SS小説 創作童話『青髭奇譚①』
果てなく地平線の彼方まで続く青い海。ちょうど、地平線から少しずつ姿を見せた美しい月が徐々に上へと昇り、辺りは茜色の海へと姿を変えていく。
もう直、夜がやってくる。濁りなき茜色に染まりゆく海を泳ぐ大型船は夜から逃れるように近くの港へと流れていく。
帆を畳んでその日の旅はおやすみ。船を静かに休めるとその船から二人の男が出てきた。
「……なぁ、旦那。流石に見知らぬ土地とはいえ、アンタが出たらヤバいんじゃないか?」
「いや、バレるわけがないだろう。こんな見知らぬ土地に俺の悪名が響いて