SSRIを飲んだら俗世界へ戻れた話
うまくいかないことの多い人生だった。高校1年の時に抑うつに沈み込んで以来、散々泣いて傷ついて、脳が仕事を拒否るようになり無職になってからは、本当に色々なことを考えて考えて考えて生きてきた。
私はいわゆる貧困家庭の出身で、そのせいで愛着障害やらPTSDで言葉が出なかったり色々な後遺症があるのだけれども、それも今は仕方ないかなと思っている。簡単に言うが、これはものすごいことだ。10ヶ月前の私なら何をどうしたって自分に起きた理不尽な現実を受け入れることなどできなかった。
なぜそんな急激な変化が起きたのかというと、やはりSSRIを飲んだことが大きい。SSRIとは要するに抗うつ薬のことで、私の場合は不安障害の治療のためにレクサプロという薬を飲んだ。
それでどうなったかというと…まず不安は減った。PTSDの症状である悪夢も見なくなり(仮に見たとしてもショックを受けない)、凍りつきも今のところ起こっていない。何より、子どもの頃から感じていた「周囲の人との感覚の差」が縮まったような気がする。
私はとにかく内向的で、去年の5月まではおよそ9ヶ月も部屋に引きこもり、ひたすら哲学していた。最終的に社会の外に出るしかないという結論に至り、ホームレスとして自立することをめざして山にテントを張ったが精神力が弱すぎて挫折した。
考えてみれば、私は「真実」だとか「人間としての正しさ」というものにこだわりすぎて、【自分の稼いだお金で生活する】という至極まっとうで基本的なことに目が向いていなかった。観念の世界に住みつき、今ここにある生身の自分を忘れきってしまっていた。
「生きる」ということは決して綺麗なことではない。ましてや人間は集団で行動する動物ゆえに、傷つけ合ったり、恥をかく機会も増える。それでも生き続けるからこそ、人はお互いを理解しようとしたり、時に助け合ったりすることができるんじゃないだろうか。
恥を晒してでも生きてやろう。この社会の中で。
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