書き出し採点!読破三分!女子アナなつみ 作品が世に出るまで 22日目 

 
出逢い
 
織田俊平38歳。女性にプロポーズしたが断られ北九州の土地を離れて埼玉県へ転勤を志願した。福岡空港ロビー。出発の時間までなつみは喫茶店で時間を潰すことにした。4人掛けのテーブルにひとり座っている男性に声をかけ席を空けてもらう。なつみはジェイルービンの「村上春樹と私」と言う本を取り出して読み始める。アメリカの日本文学翻訳家で村上春樹の翻訳もこなし芥川龍之介や夏目漱石の翻訳でも有名な存在である。目次に目をやりページをめくろうとするが集中出来ない。なつみは目の前の男性が気になるのだ。ちょっとイケメン風で流行の眼鏡らしきものを掛けてるがメガネ量販店の大安売りで3千円のフレームかもしれない。髪型はサラッとした感触の雰囲気があり顔立ちはなつみの採点では80点の男である。服装もそんなに高級ではない。こないだテレビで身体にまとう服の値段が150万の男性より洒落たイメージである。なんとなく、ロールキャベツ男子。見た目は草食系で中身は肉食系だ。松田なつみはこの日のファッションはリクルートスーツだ。他人のファッションにああだこうだ言う資格はなかった。男性は窓の外をさっきから眺めている。それにしても、今の男性のイメージは疲れた雰囲気である。すると男性が声を掛けてきた。「時間潰しですか」なつみは意外にも低音の声に内心ハッとした。男は言葉を続けた。
「どちらまで」
「ハイ、埼玉まで転勤です」
「キャリアウーマン」
「いえいえ女子アナです。出張の帰りです」
先程まで暗い感じの表情から急に活気のある表情に変わった。そして、ドスの効いた低い 声で失恋しちゃってと、気分が真っ逆さまに落ちるようなテンションでなつみは意外な雰囲気の男に興味を抱くのである。
「私は、こないだプローポーズを断ってきました」
2人は同時に大きな笑い声を飛ばした。
 
あいにく2人は別々の飛行機である。なつみは誘われる事もなく一期一会の出逢いであった。なつみは地方のキャスターではあるが割とファンもいた。それなりの女子アナの位置にいる。しかしもう27歳婚期が遅れている。プロポーズされたのは棒プロ野球選手であった。初めての出逢いで食事に誘われた。たしかにプロ野球選手としてはそれなりに活躍してる分類に入るだろう。野球選手じゃなくても社内にはそれなりの地位にいる人物もいる。仕事柄色々な人達に会う。しかし彼らにどうも魅力を感じないのだ。旅立つ前に親友の尼崎幸子33歳独身と居酒屋に行き。その件につきあれやこれやと疑問を先輩にぶつけてみた。
「何というかな、私の周りにいるそれなりに登りつめた人達は例えばプロ野球なら高校や大学、社会人になりドラフトされ高額な契約金をいただくがたしかにこれからが勝負かも知れないがその位置が頂点なのである。これからその頂点をいかに維持するかが仕事である。高学歴の男性が一流企業に入社するこの時が彼の頂点である。本来、女性は登りつめた男性には魅力を感じないのか何かしら炎を感じないのだ。もしかしたら古い時代に生まれた女性の本能に似た感覚であるとはわかってはいるが。そう恋愛ドラマや映画に憧れるのはたしかに登りつめた男性ではないこれからの男性が主人公である。幸子はこう言った。
「だから私達これまで婚期を延ばしたのね」
なつみは先程の男性が脳裏に浮かんだ。彼はどちらのタイプだろうか。カジュアルな服装に身を包んでいたが平日はネクタイしてバリバリのキャリア積んでて仕事している人なのか飛行機は羽田についた。

暗証番号

0002

コメント!感想受け付けます

ここから先は

0字

■活動方針 地元!その他! ■どんな人に来てほしいか 興味ある人 ■どのような配信を目指…

特別会員

¥1,000 / 月
初月無料

ありがとうございます励みになります