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アトリエ通信・1


『印象的な色の話』

 

 10代の頃。家にある方がいらっしゃいました。

 その方は家族の知り合いで、どうやら色に詳しいとのこと。それは気になる!!ということでお話を伺うことにしました。



 ワクワクしながら椅子に座ると、ちょっと空気が変わりました。ひたすらに「あなたは〇〇が似合います!〇〇は絶対似合いません!!」と言われ続けました。

似合う色はともかく似合わないと言われ続けると、それはそれで気になるもので(笑)今まで選ぶ色ではなかったものの、そこまで言われるとは……とひたすら静かに聞いておりました。


 

 私はそれまで色を似合う似合わないで考えたことがなかったので、人生ではじめての体験でした。

色は好きだから選ぶのであって〝自分の今にちょうど心地よいか〟だったからです。



その話を聞いた後、普段選ばない似合わないと言われた色よりも、似合うと言われた色のほうがなぜか心にずっと引っかかっていました。

苦手な色とかではないのに、似合うと言われているのになぜかもやっとする感覚。

そのもやっとした感覚の意味がわかるのは、その話をすっかり忘れた頃でした。



***


 

 数年後。

 似合わないと言われた色をひたすら欲する時期がやってくるなんて、誰が予想できたでしょう!という感じで、その後何度も似合わないと言われた色に助けられることになるのです。

これは文字通り、本当に助けられました。


 

 人生って面白いですね。

 言葉をそのまま受け取るよりも、もっと深い部分で〝自分が何を感じているのかを大切にしたほうがよいな〟と思っています。



 カラーの面白さは、どこまでも続いていく宇宙のような広大な世界。

カラーについて学校や独学で学んだりする中で、知れば知るほどさらなる謎解きが始まります。


答えを見つけたと思うと、また別の謎を出されるの繰り返し。


「さぁ、わたしは誰でしょう?」

という問いかけは、一つの人生くらいでは見つけられないのかもしれません。

終わりのない謎解きは、まだ続いています。




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