見出し画像

ポケットに入りたい

ある上司の付き人のように仕事をしていた事より
周りからは「秘書」と呼ばれている私。

そんな私もとうとうお別れの日がやってきた。

-------
約1年前のこと。
上司に一度、「内定貰ったので退職します!」と宣言したものの
それから毎日涙が止まらず、腹痛に襲われた騒動により一度内定辞退をした。

だが、やはりずっと上司のお世話が出来る確約もなく、自分の人生を考えこのままではいけない!と再び転職活動をし内定を得た。

秘書業務内容
ティッシュ交換、ゴミ回収はもちろん
資料作成、その他依頼された仕事。
何か困ってたらいち早く気づき対応する
それが、秘書の務め。

--------

最初の退職宣言から約1年は、
まるで小学生の頃の夏休み位、あっという間に過ぎ去った。

卒業日当日、
午前中から涙が止まらずバレないよう何度も席を外した。
涙を見られないよう
こっそりと向かいの席にいる上司を視界に入れないよう工夫をこらす。

最後は、上司から貰った感謝の言葉とプレゼントで、それはもう大号泣。

私は、
『南くんの恋人』に憧れて
おみくじ煎餅を渡した。

上司のおみくじは、『大吉 ポケットに注意』
洗濯機の注意事項じゃんという周りからの冷やかしに
ポケット何も入ってないけどね!と、素直に確認する上司。

もしかして、ポケットに入れるかもと期待し
わくわくドキドキしながら帰宅するも
トラックに引かれず無事に自宅に着いてしまった私。悔しい。

運命とは不思議。
1回目の内定先の条件は、正直ビミョーだった。
これも上司が「行くのは止めなさい」と止めていてくれたのかも。

私のスマホに登録された上司の番号。
連絡したくなってしまう。
来るはずもない連絡を待っている。
消そうか、メッセージしちゃおうか。
悩む。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?