見出し画像

[和訳 / 歌詞] 2Pac ft. Talent - Changes

Produced by Big D The Impossible
Release Date: October 13, 1998

2パック - チェンジズ の和訳です。
Geniusに掲載されている歌詞と注釈から解釈し、翻訳したものです



前置き

この曲は、人種や社会的階級、さらに政治的な側面にまで2Pacの考えが言及されている彼の思想が詰まった楽曲です。
曲の雰囲気を形作っている、メロディのピアノとコーラスは、 Bruce Hornsby & The Range - "The Way It Is" からサンプリングされており、この曲もまた、人種差別の現実に訴えかけている曲です。




[Verse 1: 2Pac]

I see no changes, wake up in the morning and I ask myself
Is life worth livin'? Should I blast myself?
変わりはない、朝起きて自分に問いかける
人生には生きる価値があるのか?
自分自身を責めるべきなのか?

I'm tired of bein' poor and, even worse, I'm black
My stomach hurts so I'm lookin' for a purse to snatch
貧乏でいることには疲れたし、さらに悪いことに俺は黒人だ
胃が痛いのを抑えたくて、盗める財布を探してる

*(2パックはこう語る。
毎日、俺は外に立って俺の生活を歌おうとするとしよう、最初はこうだ
「俺たちは飢えている、空腹から開放してくれ、お願いだ」
1週間も経てば、歌はこう変わる
「腹が減ってるんだ、何か食べ物が欲しい」
2, 3週間経てば、こうなるんだ
「食べ物をくれ、さもなければドアをぶっ壊すぞ」
1年も経てば、こんな感じだろう
「鍵をこじ開けるぞ、ドアをぶち破って入るからな」)

Cops give a damn about a negro
Pull the trigger, kill a nigga, he's a hero
"Give the crack to the kids, who the hell cares?
One less hungry mouth on the welfare"
警官は黒人のことばっか見てやがる
引き金を引き、黒人を殺せば英雄扱い
「子供にクラックを渡せよ、誰が気にするんだ?
生活保護で暮らすヤツが減るからいいだろ」

*('80年代、'90年代のクラックの流行は、黒人の多い地域でかなり悪化したが、彼らが政府の福祉に依存して税金に負担をかけているという認識から、気にされなかった。
アメリカ都市部では貧困層をコカイン中毒にさせ、コカインを買わせるために、子供から大人まで無差別にクラック・コカインを無料で配布することが行われていたが、CIAがそこに関与していたとされている。)

First ship 'em dope and let 'em deal to brothers
Give 'em guns, step back, watch 'em kill each other
まずそのヤクを運ばせて、取引させろよ
銃を与えろ、下がって、殺し合いしてんのを見てろ

*(イラン・コントラ事件のことを示唆している。
レーガン政権がレバノンにて、シーア派のテロリスト集団に捉えられていたアメリカ人の解放を目的に、イランと裏取引した上、アメリカ国家安全保障会議 (NSC) からイランへ武器を売却していた。'79年から始まった、コントラ戦争というニカラグア共和国とそれに反対する反政府ゲリラのコントラの間で勃発した内戦に対し、武器を売却して得た金でニカラグアの反共産主義ゲリラ、「コントラ」の援助をしていた事件。この事件をきっかけとして黒人社会に有害薬物が広がることになったとされている。黒人社会にクラックを流通させていた人たちの多くがニカラグア人であったが、彼らの活動が取り締まりを受けず勢いを増していた背景にはこのコントラ戦争があった。CIAはコントラ支援と言う名目の元、クラックコカインをコントラから買い取り、アメリカに運び売っていたのである。
また、これを真っ先に地方紙で報じたゲイリー・ウェブというジャーナリストは、CIAが一旦は根拠がないとして否定したことを大手メディアが鵜呑みにしたことで、世間から大いに批判された。CIAは1年後に関与について認めたが、CIAが認めた後でもその流れが消えることはなかった。ジャーナリストとして続けていくことができなくなったゲイリーは数年後、ピストルで自殺してしまった。
このように、当時のアメリカの闇が凝縮されたような事件の連鎖が、イラン・コントラ事件をキッカケとして起こったのである。)

"It's time to fight back," that's what Huey said
Two shots in the dark, now Huey's dead
「反撃の時だ」これはヒューイの言葉だ
暗闇での二発の銃撃、そしてヒューイは死んだ

*(ブラックパンサー党創設者 ヒューイ・P・ニュートン:
1989年、オークランドで麻薬の売人に銃撃され47歳でこの世を去った。ブラックパンサー党は60年代後半から70年代にかけ、黒人の権利や黒人解放に対して運動を起こしていた組織であり、2Pacの両親はブラックパンサー党のメンバーであった。)

I got love for my brother
But we can never go nowhere unless we share with each other
俺は皆を愛してるよ
でも俺たちはお互いを分かり合わなければどこにも行けないんだ

We gotta start makin' changes
変わり始めなければいけないんだ

Learn to see me as a brother instead of two distant strangers
And that's how it's supposed to be
赤の他人としてじゃなく、兄弟として俺を見て学んでくれ
俺たちはそうあるべきなんだ

*(ブラックパンサー党の思想は黒人は白人と別の社会を作ることにあったが、2Pacの考えではそうではなく、黒人は白人と共存し共に生きていかなければ前には進めないと主張している。)

How can the Devil take a brother if he's close to me? Uh
悪魔が俺たちと仲良しだとしたら、どうして悪魔たちは俺たちの命を奪っていくんだ?

*(黒人差別が酷かった時代、黒人たちは悪魔の仲間だから関わってはいけない、という教えが伝えられていた)

I'd love to go back to when we played as kids
遊んでた子供の頃に戻りたい

But things change, and that's the way it is
でも物事は変わっていく、それが現実だ

*(この曲で繰り返し使われているフレーズ、 "The Way it is" とはこの曲のサンプルである、 Bruce Hornsby & The Range - "The Way it is" のことで、これも人種の不平等について歌っている曲である。)

[Chorus: Talent]

That's just the way it is (Changes)
そんなもんなのさ (変わっていくんだ)

Things'll never be the same
物事は変わっていくんだ

That's just the way it is (That's the way it is, what?)
それだけが現実なんだ (それが現実だ、何がって?)

Aww, yeah-yeah (Hear me)
ああ、そうだ (聞いてくれ)

That's just the way it is (That's just the way it is, the way it is)
そんなもんなんだ (そういうもんさ、現実はな)

Things'll never be the same (Never be the same, yeah)
物事は変わっていくんだ

That's just the way it is
そういうもんさ

Aww, yeah

*(コーラスは、この曲のサンプルである Bruce Hornsby & the Ranges - "The Way it is" のサビを使っている。ただ、 Things will never be the same というフレーズは新しく追加したものである。)


[Verse 2: 2Pac & Talent]

I see no changes, all I see is racist faces
変わりはない、見えるのは人種差別主義者の顔だけ

Misplaced hate makes disgrace to races
間違った憎しみが人種を貶める

We under, I wonder what it takes to make this
俺たちが劣ってる、なんでそんなことになってるんだ

One better place, let's erase the wasted
より良い場所に、無駄なものをなくすんだ

Take the evil out the people, they'll be actin' right
人々の中から邪悪なものを無くせば、正しい行動を取るんじゃないのか

'Cause both black and white are smokin' crack tonight
黒人も白人も今夜はクラックを吸ってるんだ

*(これは単に「クラックを吸っている」ことを指しているのではない。「クラック」をここで出すことで、80年代、特にアフリカンアメリカンに貼られたレッテルについて言及している。クラックは都市部の黒人コミュニティを崩壊させていたが、中西部の貧しい白人社会もクラックの蔓延に悩まされていた事実がある。クラックが流行したことで、クラックから黒人を連想させる軽蔑的なイメージが生まれてしまったが、実際にクラックに悩まされていたのは黒人だけではないということを主張し、誰しもが間違いを犯すことを主張している。)

And the only time we chill is when we kill each other
俺たちが落ち着いていられるのは殺し合いの時だけ

It takes skill to be real, time to heal each other
実現するには力がいる、お互いを癒す時間が必要だ

And although it seems heaven-sent
それは天国からの贈り物のように思えるが

We ain't ready to see a black president, uh
黒人大統領を見れる日はまだ来ない

*(これは'92年にレコーディングされた歌詞であるが、当時は黒人系の大統領が就任したことがなかった。それが国に分裂を招くものであることを2Pacは理解していたので、より寛容な時代になることを望んでいた。
そして'08年、黒人系大統領として初めてバラク・オバマが当選した。しかし、南部地域を中心として大きな波紋を呼んだ。表面的なものだけを見て、彼が黒人系であるだけで、彼が大統領となることに疑問を抱く人が多くいたのである。現代になってもまだこの現実が消え去っていないことを2Pacは危惧していたのである。)

It ain't a secret, don't conceal the fact
隠し事じゃないんだ、事実を隠すなよ

The penitentiary's packed and it's filled with blacks
刑務所は黒人でいっぱいだ

But some things will never change
でも変わらないこともあるんだ

Try to show another way, but you stayin' in the dope game
別の道を示そうとしても、お前はドラッグディールに留まろうとする

Now tell me, what's a mother to do?
なあ、教えてくれ、俺らの母は何をすべきなんだ?

Bein' real don't appeal to the brother in you
正直でいることにお前の仲間は納得しない

*(恵まれない環境にいる人間が真面目な仕事に従事し、道を踏み外すことなく成功を掴みに行こうと夢見ても、同じ境遇の周りの仲間たちはそれを望んでおらず、ドラッグディールやギャングスタの生活を続けるつもりでいるという現実から抜け出すことは難しい。)

You gotta operate the easy way
簡単な方法を見つけなきゃな

"I made a G today," but you made it in a sleazy way
「今日は大金稼いだぜ」でもそれは汚いやり方だ

Sellin' crack to the kids, "I gotta get paid"
子供にクラックを売って「金をもらわないと」って

Well hey, well that's the way it is
なあそうだろ、そういうことが現実なんだ


[Chorus: Talent]

That's just the way it is (Changes)
そんなもんなのさ (変わっていくんだ)

Things'll never be the same
物事は変わっていくんだ

That's just the way it is (That's the way it is, what?)
それだけが現実なんだ (それが現実だ、何がって?)

Aww, yeah (Hear me)
ああ、そうだ (聞いてくれ)

That's just the way it is (That's just the way it is, the way it is)
そんなもんなんだ (そういうもんさ、現実はな)

Things'll never be the same (Never be the same, yeah)
物事は変わっていくんだ (決して同じままじゃない)

That's just the way it is
そんなもんさ

Aww, yeah


[Interlude: 2Pac]

We gotta make a change
It's time for us as a people to start makin' some changes
俺たちは変わらなきゃいけない
今こそ俺たちで変えるときなんだ

Let's change the way we eat
Let's change the way we live
And let's change the way we treat each other
食っていく方法を変えるんだ
生き方を変えるんだ
そして、お互いの接し方を変えるんだ

You see, the old way wasn't workin'
そうだろ、今までのやり方じゃダメなんだ

So it's on us to do what we gotta do to survive
生き残るためにすべきことは俺たちにかかってるんだ


[Verse 3: 2Pac & Talent]

And still I see no changes, can't a brother get a little peace?
未だに何の変化もない、仲間たちは少しの平和も掴めないのか?

It's war on the streets and the war in the Middle East
Instead of war on poverty
They got a war on drugs so the police can bother me
これは貧困との戦いの代わりの、ストリートでの戦争と中東での戦争だ
ドラッグの戦争になってるんだ、だから警察は俺を困らせる

*(2Pacがこの曲を書いたのは、アメリカがイラクとクウェートとの湾岸戦争を終結させた約1年後の'92年。
この曲は'98年10月13日にリリースされたが、皮肉なことにそこから2ヶ月も経たずして、"Operation Infinite Reach"と呼ばれるアメリカによるアフガニスタンとスーダンへの空爆が実施された。
2Pacは中東での戦争とストリートで起きていることを持ち出し、どちらもおかしいことだと主張している。
'90年代のアメリカでは国内のこのような問題よりも、外国との戦争に重点が置かれていたことにも言及している。
"War On Poverty (貧困との戦い)" とは、1964年にリンドン・ジョンソン大統領が提出した法案の別称である。当時の全米での貧困層は約19%であり、この法案が可決された後、OEO (Office of Economic Opportunity = 経済機会局) と呼ばれる貧困を対象とした連邦資金の地方への申請を管理するを設置した。しかしその7年後、ニクソン大統領が就任すると、"War on Drugs (麻薬との戦争)" という言葉を作り、続く大統領もまたこれを進めていった。これにより、貧困層ではなく、麻薬により利益を得ている人間を補助することになっていった。)

And I ain't never did a crime I ain't have to do
俺は犯罪なんかしないぜ、する必要がないんだ

But now I'm back with the facts, givin' it back to you
でも今、俺は事実と向き合い、それをお前に突きつける

Don't let 'em jack you up, back you up
Crack you up and pimp-smack you up
You gotta learn to hold your own
奴らにやらされるな、お前を保つんだ
くじけるな、気合を入れ直すんだ
自分を保つことを学ぶんだ

They get jealous when they see you with your mobile phone
お前のケータイを見て奴らは嫉妬してる

*(当時のアメリカではまだ携帯電話は高価で、人口の5%以下の人しか持っておらず、治安の悪い地域で持っていると強盗の標的になる確率が高かった。)

But tell the cops they can't touch this
でも警察に奴らはこれに触れないんだと言え

I don't trust this, when they try to rush, I bust this
That's the sound of my tool, you say it ain't cool
俺は信じられないから、奴らが足早に進めてきたらこいつをぶっ放すぜ
それが俺の選んだ音だ、クールじゃないとは言われるが

My mama didn't raise no fool
俺のママはバカは育ててないぜ

And as long as I stay black, I gotta stay strapped
And I never get to lay back
俺が黒人でいる限り、いつもこいつを持ってなきゃいけない
落ち着くこともできやしない

*( stay strapped は、襲撃されることに備えて自己防衛のために銃を携帯することを意味する。)

'Cause I always got to worry 'bout the payback
Some buck that I roughed up way back
Comin' back after all these years
いつも報復される心配をしてる
昔痛い目に合わせた責任が何年経っても戻ってくる

"Rat-a-tat-tat-tat-tat," that's the way it is
「バン、バン、バン!」ってな、それが現実だ


[Chorus: Talent & 2Pac]

That's just the way it is (Just the way it is)
そんなもんなのさ (そんなもんだ)

Things'll never be the same
物事は変わっていくんだ

That's just the way it is (The way it is)
それだけが現実なんだ (それが現実だ)

Aww, yeah (Some things will never change, oh my)
ああ、そうだ (でも変わらないこともあるんだ)

(I'm tryna make a change)
(変えようとしてるんだ)

(You're my brother, you're my sister, yeah)
(お前は俺の兄弟だ、姉妹だ)

That's just the way it is (The way it is, the way it is)
そんなもんなんだ (そういうもんさ、現実はな)

Things'll never be the same (You're my brother, you're my sister)
物事は変わっていくんだ (お前は俺の兄弟だ、姉妹だ)

That's just the way it is, aww, yeah
そんなもんさ

Some things'll never change
でも変わらないこともあるんだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?