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昆夏美×エリザベートの可能性

昆ちゃんが「私が踊る時」を歌った!

10/3の山崎育三郎さんのFCイベント「山崎育三郎 Premium Concert 2020 〜幻のトートからのエール〜」で昆夏美さんがミュージカル『エリザベート』の楽曲の1つ「私が踊る時」を歌われました。

それは昆夏美さんの1ファンとしてはもう衝撃でした。

本人もコンサートでおっしゃっていましたが、今までは貧乏だったり、地位が低く上流階級を憎んでいるみたいな役が多かったんです。プリンセスなのは『美女と野獣』のベルくらい?

だから昆ちゃんがハプスブルク家の皇后エリザベートを演じることは全く想像したことがありませんでした。

しかし、さすがは昆ちゃん。期待を裏切らないどころか予想をはるかに上回る素晴らしいエリザベートだったので、今回はそのレポートです!
*敬称略で失礼いたします。

『エリザベート』
オーストリアのエリザベート皇后(シシィ)の生涯を綴ったミュージカル。エリザベートを愛する”死”(トート)との愛路もストーリーの主軸である。ウィーン発ミュージカルの代表作で、日本では宝塚歌劇団が1996年に、東宝が2000年に初演。以後20年以上人気を博している。
「私が踊る時」
第2幕前半、エリザベートが宮廷や死の束縛から逃れ、自由に自分の道を歩んでいくことを高らかに宣言する楽曲。エリザベートとトートのデュエット曲である。

新しいエリザベート像

昆ちゃんのエリザベートの印象は、自由な少女がそのまま大人になってしまったようなエリザベートでした。

エリザベートはオーストリアの皇后であり、高貴で気高いイメージがあります。今までの公演でエリザベートを演じられてきた方々、特に花總まりさんなんかは、まさに「ザ・王族」という感じですよね。

しかし、楽曲「パパみたいに」で表現されるように、本来のシシィは田舎の公爵の娘で、木登りや綱渡りが大好き、気ままに旅をして回りたい、思うままに自由にいきたいと願う天真爛漫な少女。

昆ちゃんのエリザベートは、そんなシシィの幼い頃を彷彿とさせる新しいエリザベートだったのでした。

どこまでも地声

昆ちゃんのエリザベートの特徴の一つは楽曲全体を通して地声で歌っていることだと思います。

歴代のエリザベート役の方々は皆さん地声と裏声の両方を使って「私が踊る時」を歌われていたと記憶しています。東宝版「私が踊る時」の音域は高いミ♭まであり、地声で綺麗に出すのは相当難しい為です。(*宝塚歌劇版はまた音域が違います。)

しかし昆ちゃんはどこまでも地声。中盤のクライマックス「一人でも 愛し始めたの 人生を」のところまでもです。
(引用元:ミュージカル『エリザベート』「私が踊る時」より)

地声って文字通り「地の声」。役者さんがセリフを言う時と同じ声質です。

意図的に作られたものではない、本当の声ってどこかその人自身の本心とリンクする気がしています。だからそんな地声は役自身の地の姿、本来の姿のように聞こえる効果を持つのではないでしょうか。

どこまでも地声で歌い続けることがもたらすのは、どこまでもブレずに貫かれる役の本来の姿。つまり、「私が踊る時」においては自由な少女シシィそのもの。

だから昆ちゃんのエリザベートは、今までの公演で作り上げられてきたような”高貴で気品溢れる、美しすぎる真のプリンセス”とはまた違う、”自由な少女がそのまま大人になったエリザベート”になったのだと思います。

自由だけれど高貴

自由な田舎娘だけれど皇后でもある。それが昆ちゃんのエリザベートのすごいところ。

昆ちゃんの歌声は地声ながらも、どこか高貴さや気品も感じさせるものでした。それはたぶん、彼女の歌声が地声ながらも裏声のように均一でマット、そしてなめらかに美しいからでしょう。

「私が踊る時」はエリザベートが皇太后の束縛から逃れ、子供の養育権や皇帝の忠誠という自分の望んでいたもの全てを手に入れ、宮廷で自由に振る舞えるようになった、その人生絶頂期の歌です。

皇后という立場にありながらも、本来の自分自身=自由でもある。

昆ちゃんの自由だけれど高貴な歌声はまさにピッタリなのではないでしょうか。

昆ザベートが見たい。

*昆ザベートは昆夏美×エリザベートを意味するコンサート中に使われていた造語です。

昆ちゃんの歌声は長年愛されてきた名作『エリザベート』に新しい風を吹かせられるのではないか。本当にそう思います。

高貴なプリンセスでありながらも、少女の時のままのような純粋無垢な自由さをどこか彷彿とさせる彼女の歌声は全く新しいエリザベート像だったから。

もちろん皇后としての気品溢れる「ザ・プリンセス」なエリザベートも美しく心惹かれるけれど、昆ちゃんの歌声でしか表現できないエリザベートがいるとも思います。

今まで宝塚歌劇団出身者がシシィを演じてきた東宝版『エリザベート』ですが、昆ちゃん含め様々な役者さんバージョンのエリザベートが見てみたいです。切実に。この想い届け〜〜〜!!!

そして最後になりますが、上演中止になってしまった東宝版『エリザベート』(2020)が"再開"されることを切に願って。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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(帝国劇場 ミュージカル『エリザベート』HPより)


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