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「利用者が知らない」は無いと同意義。時代の変化に合わせた継続的な改善が甲賀市の交通の未来をつくる



甲賀市建設部 公共交通推進課 係長 中村様(左)
甲賀市建設部 公共交通推進課 主査 服部様(右)

 滋賀県の南東に位置する甲賀市。現在総人口約9万の同市は、「忍者の街」として国内外に知られるほか、焼き物「信楽焼」で有名な陶器のまち信楽でも知られ多くの観光客が訪れる街です。
2020年より新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、観光客が利用する近隣の鉄道は大きな打撃を受けました。一方、甲賀市が運営するコミュニティバスは、ルート・エリアともに全国的に見てもかなりの高稼働状況にあります。コロナ禍においても、固定のお客様のご利用があるため鉄道ほど余波がでていない状況ですが、全体はコロナ前の水準までは戻りきっていません。
そのような状況のなか、利便性の高い地域交通を通じたよりよい街づくりを目的に、同市ではRYDEとともに2022年2月より交通のデジタル化という新たな挑戦をはじめられました。どのような甲賀市の未来を見据え、交通のデジタル化を推進されているのでしょうか?推進を担当されている中村様、服部様にお話を伺いました。

5年前に新設した甲賀市役所。
施設内は所々に甲賀市ならではのデザインが盛り込まれていて見るだけでも楽しい。

導入自治体様:滋賀県甲賀市 甲賀市建設部 公共交通推進課様
導入目的:交通のデジタル化、利便性の高い地域交通によるより良い街づくり
導入内容: RYDE PASSの導入(コミュニティバス及び市内鉄道事業者の企画乗車券のデジタル化)

抱えていた課題

地域住民の利便性を高めるため、同市のコミュニティバスは広域までカバーされています。しかし、地域によっては運行本数が少なかったり、路線数が多いがどこを走っているかがわかりにくいなどの課題がありました。中村さんはその課題について「利用者が知らないということは、バスが運行していないのと一緒」と話し、そこには強いメッセージが込められていました。
現在市内でコミュニティバスを利用されたことがある方は半数以下であり、バス利用者は一定固定化されている状況です。現状を打破するためにも浸透性・利便性の向上を行っていく必要があると感じています。
その中でも過去の取り組みで反響をいただいたのがGoogleMapでの検索です。コミュニティバスを検索できるようになったことに加え、障がい者の方からもボイス検索から調べることができるようになって便利になったとのお声が届いています。

誰しもが簡易にアクセスできるロケーションで、探していることがすぐに見つかる、そんな一見当たり前のようで非常に難易度の高い課題に取り組まれております

市役所エントランスすぐにデジタルサイネージで交通に関する情報を発信

DX実現に向けた取り組み

コミュニティバスを機転に公共交通推進課では、定量的な数字を持って実証実験・分析を行えるように早くから利用実態のデータ化に着手してきました。RYDE PASSを導入いただいたことで、今まで取得できなかったより詳細なユーザ属性・利用状況を元に施策の検討を進めていく予定です。

現在は一部の企画券のみの販売となっていますが、近い将来ではデジタル定期券の導入も見据えています。
これまでは特定の窓口でしか発行することができず、ご購入されるお客様に負担がかかってしまっていたところを改善できることは大きく利便性が向上することに繋がります。

また利用データからお客様の実態を吸い上げることで、今までは見えてこなかった定量指数をもった改善活動を行うことができます。市民の皆様からいただくお声と、実態データを組み合わせることで、より洗練された運営が行われると思います。

RYDE PASSではコミュニティバスと鉄道を活用して甲賀を目一杯楽しめるフリー乗車券を販売中

今後に向けて

今後RYDEに期待することをお伺いした際に「誰もが使いやすく、ユニバーサルデザインを意識したものを」というご要望をいただきました。
先に事例としてあげたように障がい者の方々への使い勝手や、今後回復するであろうインバウンド観光向けの仕込みとしても非常に重要な視点であることを改めて認識したご要望でした。

また市としては課題の1つである浸透率・利便性の向上と、よりよいまちづくりに向けた中期計画の策定が始まっています。
「交通分野だけ充実させても意味がなく、それを使う上でのユーザー体験がより大切だと考えます」語る中村さん。普段の生活はもとより、休日の過ごし方、観光の方、それぞれに交通がハブとなるような設計を目指されているそうです

今後は交通をハブとした住み良い街として、甲賀市が全国のロールモデルの1つになっていく日が近いかもしれません。RYDEでは引き続き甲賀市様とともにより良い街づくりを目指して二次交通のデジタル化を支援してまいります。


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