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双子座の火星(逆行)試される想像力

10月30日火星の逆行が始まり。10月30日~1月12日

ジャック=ルイ・ダヴィッド〈軍神アレスと戦略の神アテナ〉

火星

ギリシャ神話


火星はギリシャ神話ではアレース。
とにかく乱暴者として神々からは嫌われています。しかし、男神の中では1,2を争う美形で、愛人アフロディーテとの間にエロース(ローマ神話ではキューピッド)を設けたともいわれています。
アレースはWikipediaによると、「戦闘時の狂乱を神格化したもので、恩恵をもたらす神というより荒ぶる神として畏怖された。「城壁の破壊者」の二つ名がある。戦争における栄誉や計略を表すアテーナーに対して、戦場での狂乱と破壊の側面を表す。その性格も粗野で残忍、かつ不誠実であったとされる。」残忍で不誠実な神様・・・・・

しかし、『ホメーロス風讃歌』「アレース讃歌(第8番)」では
「槍の使い手であり、黄金の兜と青銅の鎧と楯をまとい、火を吐く馬の戦車を操り天空を巡る(これは、実際の惑星「火星」を表現したものです)。オリュンポスや都市を護り、人々に光と武勇を与え、強い力で勝利と平和をもたらす神。掟の女神テミスの支援者であり、勝利の女神ニーケーの父であると歌われている。」
と、正々堂々とした雄々しい軍神の姿がうたわれています。

掟の女神を支援するというあたり、単なる乱暴者ではない雰囲気がありますね。

さらにローマ神話ではますますカッコよさに磨きがかかります。
ローマ建国の神であり、春分の日がある「3月の神」として、古代ローマの民に慕われます。3月はMarchですが、その意味は「Marsの月」というのだそうです。その姿は勇敢な好青年としてやっぱりイケメン。もともと農耕の神でもあったそうで、そのため、植物が芽吹く”3月”の神としての特質が残ったとも言われています。(それでもやっぱりヴィーナスのヒモ・・否愛人で、キューピッドの父でもあります)

占星術

そんな、神様としては身も蓋もない系のアレースですが、占星術における火星は、積極性や否定性を表し、内なる男性性や、女性にとっての理想の男性像など男性そのものを意匠し、「エゴ」とも深い関わりがあります。

人には誰しも「エゴ」があり、時に過小評価を、時に過大評価をし取り扱いが面倒なこともあります。もてあましがちなこの「エゴ」ですが、そのエゴに生きる意味を与えるのが火星と言えます。
アレースにとって「戦いこそが正義」。

ということは、火星のエネルギーやパワーは「正しく」使えた方が、エゴひいては自分の存在価値や意義をアピールする上で有利だろう、というのはなるほどな、と思います。
(ここで占星術の火星と神話の神がぴたっとつながります)

自分のエゴを貫く際に、社会や他者を否定する形でしか表現しようがない時があります。
しかしそういう時に、やみくもに「否定はダメ」「ネガティブはダメ」と抑圧や我慢をしてしまうと、社会の中での立ち位置がなくなってしまったり、周囲の圧力に屈してしまう生き方しか選べなくなってしまうことがあります。

火星の意図を知ったとき、最初は葛藤を表に出さないように封じたり、見なかったことにしたりしてしまいがちです。
でも、この火星(エゴのエネルギー)を
「正しく」使うこと、
「内なるアレースのエネルギー」を自分にとってふさわしい使い方をすること
これらのことにより、
「正しくノーと言える」、「他者のために怒れる」ようになり、
結果として「社会的な浄化」がもたらされるようになります。

双子座の火星

双子座は風の柔軟宮です。
風のサインは、二つのものを繋げるという二元性や二重性の性質を持っています。
双子座は、その由来もあって二重性が特に強いサインであります。

そんな双子座の中での火星は、集中力を大きく損なわれます。
集中する暇も無いほどに、双子座はくるくると動き回り止りません。
変化がめまぐるしく、あまりの速さに、火星は追いていないことに「気がつかない」ほどです。

双子座の中で火星が見る世界は、対立するもの、ペアになっているものです。
一つのことに集中するのが得意な火星は、どちらか一方のみの事柄に集中することができないことに戸惑いを覚えます。
戸惑っていると、次々に交互に対の世界を見せられて、ますます混乱。

しかし、そこは火星です。
双子座が見せるめまぐるしい変化に惑わされず、混乱や幻想を振り払い
対立するものの共通点、あるいは
ペアになっているものの相違点を探していきます。

火星が知るのは、「探す」行為そのものであります。

その火星が、10月30日より逆行します。
今回の逆行は来年の1月までつづき。火星の双子座滞在は、2023年3月まで続きます。双子座の中の火星は、めまぐるしい情報の数々を整理し、自分のものに落とし込むだけの余裕ができるのかなと思います。
しかし、逆行中の火星は、火星が持つ意匠の陰の面が強調されますので、強く出ると、暴力性や性的な面での力関係も起こりやすいので、そこは注意が必要です。周りからの働きかけを攻撃と見做し、それに対して防御としての攻撃をするということも考えられます。双子座での攻撃性は、言葉や情報の暴力としてふりかかる恐れもあります。



ホロスコープを観てみますと、海王星とのスクエア、冥王星とのクインカンクスを形成しているシビアな角度と言えます。
火星の逆行により、自分の一番弱い部分への攻撃を受けたと感じやすくなり他者からのアプローチ(良いものも悪いものも含め)が、すべて攻撃的に感じられたりもします。それと同時に、自分からの他者へのアプローチも同様に相手が攻撃と受け止めてしまう恐れもあります。
きっと、火星が守りたい弱い部分が無防備にさらされるのではないかという「恐れ」がそうさせるのだろうと思います。そして双子座での火星ですので、この攻撃には言葉の暴力も含まれます。
相手からの言葉に傷つきやすくやる一方で、自分が発したふとした言葉があいてを深く傷つけることに無頓着になりやすいのだろうと思います。

いつも以上に、思いやりと想像力が試されることになるかもしれない、火星の逆行です。



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