っていると、中々焦点が定まらない。

ベッドはぼくが一人暮らしの時に使っていたシングルサイズのものを使ってる。まるで下宿でお泊りをする大学生である。

もう一個同じマットレスを買い足して専用の結束バンドで繋げてしまおうと言ったりしているのだが、ベッドのフレームが少しだけ木がはみ出る洒落たものを使っているので、捨てるには惜しく、決まらない。

自分は左利きだからいつも人の左側を位置取る癖が無意識にあるが、昨日はあんな狭いベッドの中、右側にいて、いつも空いているはずの空間が壁であることに、体が泣いていたのかもしれないと思ったりする・・・



しかし目覚めは悪くなかった。

というかこの家に来てから目覚めが恐ろしいほどに良い。いつも昼前に起きて、飛び出すように準備をしていたのに、近頃は朝ご飯を食べ、各種ルーティンまでするようになってきた。

それも気張っているわけじゃなくて自然とそう出来る。

人と暮らすのなんて、生活リズムや睡眠的な観点から絶対に無理だと思っていたけど、いざしてみると、調和のようなものの中に居ることを感じる。そして、それが安心感や安定した状態につながっているんだとはっきり感じる。



夜帰ると、トッポギの煮込みを作ってくれていた。この鍋形式かつピリ辛なものは、箸が止まらなくなり、どうも気が狂ってしまう。

そして仕事の話をした。

「あなたにとって仕事とは何?」
と聞かれ、しばらく考えた。職業の性質上か今は稼いでいるというよりも学んでいるという感じがしている。

20代半ばの頃は、思いだけがほとばしり、行動してみるとあまりに未熟な自分ばっかりが目につき、もっとちゃんとした土台を作らないといけないと思い、そんな方向に舵を切った。

ぼくも彼女も30になり、仕事について、人生について、改めて考え直すような時期にきているのだと思う。

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