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栗本 薫さんの描く完結編を楽しみにしていたのに……。

サイロンの光と影―グイン・サーガ121巻/栗本 薫

 ※早川書房のオンラインページはこちら


ファンタジー系は、何といってもグイン・サーガです。
でも、私の中でのグインは、この121巻「サイロンの光と影」で止まっています――。


初めてグインを知ったのは大学生のころ。家庭教師のアルバイトをしていましたが、その生徒がグインを熱く語っていたのを覚えています。
若干、興味は持ったものの、当時は第二次推理小説ブーム(←繰り返しますが、自分の中の)に突入していて、赤川次郎ばかり読んでいたころだったのでスルーしていました。

それから数年後、本屋で平積みされていた(←たしか、その本屋でグイン・フェアをやっていたような)のを見て、その表紙イラスト(天野喜孝さんが有名だけど、当時は加藤直之さん)に魅せられてグインの世界に入っていきました。

当初は、栗本さんが『100巻で完結!』を謳っていましたが、実際に100巻に差し掛かるころには話が佳境で、まったく終わる気配はなし。
さらに栗本さんが癌に侵されていることも公表され、何とか病気に打ち勝って完結を……との願いもむなしく、未完のままで他界されました
ご本人が一番無念だったと思うけれど、愛読していた私もショックが大きく、読むことを止めてしまいました。
グイン・サーガとしては、栗本さんの死後、他の作家さんのリレー形式で再開されましたが、どうしても手に取る気にならず、現在に至っています。
食わず嫌いかもしれないけれど。

この物語の魅力は、何と言っても壮大な人間模様です。
豹頭の主人公に、魔道や怪物、物質転移装置などファンタジー要素も盛りだくさんですが、根幹をなすのは邂逅《かいこう》と別離、友情、愛憎などが絡み合った人間の情《じょう》だと思います。
また、三国志を意識したと思われる国同士の戦い・駆け引き、そしてグインの並外れた知力と体力に裏打ちされた英雄っぷりも見所です。


最後に、グイン『あるある』を。
ファンタジーもの『あるある』と言ってもいいかもしれないけれど、物語の登場人物に憧れるだけでなく、自分を重ねたりすることってありますよね。
グイン・サーガは登場人物の数が半端ないので、自分に似たタイプを見つけやすい気がします。私はと言うと……
イシュトみたいにチャラくないし、ナリスのように面倒くさくもない。マリウスはイラつくし、ヴァレは暗いし、レムスは嫌だし、アリなんて問題外、スカールは精悍で、カメロンにも憧れるけど、やっぱりハゾスかな。
と、内輪受けの話ですいません。
グインファンの方がいたら、重ねてお詫び申し上げます。ちょっと強気に出てしまいました。(^^;)

でも「マルダーン・フ・マルダーン」というよりは宮廷画家のタイプなんです。
(←あえてブッコミ、今後の伏線を張っておきます)

追記:グインは何でも出来るのに、女性を見る目がない。残念っ!


――通り過ぎた文字たちは③――


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