いつか行ってみたいアマンダリホテル:マリカの永い夜/バリ夢日記
学生の時から一度行きたかった場所がある。
それは、バリのウブドのアマンダリホテルだ。
このホテルを知ったのは、よしもとばななさんの本、「マリカの永い夜/バリ夢日記」でだった。
「マリカの永い夜/バリ夢日記」
「バリ夢日記」は、よしもとばななさんのバリを旅した旅行記だ。
「マリカの永い夜」は小説で、あらすじとしては、医者(精神科?)の主人公のジュンコ先生と、その患者で複数の人格と同居するマリカが、治療の果に、バリを旅し、過ごす話だ。
マリカは、幼い頃に辛い虐待にあい、自分を守るためなのか自分の他に複数の人格(ペイン、ミツヨ、ハッピィ、そしてオレンジ)がある多重人格者だ。ジュンコ先生との治療の末に、人格は少しずつ自分と統合して消え、最後にマリカの他にオレンジの人格だけが残る。
オレンジがバリに行きたがっていたので、ジュンコ先生はマリカ(そしてオレンジ)とバリを旅することにする。
「マリカの永い夜」は、「バリ夢日記」のよしもとばななさんのバリ旅行が下敷きになっていて、同じ場所を舞台にした物語だ。
アマンダリホテル
このどちらの話にも印象的に描かれているのが、バリのアマンダリホテルだ。
「バリ夢日記」の中では、アマンダリホテルで過ごした時間について、こう書いている。
「マリカの永い夜」で、オレンジと過ごす最後の場所も、アマンダリホテルだ。
アマンダリホテルで、ジュンコ先生はオレンジ(の人格が出てくるマリカ)と過ごす。
その時のオレンジのセリフがこれだ。
そしてその後、オレンジは、アマンダリホテルの水面に満点の星が映る、素晴らしく気持ちいい羊水のようなプールの中を泳ぎ、そして、ジュンコ先生と手をつないで、星を見上げながら小道を戻り、ホテルの部屋の前で「また明日」と手を振って別れる。それがオレンジの最後だ。
オレンジとは何だったのか
読者の私にはまだ明確にはわからない。
多分、自由、自尊心、自分の頭で考え、どんな自分であっても自分を肯定し、自分の力で、自分の責任で、どこでも自分の好きなところに行くことを決め、そして実行する、そんな人格の象徴だったのではないかと思う。
これはどんな人にもある人格の一つであるが、マリカは虐待で考えること、自分を愛すること、自由という考えをすべて奪われたので、別人格としてオレンジが生まれたのではないかと思う。
そしてアマンダリホテルで、最後にマリカと同化した。(あるいはオレンジはオレンジで、羊水の中の胎児が生まれるように、どこかで生まれ変わった?)
オレンジが消えたあと、最後にオレンジはこんな手紙をマリカに残す。
アマンダリホテルのプールで夕日を眺め、星空の中を泳いだら、私も私の中の何かと同化したり生まれ変わることがあるかもしれない。(ないかもしれない)
少なくとも、アマンダリホテルはアマンの系列のホテルで、1泊1部屋10万円超えの超ラグジュアリーホテルみたいなので、お金の心配されなければ、何がなくとも滞在中とても気持ちよく過ごすことができるだろう。
よしもとばななさんが狂ったように笑い転げて、笑いすぎておぼれそうになるほど笑い、オレンジが最後に星空を見上げたプールで、いつか泳いでみたい。
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