映画『夜明けのすべて』

映画『夜明けのすべて』
(2024年/日本)
監督：三宅唱
脚本：和田清人、三宅唱
原作：瀬尾まいこ
出演者 松村北斗、上白石萌音

「何でエンディングを原作と変えたのだろう？」
この映画を観終わった時に最初に思ったのは、このことだった。

映画そのものは、とても良かったです。パニック障害持ちの自分としては、主人公の山添君(松村北斗)が電車に乗れない時の絶望感が伝わってきて、こちらも胸が痛くなった。
また藤沢さん(上白石萌音)のPMSの症状もよく伝わってきた。この二人の、決して恋人にならない微妙な関係も上手く映像で表現できていたと思います。

原作のエピソードは、本作品ではかなり改変している。その部分も決して失敗していない。会社の設定をプラネタリウムにした部分は、この映画の重要な構成だが、それも上手くいっていると思う。

しかしエンディングを変える必要はあったのかどうか。原作を読んだ身としては、原作の終わり方は勇気をもらった。
この映画も終わり方が決して良くない、とは思わない。多分原作を読んでいなければ、この終わり方で納得していたかもしれない。

原作はもう少し内省的な部分が多いので、それをそのまま映像に、エンディングにすることは難しかったのかもしれないが、そこだけ少し違和感があった。

ただ、それをもってこの映画を否定するのではない。この映画はこの映画で、とても良かったです。

映画『夜明けのすべて』公式サイト