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「生きるとか死ぬとか父親とか(第8話)」パートナーに強いること、強いられること

原作にはないストーリー。それは、仕事と私生活のバランス。自分の仕事へのプライドみたいなものを描いた、どちらかといえば、このドラマの作り手たちの相談をドラマに仕上げたみたいな回だった。だからということもないだろうが、プロデューサーの佐久間さんまで顔を出している。そして、テレ東の新人アナウンサーたちも。まあ、この辺は低予算の楽屋落?

話は至ってシンプルな二つの話からできている。まずは、吉田羊が昔のパートナーで一緒に暮らしていた、岩崎う大が故郷に帰るという連絡をもらい、二人の過去を振り返る話。岩崎はライターだったが、仕事がなくなり、結果的に吉田が働き、岩崎が主夫になってしまったことで壊れた関係。しかし、その根底に、それぞれに頼っていたところもあり、また経験としてはよかったこともあり、二人の吐露する言葉の中に、男と女の生きづらさみたいなものが見え隠れする。ただ、川沿いを歩き話す中で、しっかりと過去のドラマが見えてくる演出はなかなかシンプルでいて、素敵だった。風景がシンプルでいることで、視聴者誰もがシンクロできる時間ができる。

そして、放送の相手役の田中みな実の相談に乗る話。パートナーと結婚することで、今の仕事をやめるかどうか?そして、自分の仕事は誰にでも置き換えができるのではないか?という不安。まあ、田中自身は、そういうところを吹っ切ってフリーになって、それなりにチャレンジしている人だし、世間の批判の波も最大限に受けて強くなっている人だと思う。だからこそ、彼女の口からこれが語られるのはリアルさを感じるのだろう。まあ、まだまだ芝居は多面性があるわけではないので、危なっかしいが、…。しかし、田中の涙には騙される感じだ。

男と女の問題というのは、昔は、社会的な洗脳から、立場がそれなりに明確にされわかりやすかった。そして、仕事に対しても、上から求められることをやっていれば暮らせた世界から、自分から世界を作って仕事を成立させる時代になっている。そのバランスをとりながら暮らすということは、うまくできれば楽しいが、まだまだ一般の日本人には、なかなか難しいという状態なのだろうと思う。パンデミックの中でのメンタルの不安定感を客観的に見れば、その膿が端端で見え隠れしている。だから、こういうシンプルな話が染みたりする。

「恋人とか キャリアとか 後悔とか」確かに、とても普遍的なタイトルであり、このタイトルに対して自分のプライドを持って答えを出せれば、自由な未来が待っているようにも感じられる。

しかし、オリジナルだけあって、國村隼さんの出番はなかったのですねw

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