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“感覚的なデータ”から、質の高いデータへ。マーケティングを進化させた、京成グループの交通DX
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“感覚的なデータ”から、質の高いデータへ。マーケティングを進化させた、京成グループの交通DX

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都内東部と千葉県を結ぶ鉄道網であると同時に、成田国際空港への送客大手である京成電鉄を筆頭に、40社以上の運輸会社を抱える京成グループ。「千葉県を網羅する」という強みを持つ一方で、DXが難しいという地方路線・そして交通業界ならではの課題感を抱えていた同社に、RYDE PASS導入前後の変化やメリット、今後の展開などについて話を伺いました。

京成電鉄株式会社 グループ戦略部 交通サービス担当
課長 林 祐悟 氏
 CXとしてのチケットレス化と、マーケティングの一環としてのデータ取得を目的に、RYDE PASSを導入。最初は佐倉エリアのワンデーパスから始まり、現在は千葉中央バス、北総鉄道などへと導入が広がっています。

デジタル化、そしてデータ化に後れを取る交通業界。
顧客サービスと行動分析を両立できる手段がRYDE PASSの導入だった

鉄道の現場は、今でも紙・電話・FAXでのやり取りなど、アナログな手段が用いられていることが多く、デジタル化の余地は大きい。
 「今でこそ交通業界のチケットレス化、デジタル化は珍しいものではありませんが、RYDE PASSの導入を検討しはじめた当時はそれほど普及していませんでした。チケットレスシステムを入れるメリットについても説明を聞いてはいたものの、手探り状態だったというのが実際のところです」と語るのは同社のグループ戦略を担う林氏。
 千葉県を中心に、首都圏の主要交通網の一つである京成電鉄グループでは、京成各線だけでなく北総鉄道や関東鉄道といった鉄道会社やバス会社、タクシー会社など、40社以上の運輸会社を抱えている。
「当初は現在のRYDE PASSができる前に発売した『なりたうなチケ』という鉄道乗車券と食事券がセットになった観光チケットが、当社線でデジタルチケットを導入した初めてのケースでした。その後、私自身は鉄道を離れてバスやタクシーの担当となりましたが、実際に携わってみると、バス会社はICカード利用が普及しているものの、定期券や企画乗車券は依然として紙媒体の会社が多く、販売窓口も鉄道と比較して少ない。利用者の不便がデジタルチケットによって解消できるのではと感じ、系列バス会社への紹介を通じて、デジタルチケッティングの導入理解を進めました」

もうひとつ、「なりたうなチケ」の導入事例から、利用データが正確に把握でき、行動分析に基づいたマーケティングが可能という手応えも大きな理由となったそうだ。

「既存のシステムでは、どこの駅に何人乗降客がいたかというデータは集計されるものの、ユーザー層の把握や行動目的といった細分化されたデータを得ることは不得意です。また、経営が厳しい中小規模の会社がデータ収集や分析のシステムを導入するには、コストの観点からハードルが高く、そのため、細分化された質の高いデータに基づいた施策よりも、目視調査やバス運転手の実感値という、属人的かつ感覚的なデータに基づいたマーケティング施策が多かったのです。それ自体を否定するものではありませんが、RYDE PASSの導入によって、規模の小さな会社でも無理なくデータを利活用できるのではないかと思いました」 

京成電鉄がデータ収集に着目した背景には、コロナ禍による人流変化も大きかった。インバウンドの減少をはじめとするコロナ禍による人流の減少は、同社グループの鉄道やバスの輸送人員に大きな影響を与えていました。グループ全体として、既存の輸送需要だけに頼らないビジネスを模索しなければ――。
新たなマーケティング施策が求められる中、それまで分析できなかったデータを可視化できるRYDE PASSに、大きな期待が寄せられました。

導入の決め手は、初期コストとユーザーに寄り添う姿勢

サービス導入にあたっては、多数のグループ会社を抱えるからこその課題感もありました。
 「DXや新規サービス導入というと全社導入といった具合に横並びに考えがちですが、それではうまくいきません。各社毎に異なる経営環境や現状のサービスを把握し、強み・サービスを紐解いた解決策にしていかないといけない。サービスを入れることが目的なのではなく、導入後にどう使うかが大事なため、サービス提供会社には『どうお付き合いいただけるか』が重要なんです。その点RYDEは、一貫して寄り添っていく姿勢なので非常に助かります」
RYDEが目指しているのは、二次交通と言われる地域交通の仕組みを整理し、地域経済を活性化すること。だからこそ、地方特性の把握や寄り添い方には並々ならぬ力を入れられています。RYDEは「導入したら終わり」ではなく、導入後サポートにも力を入れており、得られた数値データの読み解きや傾向分析、課題抽出なども実施しています。

これまでは目視調査等により、「この路線は○○病院の通院に使われることが多いから、混雑する午前中だけ便を増やそう」といった「現場感覚」による施策が多く実施されていました。それは決して間違いではありませんが、それだけでは潜在的ニーズは拾えず、新規顧客を生み出すことも難しくなってしまいます。乗客のたった数%でも県外から来ていることがわかれば、そこに新たな観光プランのヒントが隠されているかもしれません。属人的な思い込みやしがらみを外した、客観的かつ定量的なデータを取得できるのが、RYDE PASSの最大のメリットです。

ただ、京成グループ内でもRYDE PASS導入時には「ICカードシステムを入れているのに、さらに新システムを導入する意味があるのか」という声も上がったといいます。
「各社の経営方針があるので、我々としては寄り添いながらニーズに合うサービスから導入促進する姿勢です。RYDE PASSに関してもメリットを説明することに徹していますが、RYDEは初期導入コストの負担が少ないため、検討の土俵にあげてもらいやすいことも大きいですね」
 あくまで各社に導入判断を委ねた姿勢ながら、すでにこの1年で4社のバス会社と2社の電鉄会社が導入を決定。その他3社が導入を検討いただいています。

思い込みが外れた定量データから、新たな発見も。
DXによって気付いた、データの重要性

RYDE PASSを導入したことで、類推が深まった実感があると林氏は言います。
「利用客の往復がどういう向きかわかり、類推が深まりました。例えば、千葉中央バスの観光企画チケットの利用者は周辺住民ばかりだろうと予想していたのですが、実際は北海道や香川県からの来客があることも判明し、驚かされました。その結果、利便性を高める訴求や施策が浮かび上がるようになったのは大きな成果です」
 さらに特筆すべきなのが、企画チケットの販売推移です。レジャー施設と運輸を組み合わせたセット商品は、これまで紙とコンビニ系電子チケットで販売されており、8割近くがコンビニ系電子チケットによる購入でした。しかしRYDE PASSは導入7ヵ月後には、コンビニ系電子チケットのシェアに肉薄。現在では企画チケットの3割ほどがRYDE PASSによって販売されている状況になりました。

「正直、ここまでの効果が見られるとは私も予想していませんでした」と林氏。これらの成果もあって、導入各社ではデータの重要性に気づきはじめているものの「活用法についてはまだまだこれからというところでしょうか。データの数自体を、もう少し溜める必要があるかもしれませんね」。
とはいえ、ゆくゆくは鉄道路線を軸にして、沿線のバス路線網を活用し、ネットワーク全体としてどのようにサービス提供していくかを考えていきたいといいます。

「現時点では、まだ各社ともデータ利活用の意識があまり高くないことが一番の課題感です。まずはそこにチャレンジし、司令塔の立場として『グループ全体でデータ活用が進むとどんなメリットがあるか』とていねいに説明し、意識変革へと繋げていければと考えています。RYDE PASSは導入ハードルが低く、お試し導入も可能です。各社の発想を変えていくことをポイントにしつつ、将来的にはRYDE PASSを導入した会社同士で横連携を図り、シナジーが生まれて回遊効果が出していけると理想的だと思っています」

昨年から今年にかけて、利用者数が多いワンデーパスに対する認知・理解を得られたことで、地元のお店に足を向けてもらえるような地域活性化にもつながることも実証されました。データが出るごとに、新しい課題や提案が生まれる「良いサイクル」が生まれたのは、京成グループ各社にとっての大きな変化だったのかもしれません。 

 「RYDEには、データ利活用してどのように戦略を立てていくべきかのパートナーとして伴走し続けて欲しいと思っています。自分たちだけでは、プラスになる部分に気付くことや創造価値にすることが難しいので。また、一定のグループ会社に対してはマーケティング勉強会を開くことで有用性が上がるのではとも考えています。ひとつの数字を見るときに、それぞれの立場によって数字の捉え方が変わるでしょうから、それを『本来はこうだ』と教えてくれるようなセミナーを開いていただけるといいですね。サービス導入だけにとどまらず、今後も末永くお付き合いいただければと思います」
RYDEをパートナーに迎え、デジタル化に向けて本格的に動き出した京成電鉄。グループ全体を巻き込み、お客様にとって最適な移動を提供できるよう時代とともに変化し、進化を続けていきます。


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