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7日間ブックカバーチャレンジー1日目ー砂漠

砂漠/伊坂幸太郎

 高校生、部活を引退して本格的な受験勉強シーズンに入った初夏、一人の男の子が声をかけてきた。

「伊坂幸太郎好きなんだよね?」

 ええ。1年生の入学式の日、思い出してみれば確かに自己紹介でそう言ったかもしれない。

 3年間同じクラスだったが、まさか本が好きだとは思わなかった。そこから卒業までお互い本を貸し合って読んでいた。

 「砂漠」は、西嶋くんが変だけど良いことを言うやつで、辛い受験期に大学生活への憧れを感じさせモチベーションを保たせてくれた1冊だった。

 昨日、彼にこの本もお勧めしたなぁと思って、書棚から引っ張り出してパラパラとめくっていた。

 すると、ノートを切って折りたたんだメモを見つけた。そこには、私の感想とも言えない下手くそな文章が書かれていた。彼への本の紹介文である。好きなセリフがわざわざ折って隠してあった。

 私は懐かしく思いながら、そっとメモを元に戻して本をしまった。確実に戻していた。


 一晩寝て起きて、何かがおかしいことに気付いた。

 本を取り出して、裏をぱっと見た。古本屋のシールが貼られていた。

 私がこの古本屋に通い出したのは、受験を終えて、大学生になってからである。

 本を開いた。昨日確かに見たはずのメモはどこにもなかった。

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