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(2023/04/24/月)赤い埴輪とキャラクター

 本日紹介します写真は、昨日(2023/04/23/日)宮崎県宮崎市生目に有る国指定史跡・生目古墳群に隣接する杜遊古館(埋蔵文化財センター)行った際に撮影した写真です。

 撮影した写真を備忘録としてここに残して行きたいと思います。

※写真は許可を得て掲載しております。

本日の写真

生目古墳群で出土した赤い壺型埴輪

 こちらの写真は、宮崎県宮崎市に有る生目古墳群で出土した壺型埴輪の写真です。

 私は色々な場所に行って古代の遺物や復元品を観覧するのですが、こちらの埴輪は、色も形状も異様な感じがしました。

復元埴輪 実は赤い5号墳の埴輪

 後ろのケースに展示してある埴輪を、作られた当時の姿に復元した物です。実物は素焼きの粘土の色ですが、5号墳のに並べられていた当時は、このように赤色顔料が上から下まで塗られていました。

森永加奈子氏製作。

杜遊古館展示

こちらの展示物の後ろを振り返ると、下記の二つの埴輪が飾ってあります。

二つの埴輪に近づいて撮影した写真。
大まかな形は似ていますが、上部の傘?の部分の大きさや、くびれ具合等が若干違います。

埴輪すぐ下には二つの解説パネルが有り、一つは普通の解説パネル。
もう一つは子供向けの解説の様です。

5号墳出土埴輪 個性の象徴

この埴輪には、透かし孔(胴体に開けられた穴)や突帯(胴体に数本めぐらされる粘土紐)などの円筒埴輪本来の特徴が見られません。同じ様な埴輪は、他の古墳群では出土しておらず、生目古墳群の個性を象徴するものです。

杜遊古館展示

赤い壺型埴輪に関する感想

なるほど。

確かに、以前紹介した西都原古墳群等で出土した筒型埴輪や、他県で出土する筒型の埴輪等にはしっかりとした突帯が有りますが、こちらの壺の様な埴輪は、表面がツルツルです。

突帯には何らかの意味が有ったのでしょうか?
どの様な学説が出ているのか、後日調べてみたいと思います。

あくまでも個人的な感想ですので、何の根拠も有りませんが、西都原古墳群出土の筒型埴輪は飾りに特化した様なデザインに見えます。

大して、上記の生目古墳群出土の赤い壺型埴輪は、儀礼や祭祀に特化したデザインや色をしている様な気がします。

この様にわざわざ赤い色を塗る風習は、この古墳が造られた年代に近い遺跡ですと以前紹介した『宮崎県えびの市島内地下式横穴墓群出土の赤い色を塗られた頭骨』等が有ります。

又、この生目古墳群で古墳が造られる約一万年前の縄文時代に、既に赤い色を塗った素焼きの土器が出土しているので、土器を赤く塗る行為はかなり昔から有る事のようです。

赤く塗られた土器が作られた約一万1500年前から更に時代は下って、数千年前御の宮崎県内の縄文遺跡で、”まつり”に使用されたと思われる朱(赤い色の顔料)が塗られた土器も出土しています。

ですので、土器に赤い色を塗る行為自体は、かなり昔から継続的か断続的かは判りませんが、行われていた行為だった様です。
(年代が1万年離れているので、土器に色を塗る意味自体は違うのかもしれません。)

何にせよ、縄文時代から1万数千年、繰り返し繰り返し使われる『土器に赤い色を塗る行為』そのものが面白く、興味が尽きないので、私は好きです。

今後私の作品にも、我々の祖先が様々なシーンで使用してきた赤を積極的に使用していきたいと思います。

壺型埴輪とキャラクター

二つの壺型埴輪の前には、お子様用の解説プリントが、カラフルで可愛いマスキングテープで貼られていました。

これはなんだろう? 子どもさん向けかいせつポイント

生目古墳群に並べられていた『つぼのカタチをしたはにわ』さ!
◆遊古館の東側には古墳(今から1500年以上前の人々の大きなお墓)がたくさんあつまる生目古墳群があるんだ。
◆その5号墳の上には、この『つぼ形はにわ』がならべられていて、ぼく(ハニィ)のモデルにもなったんだ♬
◆5号墳には登ることができるので、いってみてね!

5号墳出土壺型埴輪前に掲載されたプリント
生目古墳群 遊古館に掲載されたパネル『ハニィのモデルは…』

一昨年度調査した22号墳では、3基の巨大な前方後円墳のなかで、唯一”埴輪(はにわ)”が出土しました。一般的に”埴輪”というと、人や家などを思い浮かべますが、22号墳の”埴輪”は、壺(つぼ)の形をしていて底には穴が開けられていました。「むむ、これは”埴輪”ではなく、単なる”壺”じゃない?」と思わずそう考えたくなる”壺形埴輪(つぼがたはにわ)”ですが、古墳の上の平らな場所に等間隔で並べられた状態で出土していることからみても、古墳を飾る”埴輪”として使われていたことはほぼ間違いないようです。ちなみに、遊古館のいろんなところに登場するマスコットのハニィくん。そのモデルはずばりこの”壺形埴輪”です。

生目古墳群 遊古館に掲載されたパネル『ハニィのモデルは…』より

写真左
生目22号墳壺形埴輪出土状況。
ほぼ完全な形で出土しました。

写真右
出土した壺形埴輪の底の写真。
ドーナッツの用に穴が空いています。

生目古墳群 遊古館に掲載されたパネル『ハニィのモデルは…』より

なるほど。

この生目古墳でのみ出土している『壺形埴輪』をモチーフにデザインされたのが、このハニィと言うキャラクターだった様です。

下記のキャラクターは明らかに、上記パネルのキャラクターですが…

下記の口を閉じたバージョンのキャラクターは、上部の傘?の大きさ等が明らかに違います。

正確な理由は判りませんが、下記の展示ケースに入った2つのテイストの違う埴輪をモチーフにしているのではないかと思っています。

現在、遊古館で行われている展示

こちらの遊古館(埋蔵文化財センター)では現在(2023年4月23日時点)、上記の様に出土遺物をモチーフにしたキャラクターの他に、一定期間ごとに変わる遺物の展示にもイラストが使われているので、堅い感じがせず、気軽に見れる感じがします。

今は『ボクらの時代 縄文×弥生×古墳 大昔のライフスタイル』という展示が行われています。

展示スペース自体は大きくは無いですが、SNS調のポップな展示で、見やすい感じにまとまっているので面白いです。

生目古墳群に行かれた際は、一度観覧されてみると面白いと思います。


2023/04/24/?~2006

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