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(2023/03/29/水)異なるデザインの石包丁(ひも付きのレプリカ)

本日の写真

宮崎県立西都原考古学博物館 令和4年度企画展Ⅱ
伝統(かわらぬもの)と確変(かわるもの)~宮崎の弥生文化の特質~の展示品

今日も昨日に引き続き、先日まで行われていた特別展の展示物で気になった遺物を、備忘録もかねて紹介したいと思います。

特別展の様子

Ⅱ道具の伝統と確変(1)~石包丁~

Ⅱ道具の伝統と確変(1)~石包丁~

 石包丁は、稲の穂を摘み取る道具で有り、稲作に伴う道具である。一般的には弥生時代の終わり頃には、鉄の穂摘み具である摘鎌に交代する。
 しかし、県内では弥生時代後期に出土数が急増し、古墳時代前期頃までそのまま石包丁が使用されている。

 県内で出土する石包丁は、紐の取り付け部の形態により、次の4種類に分類できる。
①擦切り技法による溝じょうのもの
②穿孔を施すもの
③左右両端を抉ったもの
④穿孔・抉りがないもの
この中で、②は内陸部、③は沿岸部を中心に出土しており、その分布に違いがみられる。

 県南地域のうち、大淀川下流域では穿孔・抉入の両形態が拮抗しており、上流域の都城盆地では穿孔タイプが主流であるものの、抉入タイプも一定数出土している。さらに内陸部の加久藤盆地や、南側の大隅半島側では、抉入の石包丁はほとんど出土していない。
 この石包丁の分布範囲は、続く古墳時代前期における前方後円墳の分布域と同様な様相を呈している。

宮崎県立西都原考古学博物館B1F 令和4年度企画展Ⅱ2023年1月14日~3月19日

この解説パネルの横にも、下記の二つの展示ケースが有り、多くの石包丁が上記の説明通り分類され、展示されていました。

二つの展示ケースの一つのケースには出土品では無く、複製されたレプリカが二つ展示されていました。

土器が展示しているケース①
土器が展示しているケース②

実験製作した石包丁
 石包丁 抉入タイプ(紐付きのレプリカ)
 石包丁 穿孔タイプ(紐付きのレプリカ)

※こちらの写真は私が現地で撮った物で、施設に許可を得て掲載しております。

実験製作した石包丁
研究(※)職員が制作し、紐(※)を付けた状態の複製(※)の石包丁。実際(※)に稲(※)の収穫(※)に使用したもの。

※この写真を撮った際、拡大写真を撮影していなかった為、解像度が低く文字が潰れて読なかった文字。
文章の流れから、予想される文字を入れました。

今後写真を残す時に気を付けたいと思います。

宮崎県立西都原考古学博物館B1F 令和4年度企画展Ⅱ2023年1月14日~3月19日

感想

こちらの展示は、県内で発見された4種類の石包丁のうち、2タイプの石包丁の紐付き複製品です。

説明文に有る通り、県内で出土する石包丁は弥生時代後期~古墳時代にかけて出土数が急増し、古墳時代前期までそのまま石包丁が使用されるとの事ですが、当時出回り始めた新素材の貴重な鉄製品より、入手し易く古代から加工ノウハウも有る石製品を使う方が良かったと言う事でしょうか。

又、これら二つのケースに展示された石包丁のデザインが地域ごとに違うと言う事も面白いと思います。

もう少し、アップで写真を撮っていれば、何処の遺跡で出土した物かを確認する事も出来たのですが……残念です。
(今後発表予定の過去の特別展写真を確認した所、ほぼほぼ焦点が有っておらず、文字が潰れていました。次回写真を撮る時には気を付けたいと思います。)

もし、この特別展の目録等が発行されていたら、購入して読み込んでみたいと思います。

又、上記の説明の文章内で気になる点は
『この石包丁の分布範囲は、続く古墳時代前期における前方後円墳の分布域と同様な様相を呈している。』
と有りますが、どの様な関係が有るのか、私の知識が足らず判らないので、今後調べてみたいと思います。

しかし…昨日紹介した、打製石器の石くわもそうですが、実用品はシンプルですが機能的で『用の美』を感じるので、見ていて面白いです。

2023/03/2/1510~1620



最後まで読んでいただきありがとうございます。 作品製作をしているので、サポートいただけたら創作活動に関する費用にしたいと思います。