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川崎殺傷事件に便乗した「犯人は在日」などのヘイトデマに注意を――国、自治体、政治家はデマと差別の否定を


2019年5月28日に川崎で、スクールバスを待っていた小学生ら19名が殺傷される非常に痛ましい事件(川崎殺傷事件)が発生した。

この川崎殺傷事件の直後から、インターネットでは、「犯人は在日だ」などの極めて深刻なヘイトスピーチが大量に拡散されている。

ためしにツイッターで「川崎 在日」というキーワードで検索するだけでも、次のような事例が簡単にみつかる。(閲覧注意)

これらはすべて、

1)事実無根のデマ(つまりフェイク)であり、

2)「在日」や「韓国人」など、人種/民族にまつわる集団への不平等を煽動するヘイトスピーチである。

この悪質なデマを使ったヘイトスピーチを放置することは、非常に危険な結果を招きかねない。たとえばデマやヘイトスピーチに煽られた者が、朝鮮学校を襲撃したり、在日コリアンや在日外国人にヘイトクライム(差別に基づいた犯罪)を行ったりする危険がある。

どうしたらいいのか。

このツイートが参考になる。

大変重要な指摘である(①については藤田孝典さん記事をお読みいただきたい)。

以下②のデマ・差別への対処法については、とりいそぎ書いておきたい。

(※別の角度から、昨年の大阪震災時にも提言を書いたことがある。いまこそぜひお読みいただきたい。)

では、犯罪発生時のヘイトスピーチへの対処法について、提言です。

1.国、自治体、政治家は、すぐにデマとヘイトスピーチを否定するコメントを発すること

政治家は一般人とは異なり、大きな社会的影響力を持つ。国や自治体、公職にある人間が、「犯人は在日」などのデマと差別を否定するコメントを発表することで、ヘイトスピーチの差別煽動効果を一定押さえ込み、最悪のヘイトクライムに結びつく可能性を低下させることができる。

事件が発生した川崎市や、神奈川県、政府トップである安倍首相には、ぜひこうしたデマと差別を否定するコメントを発表してもらいたい。これはさらなる犠牲者を出さないために、絶対にやらなければいけないことである。

2.デマやヘイトスピーチの投稿をTwitter社などSNS各社や、法務省をはじめとした関係機関が調査し、削除すること

デマやヘイトスピーチの投稿をTwitter社などSNS各社や、法務省をはじめとした関係機関が調査し、削除することである。SNSのサービスを提供する運営会社は、ヘイトスピーチをきちんと規制する義務が存在する。しかるべき人員・コストを割いて対処しなければならない課題であろう。また日本政府は、こうしたインターネット上のヘイトデマがどの程度流布されているのかを統計調査し、SNS各社に削除するよう指導することが必要である。

今回の流れたヘイトデマは、良識的な人々によってネット上でTwitter社に規約違反の投稿として通報されている。しかし多くは削除されておらず、野放し状態になってしまっている。繰り返しになるが、これは非常に危険である。想像がつかないかもしれないが、ジェノサイドは実際に起こりうる。約100年前、関東大震災時には、数千人が本当に殺されたのだ。

3.このようなヘイトデマへの対策として、私たち一般市民ができることは、上述のように差別を見つけた際、通報し、また記録することである。

このようなヘイトデマへの対策として、私たち一般市民ができることは、上述のように差別を見つけた際、通報し、また記録することである。私が代表を務めるNGO、反レイシズム情報センターでも差別のリポートを受け付けている。記録があれば関係各所の専門家と連携を取りながら対処していくことが可能である。ぜひこちらのフォームから(https://antiracism-info.com/contact/)リポートいただきたい。


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