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時折のぞく、火村英生の闇

46番目の密室/有栖川有栖

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綾辻さんの「館」シリーズを読むうちに、あとがきでたまに登場する有栖川有栖さんにも興味を持つようになりました。
綾辻さんとは盟友ともいえる(←私が勝手に思っているだけかも)有栖川さんを読まねば!と、手に取ったのが「46番目の密室」です。

これは斎藤工さんが主演してTVドラマ化された(実は見ていませんが)火村英生シリーズ、その第一作となります。

物語は探偵役の火村助教授ワトソン役の作家・有栖川有栖が登場する、本格推理小説。
火村シリーズの文庫本はすべて読破しましたが、推理もさることながら、火村さんの「闇」が好きなんです。
推理の合間にふと見せる「闇」の部分に、とても惹かれます。
なにせ主人公なのに『人を殺したいと思ったことがあるから』と有栖に告白してしまうのですから。
あの「闇」がどこから来るのか、それがこのシリーズの最も大きな「謎」だと思います。

綾辻さんの館モノは長編ですが、火村シリーズは短編集がほとんどなので、これから推理小説を楽しもうという方にもお薦めです。
有栖川さんには火村シリーズの「作家・有栖」の他に、長編を主とした「学生・アリス」の江神シリーズもあります。


今は、一人の時間も一冊の本と共に過ごすことが当たり前となりました。
私にとっては、綾辻・有栖川両氏の作品と出会ったことで、今の生活スタイルが出来たともいえます。
あの頃は、「明確な答えが導き出される」という推理小説こそが私の求めていたものだったのかもしれません。

どこかのカウンターに座って、おいしいものを食べながらお酒を少し。一人で静かにミステリーを読んでいる男がいたら、私かもしれません。


――通り過ぎた文字たちは②――


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