ついに開館!アーティゾン美術館で「見えた」光景

コレクションの現在地から望む地平。
空と海の境界を埋めつくすアートの今、それから未来へ。


東京都中央区アーティゾン美術館、ここは2015年までブリヂストン美術館として親しまれていた。ビルの建て替えとともに閉館、あれから5年。名前も装いも新たに、「想像の体感」をコンセプトに生まれ変わった。

東京駅の八重洲中央口を出て徒歩5分、交差点のそばにすっと立つビル。モノトーンの石材はシックな色合いで街に馴染みつつ、壁のちょっとした凹凸や吹き抜けの開放感は遊び心を感じさせる。

改築にともなって、IT化も急速に進められた。チケットはオンラインで購入し、QRコードを表示して入館する。音声ガイドは公式アプリをダウンロードして、イヤホンを使えば自分のスマートフォンで無料で聞くことができる。

この画面をタップすると、

位置情報を利用して、近くにある作品を表示する。この精度が結構高くてすごい。作品を選択すると、すぐに音声が流れてくる。
若干、挙動の重さと電池消耗量の多さが気になったけれど機能は素晴らしい。500円払ってヘッドホンを借りるのに比べれば、金銭的にも心理的にもハードルが下がって、利用してみようという気持ちになるからすごい。

開館記念展 見えてくる光景 コレクションの現在地


今回の見せ方が結構おもしろくて、まず「アートをひろげる」というテーマでさまざまな年代のコレクションを展示して、次に「アートをさぐる」と題して同じ作家たちの絵を7つの項目ごとに見せている。この2部構成がすごくいい。第1部でアーティゾン美術館が収蔵している作品を知って、第2部でそれを異なる切り口から見ていく。例えるなら、まずはあなたの人となりを知って、次にあなたをさまざまな角度から見ることで意外な一面や新たな解釈を見出していく、みたいな感じ。
なんだこれ。もうアーティゾンに恋しちゃうじゃん

例えば、「アートをひろげる」で登場したモネの睡蓮が、「アートをさぐる」の「異界」の項目で再登場する。ああ、これは現実の光景のようで実は画家の目に映った、異界の景色なのかもしれないと気づく。はっとする。

(写真禁止の注意書きがないものは、自由に撮影してOK!)

この展示は2020年3月21日まで開催されているので、ネタバレは少なめで雑感とお気に入りをすこし。

ジョルジュ・ブラック「円卓」
っていや、どこも「円」じゃないじゃん!ってつっこみたくなる。
案外、キュビズム好きかもしれない。

順路の矢印もかわいい。

アンス・アルトゥング「T1989-H35」
無機質なようで、すごく語りかけてくる。かっこいい。

ミュージアムショップではオリジナルグッズも販売していて、おしゃれなグッドアイテムがたくさんあったのでおすすめ。キーホルダーはスタイリッシュだし、文具や歯ブラシもアートを纏った雰囲気が素敵。

1階のミュージアムカフェは19時まで開店していて、美術展を見ない人もゆったりお茶ができる。ヴィーガンやベジタリアン向けのラインナップ、日本風のメニューは外国人にも喜ばれそう。

「ジャポニスムフロラル」。660円(税込)。バラとほうじ茶。美味しかった。

ARTのHORIZONだから、アーティゾン。
地平線から再び太陽が昇ってきた。芸術の未来へと繋がる世界。この場所からの光景を、これからも見ていきたい。

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おまけ

お父さんが小さい娘を連れてきていて、「これなあに?」と尋ねるお子さんに「モネの睡蓮。有名なやつだよ」「これはね、抽象画というんだよ」とにこやかに答える。5, 6歳の子どもに果たして抽象画がわかるのかは未知数だけど、こんな英才教育を見るたびに心がほっこりする。
ほかにも、若いカップルや大学生くらいの女の子たちが熱心に絵を見ていた。
まだまだ日本は大丈夫、そんなふうに思えた。

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アートが好きな文筆家、心の故郷はイーハトーヴと遊園地。国内外の美術館や展覧会、建築やオブジェを訪ねて歩きます。舞台芸術、絵画、音楽、写真、身体芸術、インスタレーション、文学などが好きです。Instagram @rurimbon