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思考力を養っていこうじゃないか

本屋が好きだ。目的もなく立ち寄って店内を歩いていると、思いがけず良い本に出会ったりする。だから、私は電子書籍ではなく、紙書籍を読んでいる。

今日は思いがけずいい本に出会ったと感じた「社会に出るあなたに伝えたい なぜ、いま思考力が必要なのか , 池上彰,講談社」について、読んだ感想をまとめてみた。

思考力とは


本書の中で著者は「思考力」について、次のように綴っている。
現代は正解がない時代と言われている。その中で生きていく私たちは、人から言われたことを、そのまま受け入れるのではなく、自分なりに疑問をもち、事実を集めて真実に近づく努力をする。それこそが思考力であり、社会情勢を読み解いたり、自分自身の成長や不安から立ち上がる力になる。

知的好奇心ってまだ持ってる?

「知的好奇心」とは、物事の知識や理解をもっと深めたいまたは知りたいという欲求や気持ちのことだ。子供の成長過程で重要な欲求だと言われることが多い。実際にネットで検索をすると、「子供..知的好奇心の育て方..」等のサイトが多くヒットする。

しかし、この知的好奇心、大人にとっても重要なものだと思う。著者は本書の中で、「知的好奇心は物事を不思議がるため、考えるためのきっかけになる」と書いている。

確かに子供の頃って、見るもの全てが新しいから、世の中の全てのことに疑問を持っていた。「なんで海って波があるの?」「なんで雪は地面に着くと溶けちゃうの?」「なんで赤信号が止まれなの」「どうやったらこれができるようになるの?」「なんで」で世界が包まれていた。

いつからかわからないが、「なんで」を封じ込めてしまった。もう大人なんだからと、新しい世界を見ようとしなくなった。「なんで」っていうと、こんなことも知らないのかと思われる。新しいことを知るのってパワーがいるから、知っているものに囲まれている方が楽だし、心地が良い。

でも、私が今持っている知識ってどんだけのものよ。
大人になっても、この世界は知らないことだらけだし、なんなら常識と言われた知識だって、時代の変化に伴い変化していく。

子供のように無邪気に「なんで」「これ何」と考えて、聞いて、調べるのって、とっても素敵だし、必要だと思う。その力は子供と同じで養っていくしかない。

「大人の知的好奇心の育て方」そんな検索結果が上位表示されるようになったら、世の中変わりそうだ。

問いを立てる

知的に好奇心が強いのはいいことですが、一方で、誤った情報を信じてしまわないようにする必要もあります。何でも鵜呑みにしてしまわないことこそが、「ステレオタイプなものの味方からの脱却」につながります。

(本文より引用)

知的好奇心を持ち、興味をもって調べようとするが、今の社会は情報が多すぎる。それどころか、検索結果で上位に表示された結果であっても、信憑性があるのかわからないので、何ともややこしい。

大学で論文を書くとき、「参考にするのはネットの情報ではなく、ちゃんとした書籍を参考にするよう」教授から教えられた。
でも、今や本も多過ぎる。
よくわからないネットの記事よりは信頼性があるのだろうけど、色々な専門家が各自の見方の視点を論じるから、何が正しいのかわからない。

ひと昔前は、「〇〇といったらこの本」みたいな、分厚い参考書があったけれど、今の時代はそんな物が軽量化されて、各所に存在する。

今の時代の情報収集で必要なのは、たくさんの情報(事実)を得て、それらの情報に疑問を持つことだ。正解はどこにもないし、誰も教えてくれない。そのためには、大人になっても情報収集(学習)はたくさんしていかないといけないんだろう。

根拠と定義

仕事において、この考えを邪魔するのは固定概念だと感じる。
長い間かけて凝り固められた固定概念ってやつは、なかなか溶けないらしい。それどころか、とんでもない方向に判断を導いてしまう。

コロナになってデジタル化が加速した。私が勤める会社でも、紙の書面がどんどん電子化にされていった。確かに今の時代、状況にもよるが、紙は必要ない。電子化した方が効率化できるし、セキュリティだって保てる。

コロナ禍前から動きはあったが、在宅ワークの普及をきっかけに電子化の動きは加速するように思えた。しかし、ここで問題になるのは、技術ではない、社員の固定概念である。

書面の作成も署名も送付も、全て電子上で完結するってのに、どうも多くの社員が紙を欲しがる。紙にすれば、印刷する時間、郵送する時間、保管する場所が必要になる。

そんな中、私の所属部署で衝撃的な方針が発表された。
「うちの部署では今まで通り、電子書面はすべて紙書面にして処理します」

「え、、なんで? だれのために?」

現場の社員の数人からそんな声が挙がった。
理由は、紙書面の方が読みやすく安全だから、らしい。

「いやいや、安全ってなんなのよ」

確かに私も紙書面で育ってきたので、紙書面の方が読みやすのはよくわかる。でも、普段からPC上での文書作成や閲覧を行なっているし、慣れもあるから電子でできない訳ではない。

クライアントの要望でもなければ、読む人が高齢者や視覚に問題があるわけでもない。なのに「電子書面は読みにくい、安全じゃない」と根拠もなく決めつけてしまっている。

技術がいくら進化しても、使う人間が進化しなければ、宝の持ち腐れもいいところである。それどころかどんどん社会から置き去りになってしまう。

新しい技術がやってきたとき、それを使う私たちが根本も目的を再認識し、根拠を持って新しい概念を作り出さなくてはならないと思う。

思考力を養う

社会も個人も正解がないし、いつ何が起きるかわからない。コロナ禍がまさにそうだったが、まさか2年もの間、こんなにコミュニケーションが取りづらい世の中になるんて思わなかった。

この2年で常識と言われる多くのことが変わった。良いこともあれば、私たちの思考力のなさが浮き彫りになり、他人を攻撃したり、何もできないことで辛い境地に立たされることも多かった。

もはや、社会の正解が何かわからない。
そんな、いくら頑張ってもたどりつけない、よくわからない正解を追い求めていると、いつのまにか、自分が勝手に決めた価値観の中に囚われ、勝手に序列をつけて、苦しくなってしまう。

正解のない問いに対して、自分がどう向き合うか、そのためにはまだまだ勉強をして、事実を身につけ、考える力、思考力を養っていきたい。




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