メーデー
久しぶりに酒をのんだら
虚しさの臨界を越えた
酩酊 酩酊
先日僕はサングラス越しに
叔父がおちていくのをみた
彼は、生まれ育ったこの街に閉じこめられていた。
いつのことだったろう3年、いやもう少し前だろうか
夏の終わり、立て続けに台風にみまわれ
ぐしゃりと倒れていた皇帝ダリアが花を咲かした11月のこと
「死んでなかった、もう駄目だと思ってたんだけど、今年も咲いたね」
縁側から庭を眺め、何気なしに僕がそうつぶやくと、叔父が
「死んでないから生きてるんだよ」
と、答えた。
彼が発したその言葉に特別な感情は込められていなかったと思うが
未だに僕はそのやり取りを覚えている
アルカホールを摂取し、テンポを上げる心臓
それに合わせ酔った頭がズキズキと痛む
シナプスがつながっていく、フラッシュバックする映像
ぐしゃり潰れた皇帝ダリアと叔父
メーデー メーデー
先日僕はサングラス越しに
叔父がおちていくのをみた
彼は、生まれ育ったこの街と生きた。
金木犀の香りが鼻につく10月
今年も皇帝ダリアは蕾をつけ初め
救いのない秋の空に、花を添える準備を始める
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